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読書が苦手な方にもおすすめ!坪田譲治文学賞受賞作の『きみはいい子』をご紹介

最近電子書籍デビューを果たした、新人ライターSです。読書が苦手という方は多いのではないでしょうか?実際私の周りでも読書を全くしない方や、漫画も読まない方が増えてきているなと実感します。そこで今回は、本が大好きな私が選ぶ、読書初心者の方におすすめの連作短編集『きみはいい子』をご紹介いたします。物語がサクサクとすすみ、あっという間に読み終えてしまう短編集です。現代を生きる方にぜひおすすめしたい1冊ですので、少しでも気になった方は、手に取って読んでみてください。

中脇初枝著『きみはいい子』とは

『きみはいい子』とは、中脇初枝さんが2012年に描いた短編集です。桜ヶ丘の住宅街を舞台に、「サンタさんの来ない家」「べっぴんさん」「うそつき」「こんにちは、さようなら」「うばすて山」の5つ物語が展開されます。現代で話題となっている、虐待、いじめ、介護など様々な話題がテーマです。

正直どの話も目を覆いたくなるような話ばかりですが、最後には希望があります。様々な角度から葛藤や苦しみを感じることができ、細やかな心理描写に注目していただきたい作品です。

2015年には映画化もされており、高良健吾さんや、尾野真千子さんなど名俳優たちが出演しています。気になった方はぜひチェックしてみてくださいね。

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5つの物語を紹介◎

「サンタさんの来ない家」

ネグレクトと、学級崩壊がテーマのお話。小学生の男の子“神田さん”と、新米教師の“岡野先生”の2人が主人公です。

その子は、いつも給食をおかわりして食べた。でも、ちっとも太らず、やせっぽちだった。いつも同じ服を着ていた。なにかがおかしいと、教師になって二年目のぼくでも、さすがにきづくべきだった。気づけなかったのは、ぼくのクラスが崩壊しそうになっていたから。(6ページ引用)

岡野先生は新人ながらも、クラスをよくしようと必死。ですが、全て空回りしてしまいます。ある日、先生はある宿題を出します。それは「家族に抱きしめられてくること。」周りは宿題を照れながらやるも、神田さんだけができず…

「べっぴんさん」

子供への身体的虐待をテーマにしたお話。明るく能天気な“はなちゃんママ”と、真面目で気難しい“あやねちゃんママ”の2人がメイン。

うわべはにこにこしているゆいちゃんのママだって、こうやくんのママだって、りえちゃんのママだって、家ではきっと、こどもが気に入らなければ、ひっぱたいてる。なかでも、ひかるくんとはなちゃんのママ。このひとの笑顔はわざとらしすぎる。(80ページ引用)

おさえられない怒りは、忘れられない記憶なんだと思う。(92ページ引用)

あたしもそうだった。なにもかもがくりかえされる。はじめからなにもしなければ、きっと、こんな気持ちにはならなくてすむのに。こどもを、生まなければなかったのに。そう。ママは、生まなければよかったのに。あたしなんか。(121ページ引用)

あやねちゃんママは、明るくておおらかな、はなちゃんママにいつもイライラしています。真逆な2人ですが、交流を重ねていくうちに、ある共通点があって…

「うそつき」

発達障害の小学生“優介”と、転校生でワケありの家庭環境で過ごす“だいちゃん”の2人の友情のお話。

だいちゃんがうそをついていると信じているのは、きっと優介だけなんだろう。だから、だいちゃんはうちにやってくる。省略。現実の全てはうそだと、だいちゃんはうそつきだと信じてくれている、優介のもとに。(181ページ引用)

たとえ別れも、二度と会わなくても、一緒にいた場所がなくなってしまったとしても、幸せなひとときがあった記憶が、それからの一生を支えてくれる。どんなに不幸なことがあったとしても、その記憶が自分を救ってくれる。(195ページ引用)

いつも落ち着いていて優しいだいちゃんが、なぜ子供っぽい優介と仲良くしているのか。だいちゃんの背景には何があるのか、自分の思い出と重ねあわせる父親の想いとは…

「こんにちは、さようなら」

一人暮らしの孤独なおばあさん“あきこ”と、自閉症の男の子“ひろやくん”とそのお母さんの出会いのお話。

たいていのこどもたちは、わたしのようなよぼよぼのおばあさんなんて、気づきもしないでかけぬけていくけど、ひとりだけ、いつもわたしにあいさつをしてくれる男の子がいる。「こんにちは、さようなら。」彼は、わたしを見ると、すれちがいながら、いつもそう言ってくれる。(203、204ページ引用)

ある日、ひろやくんが家の鍵をなくしてしまって、あきこさんがひろやくんを預かることになったのだが…

「うばすて山」

姉のかよ、妹のみわ、そして認知症のお母さんの、姉妹間での格差、認知症の母親の介護の話。

おかあさんはずるい。自分は母親に優しくしてもらったのに、わたしにはなにもしてくれなかった。わたしはなにもかもおぼえているのに、おかあさんは自分のしたことを、なにもかもわすれてしまった。おかあさんはずるい。(269ページ引用)

みわは結婚して、こどもを生むことをえらんだ。わたしは、その道がえらべなかった。その道の先がおそろしかった。自分も、おかあさんと同じことをしてしまいそうで、こわかった。だから、わたしには、許せない。(281ページ引用)

娘の顔も過去も忘れ、子供に戻っていた母親。ある日、わたしがいなくなればどうなるだろうと、電車の中で繋いでいた手を離そうとするが…

同著の『わたしをみつけて』もおすすめ

『きみはいい子』と同じ桜ヶ丘を舞台に、 児童養護施設で育った准看護師の主人公が、家族や医療の問題につまづきながらも自分の本当の居場所を見つけていく物語です。わたしをみつけて | 中脇初枝 |本 | 通販 | Amazon

神田さんのその後の話も描かれています。気になった方は、ぜひ読んでみてください。

まとめ

今、私たちが何気なく生活している中で、この物語のようなことが実際に起こっているということを忘れてはいけないと感じました。いつも本を読んでいて思うことは、私の人生とは違った人生が広がっていて、それを感じられるのが、いつも楽しいと改めて感じます。登場人物の様々な経験は、まるで自分の経験のように積み重なって私自身を深めてくれるような気がしています。これからもたくさん本を読んで、ライターとして深みを与えられるような人になれるように日々努めていきたいです。