エフフォーリアに足元をすくわれ、天皇賞秋を逃した父ディープインパクト以来の”無敗の三冠馬”コントレイル。
前回はエフフォーリアの強さを素直に認めたものの、コントレイルが三冠馬になる前から彼のファンである自分としてはやっぱり現役古馬最強として3歳馬をねじ伏せてほしかったと思っています。しかし、春の大阪杯も敗れておりこのままコントレイルは良くも悪くも”三冠だけの馬”と呼ばれる同世代帝王になってしまうのか、ピークは過ぎたのかなどなど戦前メディアや競馬ファンは
コントレイルオワコン説
を唱えている層も一定数いて個人的には非常に悔しい気持ちで今回のジャパンカップを迎えることになりました。
4世代のダービー馬&海外勢も競合が集結
凱旋門賞常連のエイダン・オブライエン厩舎も二頭出しをしてきた今年のジャパンカップ。ジャパンとブルームという割と本気のメンバーがコントレイルを襲います。しかも、今年のダービー馬であるシャフリヤールも満を持して登場し、コントレイルの福永騎手が主戦だったワグネリアンやマカヒキ（どちらもディープインパクトの金子オーナー）の過去のダービー馬も集結して、昨年のアーモンドアイや三冠牝馬のデアリングタクトほどではないにしろ”簡単に勝たせてくれるメンバーではない”印象を受けた好メンバーが揃いました。
最終オッズも、コントレイルが大きく支持を集めるも13番人気のワグネリアンまで100倍を切る混戦オッズとなっていました。今年の3歳馬はレベルが高い（古馬を次々と撃破）していると言われているように、昨年のダービー馬であるコントレイルと今年のダービー馬であるシャフリヤールの直接対決という構図もオッズから透けて見えておりました。
レースはキセキがペースを乱すマクリをみせる
レースを静止画で振り返ってみます。東京2400mはスタンド前からの発走となり、枠の有利不利がないと思われがちですが内枠が有利とされコントレイルも絶好の2番枠を引き当てました。
スタートに難があるとされていたコントレイルは天皇賞秋のときよりも落ち着いて好スタート！福永騎手もここの時点ですでに勝ちを確信していたのでは？と聞いてみたくなるぐらいの理想の位置取り。逆の赤い帽子5番のキセキは逃げ戦法が身上の逃げ馬なのにスタートが上手くできずなんと最後方に。。。
後方からの競馬もできるキセキではありますが、戦前の予想では逃げを打つとされていたのでこの時点で少々驚きました。
最初コーナーを回ってバックストレッチの直線です。コントレイルは縦長馬群のちょうど真ん中あたり。福永騎手の手綱も長手綱で（コントレイルとの波長がピッタリ！）やはり天皇賞秋よりも良い形で直線を迎えられそうな雰囲気が伝わって来ます。しかし、キセキが逃げ戦法が失敗したことにより逃げ馬が完全に不在に！最初の1000mが62秒（通常はだいたい60秒ほど）でスローペースの展開に！
このペースが遅いのを嫌ったキセキ和田騎手がなんとここからマクリ（ロングスパート）の手に出ます。G1の舞台でしかも世界から強豪を集めて行うジャパンカップでは珍しい博打のような戦術に東京競馬場はどよめきます。
最終コーナー（4コーナー）手前ではご覧の通り独走状態のキセキ。実は東京競馬場は先週から芝の状態を見ると前々で先行した馬が勝っており、危険とも思える戦術ではありますがスタートでで負けしたキセキにとってはこの戦法しか勝つ道は残されておらず勝ち負けに関わらず徹底した戦略は素晴らしいと思いました。
結果的に3着馬になる今年のダービー馬であるシャフリヤールを完全マークする形のコントレイルと福永騎手。手応え抜群で最終の直線を迎えました。
残り400m。キセキのリードは大分無くなりましたが堂々先頭！届くのかコントレイル&後方待機陣！？
残り300m先に抜け出したのはリーディングジョッキーのルメール騎手騎乗のオーソリティー。コントレイルは同級生で三冠目の菊花賞では直線たたきあって追い詰めたライバル。2番コントレイルは外目に出したものの、いつもの切れ味を発揮できれば捉えられる位置に加速。
並びかけるコントレイル！ここまま捉えられるか！！！
残り100ｍで完全に抜き去り、追いすがるオーソリティーも歯が立ちません。4番今年のダービー馬シャフリヤールも3着を死守するのがやっと。
1馬身以上の差をつけて完勝のコントレイル。名実況が泣かせてくれました。
「これが本来の力だコントレイル！一筋の飛行機雲を残してターフに分かれを告げました」
コントレイルという馬名は［飛行機雲］と言う意味であり、動画を見ていただければ分かりますが加速力が圧倒しまさに飛行機雲を引くように後ろを振り返らずそのまま突き抜けて圧勝してくれました。
本命決着で馬券は当てたもののマイナスでしたが、コントレイルファンとしてコントレイルが1着になる馬券しか買っていませんでした。彼を信じた自分に最後のご褒美をくれたコントレイルには本当に感謝しています。
男泣きの主戦福永騎手
三冠レースを含めすべてのレースに騎乗してきた福永騎手。まだ幼い当歳（1歳）ぐらいからコントレイルと接してきて育てるような感覚もあったと想像できます。しかし、今年に入って勝てない日々が続き、強いコントレイルをファンに関係者に見せることが出来なかった悔しさも多分にあったかと思います。
ウイニングランでは福永騎手が泣きながら、コントレイルの頑張りを褒めるように擦る姿も印象的でこれで最後のレースになってしまう寂しさと無事に勝ちきった安堵も感じられ素晴らしい光景でした。
上記の記事のように昨年春からずっと応援してきたコントレイルと自分の物語もここでおしまいとなります。競馬ファンも年々減少しているだったりとか若者の競馬離れなんて言葉も聞かれて久しいですが、自分はギャンブルという視点よりも応援して追いかけて見続けてサイアーラインと呼ばれる血統を見るのが好きです。無敗の三冠馬であるディープインパクトを父に持つコントレイル。ディープインパクトはすでに亡くなっていますから、コントレイルは貴重なディープインパクトの血統を持つ種牡馬としての第二の人生が始まります。ディープインパクトもコントレイルも本当に大好きな馬でしたので彼らの血脈からまた強い三冠馬が生まれることを期待して、今回は筆を置かせていただきます。コントレイル、福永騎手本当にお疲れ様でした！夢をありがとう。
