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【ガリレオ】9年の時を超えて復活した最新作”沈黙のパレード”は正直微妙だった件(ネタバレあり)

”さっぱり分からない”さじゃんです。さて本年公開の邦画の中で楽しみだと以前ご紹介していたガリレオシリーズ最新作「沈黙のパレード」。

TVシリーズは全て見ていてガリレオシリーズ共に東野圭吾のファンでもある私さじゃんですが、9/16公開で先日やっと見ることが出来ました。初代ガリレオシリーズからずっと見ている自分としても非常に期待値が高かっただけにレビューも辛口になってしまっているかもしれませんがご了承いただけたらと思います。より深くより感情的なレビューにしたという思いから大いにネタバレを含みますので未視聴の方は気をつけていただたらと思います。

シリーズ最高傑作と銘打たれたが・・・

まず、ガリレオシリーズ全般に言えることですが原作の東野圭吾の書籍の方がよりより場合があり難しいトリックや犯人像を映像化し描き切る難しさは毎回多分にあると思っています。しかし今回は9年という充電期間を経て作られた割には

キャスティングだけが結果的に豪華な詰めの甘いミステリー

になってしまった感があり、ここで椎名桔平?この配役に吉田羊?完全にポテンシャルを持て余している印象です。

つまり、キャストが豪華すぎて犯人夫妻である檀れいと椎名桔平へのコントラストが弱まりすぎていると感じました。一作目の容疑者Xの献身は個人的にガリレオシリーズの最高傑作だと今でも感じていますが、

堤真一の渾身の演技で犯人の人物像が非常に丁寧に描かれた

ことが感動と共感を呼びこの演技で堤真一は映画賞を受賞しています。個人的にはガリレオシリーズの見どころは複雑な殺人トリックであることも間違いなくあるのですが、

犯人がどうして殺人に至ったのかその過程を大切にしている物語

だと思っています。

今回の場合殺人に至る動機があまりに真っ当すぎて、殺人鬼の蓮沼への憎悪の念を持つ人間が多すぎて劇中のセリフ同様「殺されて当然の犯人への殺人が正当化」されているストーリーになっており非常に感情のやり場に困るミステリーになってしまっていました。いつもの東野圭吾らしく丁寧な人物描写から犯行に至る背景をバックに考え抜かれたトリックという流れは全く無く、

トリックも斬新さに欠け湯川教授ならではの解決策でも無かった

のが非常に残念に感じます。容疑者Xの献身にすごいトリックだと医療関係者の自分が感じたのはガリレオ第2シリーズの「聖女の救済」というお話。トリックも素晴らしいですが犯人が犯行に至る背景も非常に繊細で難しいテーマで個人的には容疑者Xの献身レベルですごい作品だと思っています。

唯一素晴らしかったのは草薙(北村一輝)の好演

そう今回の沈黙のパレードのある意味で準主役はこの方、ガリレオシリーズレギュラー出演の刑事草薙俊平こと北村一輝。彼の過去の事件の精算というテーマが事件の真相を複雑にしていきます。この点に関しては東野圭吾らしい見ているもの読んでいる者を混乱させる良いスパイスになっていたと思います。湯川教授(福山雅治)の親友という設定でありながらキャラは好対照の熱血漢。法律や司法の限界を感じ葛藤を重ねながら刑事という職務にひたむきに当たる姿には胸を打たれ非常に素晴らしい演技だったと思います。

しかし、ご覧の通り非常に豪華なキャストの中”少なくても4名以上が犯人蓮沼への殺意が入り乱れる”状況の中で見ている側とすると結局誰が殺人の実行犯で何の動機で蓮沼が殺されたのかという点に意識が集中してしまい、結果的に

娘を殺害された家族周辺の復習殺人という普通な結末

にある意味で拍子抜けし北村一輝の演技が埋もれてしまった結果になったと思います。

まとめ

・シリーズ最高傑作ではない

・エンドロールで過去作の名シーンが流れ今作で最終回を示唆?

・キャストばかりが無駄に豪華な印象

・北村一輝の好演は光った

・過去作の方が素晴らしいのでこの作品でガリレオシリーズを判断しないで欲しい

かなり辛辣なレビューになりましたが、古参ファンからするとこのような評価になってしまいます。次回作があるのか未だ不明ですがフジテレビのドラマ→映画化路線のパターンだときっとラストだと大々的にアナウンスするような気もするので東野圭吾先生が生きている間にもう一度ぐらいはオールドファンが納得するガリレオシリーズをみたいなと期待も込めて今回のレビューを〆させていただきます。