Supremeヘッズには驚くべきニュースが飛び込んできました。VANS、THE NORTH FACE、Timberlandを要するVFコーポレーション(VF Corporation)がSupremeを買収し傘下に収めることが発表されました。
毎年のようにVANSやTHE NORTH FACEとコラボレーションしていましたから、非常に親和性の高い協業とうか買収とも言えNYやアメリカ発というアイデンティティにこだわってきたSupremeですから、アメリカ企業であるVF Corpに売却するというのもブランド価値を下げない良い選択だったように思います。
創業者ジェームズジェビア
Supremeの創業者ジェームズジェビア氏をご存知でしょうか?イギリス生まれアメリカ育ちの彼は親友ショーン・ステューシーを出会い、STUSSYとの3年間の協業を経て1994年にNYにてSupremeを誕生させます。そのごNYのみならず、現在ではロサンゼルス、ロンドン、パリに各1店舗、日本には6店舗の合計11店舗もオープンさせた人気ブランドとして大成させています。日本に異様に店舗が多いのはジェームズが当時の裏原宿カルチャーにすごく影響を受けたためとされ当時からAPEやNEIGHBORHOODなどと並び原宿エリアでは人気のスケーターブランドとなっていました。
その後の快進撃は以前ご紹介したLVとのコラボでピークを迎えますが、現在においてもストリートのみならずセレブリティやモード界にも影響を与える存在となりました。
2017年には半数の株式を売却
快進撃を続ける真っ只中の2017年ジェームズはSupremeは投資ファンドカーライル・グループに株式の半分を売却することに。
ー株式の半数を5億ドル(約550億円)で売却したことが話題になった。当時の時価総額は10億ドル(約1100億円)規模でストリートブランドとしては最高額レベルと言われている。株式を取得したカーライルは、中規模のMBOを得意とするプライベートエクイティファンドとして知られており、ファンドへの売却にあたって秘密裏に行われたことで関係者を驚かせたが永続的に株式保有をするとは見られておらずいつかは株式の売却に踏み切ると言われていたーファッションスナップより
つまり当時の事業規模でも1100億円あったとされストリートブランドして凄まじい規模に成長していったということが言えます。
この発表を受けてVFCの株式は一時84ドルを記録する大幅上昇。近年THE NORTH FACEの業績も好調なことから今後Supremeの企業価値=VFCの株価へ反映という投資家にとってはわかりやすい図式になりそうです。
今回の買収の意図ですが、
ーVFコーポレーション傘下のブランドはシュプリームと過去にコラボアイテムを販売しており、特にザ・ノース・フェイスとは長く蜜月関係が続いていたため今回の買収につながったのではないかとも噂されている。シュプリームは今後もVF傘下以外のブランドとも協業は続けていくといい、ブランドの独自性は守られると見られている。ーファッションスナップより
という事で、冒頭にも書きましたがVANSやTHE NORTH FACEと毎年毎年コラボしていた理由も納得できました。ここからはSupremeヘッズさじゃんの個人的な見解ですが毎年コラボするほど両社の信頼関係は厚く、おそらくカーライル・グループに株式売却を行う以前よりMBOや買収の話は出ていたのだと思います。しかし、ブランドの買収はそのブランドのイメージを大きく毀損する可能性も秘めており難しい判断に迫られていたのも事実かもしれません。近年だとNYを象徴するティファニーがLVMHグループに買収される直前破談になるニュースもありました。
つまり、MBOであれM&Aであれ企業間でのやりとりがスムーズにいかないと本業のブランディングに影響するとSupremeも考えていたのだと思います。
こちらが現在のVFCのブランドラインナップですが、Timberland、THE NORTH FACEを含めアウトドア寄りなラインナップにも感じます。今回の買収劇の発表の際に
「デザイナーやスタッフは現在のままで移行」
「ブランドの独自性は担保」
などの付帯事項のアナウンスも同時になされました。このIRの発表からもSupremeのブランドイメージへの配慮がかなり感じられました。
SupremeとVFCの今後
”ブランドの独立性は担保される”という報道がありましたが、個人的にはコラボするブランドの選定にVFCの意向が大きく関与してくると見ており
今までと同じ様なコラボが自由に行えない環境
になると予想しております。仮にですが、
VANSとバッティングするスケーターブランド
THE NORTH FACEとやTimberlandとバッティングするアウトドアブランド
のとの提携は無くなったと考えるのが妥当です。とはいえVANSやTHE NORTH FACEとの蜜月イメージが強すぎてNikeぐらいしかバッティングしそうな先は見当たらないのも事実ですが。
ポジティブに捉えると中小のスケーターブランドよりも、規模の大きいVFCとの協業によって、
今まで実現しなかったハイブランドとのコラボが成立
する可能性も秘めていると考えております。近年のNORTH FACEに関して言うと、Martin Margielaやsacai、GUCCIとのコラボを展開しており積極策に出ているように見えます。この戦略をそのままSupremeに当てはめる事もできると考え今まで実現しなかった起業とのパイプをVFCが持っているとも考えられ、より優位に事業拡大進めることが出来るとも感じております。
今回の買収劇は功罪両方あると考えており、来季以降のSupremeがどの様な方向性になるのかファンとしては注意深く見ていきたいと思っています。