こんにちは新人ライターSです。5月も下旬に差し掛かり、来月は夏に突入しますね。そして梅雨にも入り気分が晴れない日が続きますが、そんな時はゆっくり読書を楽しむのもおすすめです。
今回は、好評の書評をやっていこうと思います。本屋大賞を取り、映画化もした辻村深月さんの「かがみの孤城」をご紹介いたします。幅広い世代から絶大な支持を得ている辻村深月さん。私も作家の中で好きな方の一人です。ぜひ最後まで読んでみてください!
辻村深月さんのプロフィール
辻村深月さんは、1980年2月29日生まれです。千葉大学教育学部卒業。大学卒業後は、甲府の県庁事務局で団体職員として勤めていました。社会人時代も小説を書き続け、20004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。そして2018年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。その後も『傲慢と善良』の映画化、多数のイベント出演など、様々なシーンで活躍しています。
『かがみの孤城』あらすじをご紹介
学校に行けなくなった主人公の少女・安西こころ。ある日突然、部屋の鏡が光り始めます。鏡の中に入ってみると、鏡の中にお城が聳え立つ別の世界が広がっていました。そこにいたのは、こころと同じように学校という場に馴染めなかった6人の中学生と、オオカミのお面をつけた少女「オオカミ様」がいます。
城の中には、なんでも願いが叶う「願いの鍵」があるとオオカミ様は言います。それを見つけ出せば、必ず“1つ願いは叶う”と。
果たして、鍵はいったいどこにあるのか。それぞれはどのような願いを持っているのか。物語の結末が気になる作品です。
主な登場人物は7人の中学生
作中で出てくる人物は、1人を除いて雪科第五中学校に通う生徒です。
引っ込み思案で内気な「こころ」、活発で明るい「アキ」、ピアノが好きで真面目な「フウカ」、明るいサッカー少年な「リオン」、食べることが好きで少し臆病な「ウレシノ」、ゲームが好きな「マサムネ」、大人っぽくて優しい「スバル」が登場します。
他にも物語のキーワードである「オオカミ様」や「喜多嶋先生」、いじめっ子の「真田美織」などが登場します。
学校に行かないじゃない、“学校に行けない”
作中には7人の中学生が出てきますが、それぞれ事情があり不登校です。主人公のこころは、真田美織という同じクラスの女子からいじめられて学校に行けなくなります。
ピアノが好きな「フウカ」は、レッスンの先生から“才能がある”と褒められたことにより、母親が熱心に力を入れます。突き指をしてしまうから体育の授業はお休みしたり、全国コンクールに出たりと、次第に学校に行かなくなります。
他にも親がおらず、兄が不良の「スバル」は、兄と同様問題児扱いされています。サッカーが好きでハワイの学校に通う「リオン」は、家庭の複雑な事情が。そして陰口を言われている「ウレシノ」と「オレの友達が、オレの知り合いが」の自慢話ばかりすると“ホラマサ”と付けられた「マサムネ」。
祖母が亡くなり、テレクラで知り合った大学生と付き合い始める「アキ」は、様々なことが重なりバレー部の子たちから、いじめをしていると言われてしまいます。さらには義父からの性暴力。詳しい内容は、ぜひ読んでみてからチェックしてみてください。登場人物の細やかな情景描写を読み取ることができます。
映画にはないシーンが小説では描かれています
エピローグには、アキのその後が描かれております。ネタバレになってしまうので、ここでは詳しくは書きませんが、生い立ちが簡潔にまとめてあります。映画にはないシーンですので、ぜひチェックしてみてください。
皆さんは不登校にどのようなイメージをもっていますか?
私が学生の頃は、不登校に対する風あたりは今よりも強かったと感じます。現在は、フリースクールや通信制の高校、同じ不登校同士でのコミュニティなど自分に合った居場所を選択できるようになりました。さらにもっと視野を広げてみると、バイト先や習い事、SNSなど多岐にわたります。数ある選択肢の中で、居場所を作ろうと頑張る子はきっと多いはずです。しかし、どこにもなんとなく所属できない、合わないと感じてしまう子も少なくありません。そしてどこにも所属できなかった自分はやっぱりはみ出しものなのだと、責めてしまう子もいるので、“どの輪の中にも入らない”という選択肢を作ってあげるのもいいのかなと思います。
不登校はマイナスイメージでしょうか?
理由はどうであれ“学校を休む”ことや“行かない”という選択肢を取るということは、多数派から少数派になるわけなので、とても勇気がいることです。
大人の立場である親や先生は、不登校の子に対してあれこれ口出しをしてしまうことが多くあります。そして最終的に学校に行けるようになってほしいと、考えることがほとんどです。
子供のことを思い、先回りしてしまう気持ちもわかりますが、その子の行動を信じて待ってみるというのも大切な気がします。未成年という立場で、選択権を握らせるというのはかなり不安な面もありますし、大人としてなんとかしないと、という気持ちがあるのも分かります。ですが、先回りをして解決しようとすると「やっぱり自分のことを信じてくれないんだ」という感情が湧き出てしまうのではないかと思います。
私は子供の頃、大人は何事においても正しいと思い込んでいました。ですが今、大人の立場になってみると、常に正しいわけではないと感じます。なので早々にアドバイスや解決しようとするのではなく、その子自身の考えや選択を時間がかかってもいいので、待ってみてあげてもいいのではないでしょうか。
まとめ
もし、中高生の自分に1冊だけ本を渡せるなら、迷わず『かがみの孤城』を選ぶと思います。登場人物の生い立ちや経験など、違った視点を覗くことができる一冊です。大人の方も、現在学生の方もぜひ手に取って読んでみてください。
かがみの孤城公式サイト:映画『かがみの孤城』公式サイト
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