(Leica M10 Monochrome+APO-Summicron M f2/50mm ASPH)
先日はライカQ3の話題を取り上げましたが、作品づくりとなると個人的にはやっぱりM10-RかM10 Monochromeの二択に結局なってしまいます。画素数では完全にQ3に後塵を拝するものの圧倒的な描写力を誇るMレンズが使えるのが個人的には”決めたい時”に使いたいレンズであり今回はライカ アポ・ズミクロンM f2/50mm ASPH. ブラック(APO-Summicron M f2/50mm ASPH.)を持ち出しました。5年前に購入した際はまだ90万円台だった気がしますが、今や定価は135万円。物価高や円安の影響も感じますが、欲しいものは早めに買わないと買えない時代になったと感じています。今回見ていただく写真は本能ブログCEOさじゃんがすべて撮影しております。無断転載、無断使用はご遠慮ください。
50mmでF2.0というスペックだけ見たら普通のレンズに感じるかもしれませんが、APO‐SummicronシリーズはLeicaの中で究極のレンズと知られ、無印のSummicronと比較しても2倍近くの価格差がありその秘密は、
(Leica M10 Monochrome+APO-Summicron M f2/50mm ASPH)
ーフォトグラファー 河田一規
ズミクロン50mmは1953年の登場以来、ドキュメントやポートレートなど様々な分野で多くの名作を撮影してきた名レンズです。今回試用したアポ・ズミクロンM f2.0/50mm ASPH.は、その進化型であり、非常に特別な存在です。f2.0という開放値にもかかわらず、より大口径なf1.4のズミルックスMよりも高価で、アポクロマートレンズや非球面レンズ、フローティング機構などを採用した贅沢な光学設計が特徴です。
同様の設計はアポ・ズミクロンM f2.0/75mm ASPH.などでも見られますが、中庸なスペックである「50mmF2」にこれだけの設計を施すのは、ライカならではの挑戦です。このレンズは、開放から絞り値にかかわらず、非常にシャープで解像力が高い描写を実現しており、特に合焦部分のシャープさと自然なボケ味が両立している点が秀逸です。これにより、シャープさと柔らかなアウトフォーカス描写という相反する要素を兼ね備えた、極めて完成度の高いレンズとなっています。ーLeica公式HP
という説明の通り個人的には圧倒的な解像感だと思っています。元々は初代M Monochrome用に作られとも言われているこのレンズ。最新型のM11Monochromeではありませんが、一代前のMonochromeでも十分にその性能を発揮できると考え今回持ち出して撮影しました。場所は国立新美術館や六本木になります。
Leica愛好家の中では有名な撮影スポット
(Leica M10 Monochrome+APO-Summicron M f2/50mm ASPH)
日本を代表する建築家である黒川紀章が手掛けた国立新美術館。外観も内観も彼の世界観が随所に散りばめられており、自分の様なセミプロ写真家が何気なくシャッターを切るだけでこの様な幻想的なアーキテクチャが作品として昇華してくれるので写真家には人気のスポットだったりします。国立競技場で有名な隈研吾氏のテイストは一線を画す無機質なデザインは海外のツーリストにも人気だったりします。
この写真に関しては露出や暗部の描写が難しいかなと思った一枚でしたが、M10 Monochromeの圧倒的なセンサーとAPO‐Summicronの描写力を感じることが出来た一枚を撮れたような気がします。
(Leica M10 Monochrome+APO-Summicron M f2/50mm ASPH)
この日はマティス展が開催されており、一部の作品は撮影が可能になっていました。彼の作品はどこかハンドメイド感を残す感じで温かみも感じます。Monochromeで撮るよりもカラーの方が彼の良さが出る気がしますが色を切ると彼の筆圧や筆跡を感じることが出来るような感覚に。
(Leica M10 Monochrome+APO-Summicron M f2/50mm ASPH)
マティスはこうした3次元的な作品も残していることをこの日に知りました。アンテナのようなオブジェがどこなく宗教的であり、照明に照らされた影も情緒を計算しているかのような作品に思いました。モノクロかつ美術館の暗い照明の中でここまで描けるAPO‐Summicronってやっぱり描写力が半端ないないなとレンズのスペックに驚いています。確かにこうした写真がQ3でも撮れるのかもしれませんが、現像なしレタッチなしでここまで描けるなら十分だと感じます。
六本木をmonochromeと歩く
(Leica M10 Monochrome+APO-Summicron M f2/50mm ASPH)
夜の六本木はアメリカから渡航中止勧告エリアとして東京で唯一指定されているエリアだったりするほど、良い印象は無いかもしれませんが昼間は非常にヘルシーで清潔感もあってノーブルな印象です。ミッドタウンも開業してそれなりの年月が経過しましたが、麻布台ヒルズにも負けない上品さは兼ね備えているように感じます。個人的には、monochromeデータをこうして現像してフィルム的な色合いにしていくのもアリなような気がしています。
(Leica M10 Monochrome+APO-Summicron M f2/50mm ASPH)
東京という街は集合住宅の街でもありますし、こうした古いマンションを建て替えずリノベーションしながら共存している部分も垣間見れていい意味でのアジア感も残しているように感じます。白飛びしている所もありますすが、現代では使われなくなった木版のレリーフのような壁の質感を最大限解像しようとするM10 Monochromeには撮影後に驚かされる事が多いような気がします。M11シリーズでなくてもデジタルライカとしてそろそろ表現を出し尽くしているとも思っています。(レンズ性能がボディに勝っている状態が均衡してきたということ)
(Leica M10 Monochrome+APO-Summicron M f2/50mm ASPH)
以前ご紹介した、ヴィーガンスイーツ専門店の看板犬。何気ない1枚かもしれませんが、色を落とすと犬に表情が生まれるような気がするのは自分だけでしょうか?戦前のモノクロ写真のほうが個人的にエモーショナルだと思っているのは、色という情報を排除すると人は視点が変わると思っている点です。この写真の描写ぐらいであればQ3でも表現可能かと思いますが、APO-Summicronの解像感も感じるポイントしては犬の布のテクスチャーだったりもするのかなと。
まとめ
(Leica M10 Monochrome+APO-Summicron M f2/50mm ASPH)
本日もまた拙い写真でお付き合いいただきありがとうございます。ライカはドイツのメーカーでポルシェ的な”最新こそ最良”的な売り方をするブランドだと思っています。しかし、未だに10年以上前のデジタルカメラであるM9が高値で取引されているのを見るとM10シリーズで個人的にはApo-SummicronやNoctiluxなどのドリームレンズの性能を引き出せるセンサーに十分なったと感じます。後は、撮影時の手ぶれ補正など補助機能が充実すれば言うことがないような気がしますがM12でも実装されるかは不明です。世界一高額なトイカメラであるM10 MonochromeやM11 Monochromeはこうした、作品と言っても言い過ぎではない写真を簡単に吐き出してくれる点が、昨今話題になったQ3との大きな違いだと思っています。
アンチテーゼとして秋の紅葉シーズンではM型ライカにみまごう写真をQ3で撮れるのか?というチャレンジもしてみようと思っています。ぜひまた、カメラ好き・写真好きの方も覗いていただいたら嬉しいなと思っています。