昨日12月8日(日本時間)アメリカ・ラスベガスのT-モバイル・アリーナで開催された『UFC 310』。日本のMMAファンにとって注目を集めたのはRIZINで活躍してきた元バンタム級王者・朝倉海選手が、現UFCフライ級王者アレッシャンドレ・パントージャ選手に挑んだUFCデビュー戦です。今回は試合展開、現地メディアの評価、そして試合後の朝倉選手のコメントや今後の展望を詳しく掘り下げます。
試合展開:朝倉の勇敢な挑戦
第1ラウンド:攻撃的な立ち上がり
試合開始直後から朝倉選手は積極的な攻撃を展開しました。特に観衆を驚かせたのは飛び膝蹴り。これは、攻撃的なスタイルで知られる彼の真骨頂といえるものでした。また、鋭いボディへの打撃やハイキックで王者パントージャにプレッシャーを与え続け、会場は盛り上がりを見せました。しかし、パントージャ選手もこれに冷静に対応。左フックでカウンターを繰り出すと同時に、テイクダウンの隙を見逃さずに攻め込む場面もありました。このラウンドでは両者の攻防が拮抗し、朝倉選手はスタンドでの優位性を見せつつも、グラウンド戦への課題が浮き彫りとなりました。
第2ラウンド:王者の貫禄
第2ラウンドに入ると、パントージャ選手がフットワークを駆使して試合のペースを握り始めます。スタンドでは左右のフックを的確に当て、さらに距離を詰めてバックポジションを奪取。リアネイキドチョークによって朝倉選手を絞め落としました。結果、パントージャ選手が2ラウンド目にして一本勝ちを収め、王者の実力を見せつける試合となりました。
現地メディアのレビューと評価
パントージャの評価
アメリカのMMAメディア『MMA Mania』は「パントージャは朝倉を眠らせ、マイティ・マウスに挑戦状を叩きつけた」と報じ、グラウンドでの支配力と勝負どころでの冷静さを称賛しました。また、試合を通じてパントージャ選手が見せたスタミナや試合運びの巧みさについても高い評価を受けています。
『MMA Fighting』では「UFCとRIZINの競技レベルの差を如実に示した試合」としつつも、「朝倉のような才能がUFCで磨かれることで、日本MMA界全体が向上する可能性がある」との論評がなされています。
朝倉への期待
現地メディアだけでなく、他のファイターたちからも朝倉選手への注目が集まりました。アルジャメイン・スターリング選手は「朝倉の攻撃的なスタイルは素晴らしい。グラウンド面を強化すれば大いに期待できる」とコメント。対照的に、デレク・ブランソン選手は「この試合は過大評価されていた」と辛辣な意見を述べ、RIZINとUFCの間に依然として埋められない差があることを指摘しました。
朝倉海選手のコメント:敗戦からの再出発
たくさんの応援ありがとうございました
— 朝倉 海 Kai Asakura (@kai_1031_) 2024年12月8日
結果で返せなくて申し訳ないです
素晴らしいチャンピオンだった
そして自分がまだ弱かった
今回は届かなかったけど
必ず這い上がってチャンピオンになる
今までもそうしてきたしできるまでやり続ける
強くなって戻ります pic.twitter.com/l6ig42pAMv
試合後、朝倉選手は自身のSNSで「たくさんの応援ありがとうございました。結果で返せなくて申し訳ないです。素晴らしいチャンピオンだった。そして自分がまだ弱かった」と投稿。この言葉には、彼が王者パントージャ選手の強さを認めつつ、自身の成長の必要性を痛感していることが感じられました。
さらに、「必ず這い上がってチャンピオンになる。今までもそうしてきたし、できるまでやり続ける。強くなって戻ります」と述べ、ファンに再起を誓いました。
UFC代表ダナ・ホワイトの発言
UFC代表のダナ・ホワイト氏は、試合後の記者会見で「朝倉は最高峰の選手と戦った。彼が勝てば日本でのビッグマッチが実現しただろう」とコメント。また、RIZINから他の有望な選手をUFCに迎える可能性についても「日本には才能が溢れている。朝倉も含め、今後の日本人ファイターたちの成長を楽しみにしている」と語りました。
今後の展望:朝倉海の課題と可能性
今回の敗戦を受けて、朝倉選手が直面する最大の課題はグラウンド技術の強化と感じています。スタンドでの攻撃力は十分に通用しているものの、UFCレベルの選手に対抗するためにはテイクダウンディフェンスやサブミッション対策の向上が不可欠です。またUFCでの再戦に向けてアメリカでのトレーニングキャンプを行うなど、より高いレベルでの環境適応も重要になるでしょう。堀口恭司選手のように完全に拠点をアメリカに移すのも検討するべきかもしれません。RIZIN時代のファンや新たに注目するUFCファンの期待を背負い、朝倉選手がどのような形で復活を遂げるかが注目されます。朝倉海選手のUFCデビュー戦は厳しい結果となりましたが、その挑戦は日本のMMA界に新たな可能性を開くものです。敗北を糧にさらなる高みを目指す彼の今後の戦いに期待するとともに、日本人ファイターがUFCで活躍する日が訪れることを願います。
今後もMMA試合情報や年末のRIZIN Decadeついても、本能ブログで追って報じていきますので、お楽しみに!