ヒップホップを題材とした話題のABEMAオリジナルドラマ「警視庁麻薬取締課 MOGURA」が先日最終回を迎えました。そして3月17日よりなんとNetflixでも世界配信がスタートし連日チャートインするほどの人気となっています。ヒップホップという特殊な題材でありながらなぜここまでの人気となったのか?そしてこの作品の魅力とは一体何なのかを今回はお届けしたいと思います。
警視庁麻薬取締課 MOGURA
□あらすじ
「従うべきは、法か自分かー。」大麻の蔓延が社会問題となっている日本のとある都市。大麻栽培が疑われるHIPHOPグループの一斉摘発を目的に、現役刑事である主人公・伊弉諾(いざなぎ)に突如ラッパー集団への潜入捜査が命じられるー。(公式HPより)
「警視庁麻薬取締課 MOGURA」は企画・プロデュース鈴木おさむによるABEMAオリジナルのヒップホップエンタメドラマです。(※以下多少のネタバレあり)
自分はNetflixでの配信が始まった段階での視聴となり、サムネのシリアスな様子からも当初は「地面師たち」の様なヒリヒリとしたクライムサスペンスかと思い見始めました。しかし見初めてみるとどうも様子が違う。主人公の警官が潜入捜査とはいえいきなりステージ上でフリースタイルのラップをかましてしまったり、まるで海外のギャング映画ばりに違法薬物がでてきたりとなかなかのトンデモ設定。果たしてどこまでが実話なのかわからないはちゃめちゃな内容なのですが、見ていると知らぬ間にグイグイと物語に引き込まれていきます。
現役ラッパー達による迫真の演技
この作品の魅力としてまず挙げられるのはキャスティングでしょう。主人公の潜入捜査官である伊弉諾翔吉(いざなぎしょうきち)を演じるのは連続ドラマ初主演となるラッパーの”般若”。これまで映画などの出演はあったものの主演はこの作品が初とのこと。しかしこの般若の演技がものすごく良い!”困っているいる人は放っておけない”という真っ直ぐな熱血警官を体当たりで演じています。どこか不器用な主人公のキャラクターが般若自身と重なるところもあってかとにかくがむしゃらな感じが非常に魅力的です。シリアスな設定の物語を良い感じに中和する役目もあり、とにかくカッコよくて憎めない主人公を熱演しています。般若、今後役者のオファーが爆上がりしそうな予感がします。
主人公伊弉諾が潜入するラップグループ”9門(くもん)”のメンバーを演じるのはJin Dogg、G-k.i.d、Red Eyeといった現役の人気ラッパー達。自分はヒップホップにそこまで詳しくはないのでこの作品で初めて知ったラッパー達も大勢いますが、一概に言えることは般若もそうですがラッパーの皆さんの演技が上手すぎるということ。自分の想いを言葉に乗せるのが本職だからなのか、皆とても初めてとは思えない演技で本当に驚きます。ヒップホップに詳しい人であれば、こんなラッパーがあんなシーンに出演している!なんんて楽しみ方もできるのは自分としては羨ましいところです。
そして9門と敵対するラップチームのボスBorn-Dとして別格の存在感を放つのは”吉村界人”、Netflixオリジナル作品「地面師たち」でのチャラいホスト役のあの彼です。「地面師たち」での怪演が評判となって以来とにかく似た役が多いとのことですが、本作でもその魅力は遺憾なく発揮されています。現在日本で”チャラいちょいワル”を演じさせたらこの人の右に出る人はいないでしょう。般若と対照的に吉村界人が画面に出る時は場の空気が一気に引き締まるのを感じます。
要所で差し込まれる場面解説として物語をラップでナビゲートするのはMummy-D(ライムスター)。新旧ラップスターの共演としてこちらもヒップホップファンにはたまらないポイントかと思います。
圧巻のステージング
音楽ものの作品として外せないのはやはりラストのライブシーンですが、この「警視庁麻薬取締課 MOGURA」でももちろんそれは用意されています。物語のラストで繰り広げられるマイクリレーはとにかく圧巻、ヒップホップをよく知らない人でもブチ上がること間違い無しのステージングは必見です。実はこのシーンは公式からYouTubeにもアップされているのですが、こちらはストーリーをしっかり追った上でご覧になっていただきたいと思います。
ヒップホップというまだまだ間口が狭そうな題材ですし劇中にはあり得ないくらい違法薬物が出てきますが、その実はめちゃくちゃポップで非常に見やすい作品となっております。随所でラップミュージックが流れる新感覚ヒップホップドラマ「警視庁麻薬取締課 MOGURA」」、誰でも楽しめる極上のエンタメ作品ですので皆さんもぜひご覧になってみてはいかがでしょうか。