新型コロナウイルスの猛威は世界中の国々の経済と生活をダウンさせている。
2020年4月10日現在韓国の状況は
感染者数 10480 死者 211
回復者(退院者)7243
となっており、感染者数は多いものの圧倒的な死者の少なさと回復者の数を叩き出している。ロックダウンもせずにこの様な抑制を可能にしているのかを韓国在住の方への取材協力も得ながら考えてみたいと思う。
圧倒的な検査数
まず日本と大きく世界と大きく違うのは「検査数の数」にほかならない。韓国の検査数は4月9日現在で49.4万件。日本は昨日現在5.7万件。その数の良い意味での異様さが分かると思うし世界でも類を見ない圧倒的な検査件数である。
早期の段階で多少誤差があっても疑いがあればすぐ検査に回しスクリーニングすることで隔離や陽性疑い患者とのコンタクトを減らす目的があったのだと思う。医学的見地で考えるとこのスクリーニングという行為はとても大切で病気が疑われればすぐ血液検査したりレントゲン検査をして対象の病気かどうかを診断する大きな鍵となる。感染症の場合はPCR検査となるのだら精度云々の話もあるのだが、それでも基礎的な情報として「陽性か否か」の参考にできるのは非常に大きいと感じる。
韓国の方に取材すると「MARS」の経験から当時検査キットが不足し検査できずに感染症数を増やしてしまった。当局は民間企業が開発した検査キットを有事の際にいち早く認可する「緊急使用承認制度」という法律を整備していたのは3年前の事なのだそう。その準備が功を奏し今回のコロナウイルス検査キットも潤沢に準備できたようなのである。日本と違い「戦時中」の韓国ならではの危機管理であるかもしれないが見習うべき点は多いと感じた。
マスク購入への管理体制
日本でも3月からマスクの転売が禁止になった。かと言って入手しやすくなったのかと言えば、少なくても普通に売っている状況は未だに実現できていない。元々韓国は生活用品、衛生用品の転売は禁止されているようで新型コロナウイルスに関して転売が禁止になったということでは無さそうである。
しかしマスク不足は韓国も同じであり平等に行き渡るように
誕生日の末尾の数字で買える日を限定した
ことにより混乱もなく行列も爆発的なものにならず4月以降はソウルでは普通にマスクが買えるようなのである。この辺のいい意味でのトップダウンの管理方式は見習うべき点かもしれない。
コロナマップの公開
こちらの地図をご覧頂きたい。韓国国内でどこに感染者が居てどの様な行動を取ったのかをGPSの解析を元に全国民が見れるシステム「コロナマップ」が効果を上げているとのこと。制作しているのは韓国国内でグーグルを凌ぐ検索シェアを誇るNaver、彼らが無償で誰でも見れるようにしているのだ。もっと拡大することももちろん可能で、
詳細な情報と位置を確認することができる。緑が4日前以前、黄色が4日以内、赤が24時間以内に感染者が居たエリアになる。つまり、外出自粛といってもこのような地図があれば感染のリスクに晒されるエリアに不用意に近づかなくて済むのである。
ソウル市内には大きな川が流れているが(漢江)こちらの流域でどのへんに患者がクラスターがあるのか一目瞭然である。もちろん、ここまで詳細な位置情報を全国民に公開するプライバシー的なリスクは小さくないので日本でこのまま実現可能かと聞かれれば難しい部分もあるが
情報の開示と引き換えに韓国国民は「ロックダウンせずに」コロナウイルスを抑制、共存
を実現してると言っても過言ではない。IT社会の先進国として北朝鮮との戦時中の国としての一面が危機管理に強い国作りに直結している部分もあるが、100年に一度レベルの感染症である新型コロナウイルスに対してここまでドラスティックに対応できれば日本も行動制限を最小限に経済活動へのダメージを最小限にできるお手本がお隣韓国にあることはプラスなファクターと言えると思う。
人々は先の希望が見えないと今目の前にある不安や不満を我慢できないと感じる。まずは数字で「感染者数のピーク」「感染者数の減少」という結果が見えてくれば、効果を感じてもっと自粛を頑張っていこうと思うかもしれない。そのためにも「正確な数字」で人々に頑張ってもらえる数字を作るためにも一人ひとりが頑張っていくターンには変わりなのかもしれない。