歴史的逆転勝利から一夜明け、感動と興奮で寝不足の本能ブログさじゃんです。サッカーに詳しい方も詳しくない方もドイツと言う国のサッカーレベルが日本とどれぐらい差があるのかと言うと、表現しようがない部分もありますがFIFAランキングと言う順位でいうと、
日本代表 24位
ドイツ代表 11位
ぐらいの開きがありました。当然戦前の予想も圧倒的不利で苦戦を強いられると言われておりましたし、実際に前半は大方の予想通りの展開になりました。過去の日本の代表監督と今回の森保監督の大きな違いを元サッカー部目線でお話していきたいと思います
監督の仕事はベンチワークとフィールドプレイヤーへのメッセージング
皆さんはサッカーの代表監督とプロリーグの監督の違いをご存知でしょうか。プロリーグであれば選手の基礎的なフィジカルトレーニングから戦術理解の指導までシーズン通して長い時間コンタクトを取ることが出来ます。しかし、日本に限らず代表監督の仕事とは、
短い限られた期間の中で代表チーム独自の戦術をチームワークを作ること
(ザッケローニ元日本代表監督)
現在の日本代表はJリーグでプレーする選手のほうが少なくスタメン選手の7割ぐらいが欧州各国で活躍する選手ばかりです。チームで求められる役割と自分のプレイスタイルと代表で求められるスタイルが大きく違う場合も少なくなく、上手く個を活かせない場合も数々ありました。つまり、
選手と監督の接触時間の短さがすべての問題の根源
だったりします。その中で過去日本サッカー協会は外国人監督をよく招聘してきましたが個人的には短い選手との時間の中で通訳を介して戦術理解を深めるよりも日本人監督でワールドカップ経験者の代表監督ほうが望ましいと考えてきました。
ジーコ監督のようにJリーグ創世記から日本に深く関わり鹿島アントラーズを日本を代表するサッカークラブにした立役者の彼でさえ日本代表時代は一部のサポーターから戦術に関する非難を受けたりもしました。忘れもしない2006年ドイツ大会のことでした。初戦オーストラリアに1-3で負けてしまうのですが、この試合は昨日と違い中村俊輔選手(当時日本代表の10番)のゴールで前半戦を一転リードで折り返しました。
しかし、後半戦に入るとオーストラリアのヒディング監督は積極的な選手交代をしかけて日本代表に的を絞らせないような戦術に出ます。53分、61分、75分にアタッカーの選手を次々送り込み。84分とうとう当時のオーストラリアのエースケーヒル選手に同点にされると続けざまにケーヒル選手に逆転弾を浴びロスタイムにも失点し1-3で幕切れとなって敗戦してしまいました。このヒディング監督のような後半積極的に選手交代をして戦局をひっくり返るやり方はまさに昨日の2022年ワールドカップドイツ戦の森保監督のムーヴそのものです。逆に初戦を敗退したジーコ監督はその後2戦も立て直せず、積極的な選手交代などのベンチワークを見せることも出来ずドイツを後にします。
劇的勝利の一因は森保監督の”メッセージング”
昨日の試合に話を戻すと終始劣勢に試合を進めてPKまで献上して1点ビハインドで迎えた後半序盤。
前半負傷した久保に変えて冨安
続けざまに運動量がやや落ちた長友に変えて三笘
前線の前田に変えて浅野
と一気に後半序盤から3人の交代カード切ります。簡単なように見えて3枚の人間を交代させる勇気とフォーメーション変更をやりきる決断はサッカーでは異例です。この状態で15分間戦い日本へ少し流れが起き始めた後半71分
田中碧に変えて堂安律
酒井宏樹に変えて南野拓実
とディフェンシブな選手を下げて攻撃力の高い選手をさらに投入。なんとその後一分後、
上記の動画を見ていただければわかりますが、後半投入された三笘が攻撃の起点となって南野拓実へのパス→シュートキーパーが弾いたところに詰めていた堂安律がゴールでとうとう我慢の時間を乗り切り攻撃的に振り切っった日本の戦術がハマりだします。
その後ドイツも2枚の選手交代カードを切りますが、セットプレイからのカウンターで今度は最初に途中出場した浅野が神がかった若い頃のメッシやイタリア代表だったデルピエロを彷彿とさせるような鮮やかな突破からのピンポイントシュートを決め歴史的大逆転弾を放ちます。
ドイツの名GKノイアーからの奪った値千金のゴールは海外で研鑽を重ねてきた浅野選手ならではのゴールとも言える内容。技術もメンタルも世界レベルじゃないと決められないゴールでした。ドイツの戦術は完全に後手に回り終始組織力を発揮すること無く90分にまた選手交代。采配の部分だけ取り上げても、
次々と攻撃的な選手を信じて投入し続ける森保監督のメッセージング
がフルで前半から戦っている選手にも十二分に伝わり今回の勝利をつかんだのだと思います。過去の日本代表監督でここまでワールドカップ本線で思い切った戦術変更と選手変更を大胆に仕掛けた監督を知りません。それは日本人監督であろうが外国人監督であろうがです。ワールドカップには魔物が住んでいるなどと言われますがその重圧は選手だけではなく監督にも平等に降り注ぐものだと思っています。
監督は現場の最高執行責任者であり結果のすべての責任を負う立場にあります、それはどんな強豪国の監督も同じです。森保監督も初戦を落としていたら日本国内の論調もネガティブなものが多くなっていたのは自明の理だと思います。しかし、前半の結果から大きく戦術面と選手交代カードをフルに使って
考え抜いて行動し続けた過去の日本代表監督には居なかった稀有な指揮官
であることは間違いなと昨日の試合で確信しました。予選や親善試合の内容が良かろうが良くなかろうがワールドカップ本大会で勝つということが代表監督の責務であり、そういった視点で言うとまずは大きな1勝を掴み取ったこと、その相手がドイツだったことが歴史的勝利の価値があると個人的には思っています。
選手も監督を信じて行動し作戦を遂行し過去の日本代表メンバーのような強烈な個性を感じないファンの方もいるかもしれませんがこれが新しいカタチの日本代表チームなのだと昨日自分も認識を新たにしました。同グループのもう一つの優勝候補であるスペインは次戦で日本が戦うコスタリカになんと7-0の圧倒的スコアで勝利しています。
バルセロナでも見られるような細かいパスワークを駆使し完璧な連動で次々得点をしてく様子を見る本当に優勝してしまうんじゃないかと思うぐらいの勢いです。コスタリカに勝つことが日本代表としては予選突破を大きく引き寄せる鍵になると思われますので勢いづいたこのチーム状態でさらなるパフォーマンスを期待したいと思っています。