
みなさんは、ディズニー派?USJ派?本能ブログ編集長さじゃんです。今日は、ニュースピックスが仕掛けたマーケティング会社刀や森岡毅氏に対する疑惑報道。刀側も公式サイトにプレスリリースを出すなど、森岡毅氏側も無視できない展開になっています。実際に何が起きて、何が問題なのか”本能ブログ的に”解説してみたいと思っています。

森岡毅とは何者か – “マーケティングの神”の素顔

「森岡 毅(もりおか つよし)」は、日本のビジネス界で“マーケティングの神”とも称される伝説的なマーケターです。1972年生まれの森岡氏はP&Gでの実績を経て、2010年から経営危機にあったテーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)」の再建に参画しました。そこで映画『ハリー・ポッター』エリアの導入やハロウィン・イベントの大成功など数々の施策を打ち出し、低迷していたUSJの年間入場者を劇的にV字回復させた立役者として知られています。USJでの功績により、一躍“最強のマーケター”として名を馳せた存在です。 2017年、森岡氏はUSJの執行役員を退任し、自らマーケティング会社「株式会社 刀(かたな)」を設立しました。以降、マーケティングの知見を武器に様々な企業再生や事業創造に携わっています。例えば、うどんチェーン「丸亀製麺」を展開するトリドールホールディングスのブランド再構築支援や、老舗遊園地「西武園ゆうえんち」の昭和レトロ風リニューアルなどに参画し実績を重ねています。まさに“企業の救世主”とも言える華々しい経歴の持ち主ですが、そんな森岡氏に今、新たな試練と論争が降りかかっています。
マーケティング会社「刀」とは?その事業内容に迫る
森岡氏が率いるマーケティング会社「刀」とは、一体どんな企業なのでしょうか。刀は自称「世界初のマーケティングノウハウのライセンシングカンパニー」であり、企業にマーケティングの極意を“移植”して自走力を高めることをミッションとしています
。平たく言えば、各分野の精鋭マーケターたちがクライアント企業に深く入り込み、戦略立案からブランド構築、組織づくりまで支援するコンサルティング集団です。その根底にあるのは「マーケティングとエンターテイメントで日本を元気に!」という創業理念。卓越したマーケティング理論やデータ分析を駆使し、新たな事業価値を創造することで社会課題の解決や地域活性化に貢献しようとしています。 刀は2017年の創業以来、二度の資金調達を行っており、累計で約220億円もの資金を集めています。特に注目を集めたのが、2022年に政府系ファンド「クールジャパン機構(海外需要開拓支援機構)」から受けた最大80億円の出資です。国も出資者に名を連ねることで、刀は地方創生・観光振興を担う大きな期待を背負う企業となりました。この豊富な資金と独自ノウハウを背景に、刀はテーマパークや大型施設の企画・再生にも乗り出しています。先述の西武園ゆうえんちリニューアルのほか、兵庫のリゾート施設「ネスタリゾート神戸」のV字回復支援、東京・お台場では自社資金で全天候型テーマパーク「イマーシブ・フォート東京」を開業するなど、その活躍は多岐にわたります。そして現在、刀が総力を挙げて取り組んでいるのが沖縄の超大型テーマパークプロジェクト「ジャングリア沖縄」です。
「ジャングリア沖縄」とは何か?場所・規模・構想を解説

ジャングリア沖縄(JUNGLIA OKINAWA)**は、2025年7月25日に開業予定の巨大テーマパークです。場所は沖縄本島北部、名護市と今帰仁村にまたがる広大な敷地で、その面積は東京ディズニーランドを上回る約60万平方メートル(敷地総面積は約120ヘクタール)にも及びます。東京ドーム26個分というスケールの土地に、22種類ものアトラクションと15の飲食施設、10の物販店が建設され、一大リゾートパークが誕生しようとしています。総事業費は約700億円とされており、日本のテーマパーク史上でも屈指のビッグプロジェクトです。 上記:沖縄北部の「ジャングリア沖縄」コンセプトイメージ(画像提供:ジャパンエンターテイメント) コンセプトは「Power Vacance!!(パワーバカンス)」――旅行ならではの興奮と特別な贅沢感、そして南国沖縄の解放感を凝縮したテーマが掲げられています。熱帯のジャングルとビーチリゾートが融合したような非日常空間で、恐竜が闊歩するサファリをオフロード車で探検したり、絶景の天然温泉スパで癒やされたりと、大人から子供まで“本能が喜ぶ”体験を提供する計画です。目玉アトラクションの一つ「ダイナソー・サファリ」では最新アニマトロニクス技術で動く20頭もの恐竜たちが登場し、12人乗りの大型車両でジャングル深くまで冒険するスリル満点の体験ができるとのこと。まさに国内最大級のテーマパークとして、開業前から大きな話題と期待を集めています。 この
ジャングリア沖縄の企画開発を主導するのが他ならぬ株式会社刀
です。運営会社「ジャパンエンターテイメント」に刀は筆頭株主として参画し、2018年の構想発表以来7年にわたり準備を進めてきました。国もこのプロジェクトに注目しており、2025年1月に都内で行われた記者発表会には、自民党の石破茂・元閣僚が出席して「交通インフラ整備など全面支援する」とエールを送る場面もありました。森岡氏自身、「沖縄は半径4時間圏内にアジア主要都市の多くが含まれ、市場規模は20億人に及ぶ。アジアの富裕層を取り込めば、オリエンタルランド(ディズニー運営企業)に匹敵する規模のパークも理論上は可能だ」と語り、沖縄から世界を狙う壮大な野望を公言しています。さらに「沖縄北部を美ら海水族館と並ぶ観光目的地にするため、沖縄最大の売上規模を目指す」「経済の起爆剤となり地域に新たな需要を生み出すのが自分の使命だ」ともメディアに述べており、地方創生の切り札としての意気込みが伝わってきます。 そんな華やかな「ジャングリア沖縄」ですが、その開業直前に思わぬ形で注目を浴びることになりました。ニュースサイト「NewsPicks」と刀の間で起きた“ジャングリア赤字論争”――果たして何が起こったのでしょうか?
発端:NewsPicks報道 vs 刀 – 「ジャングリア論争」とは
事の発端は、経済メディア「NewsPicks」が2025年6月末に配信した2本の調査報道でした。6月30日と7月1日に連日公開されたこの報道で、NewsPicksは森岡氏率いる刀の“意外な実態”を暴きました。
第一報(6月30日)は《【森岡毅】最強マーケターは、大赤字を叩き出していた》との衝撃的なタイトルで、動画付きで配信されました。その内容は、大きく二つのポイントに言及していたようです。一つは刀の経営状況について。具体的には、刀がこれまで携わった案件で思うような成果が出ていない事例があり、直近の2024年度決算では最終赤字24億円もの“大赤字”を計上しているというのです。報道によれば、刀が支援した西武園ゆうえんちでは一部で減損(資産価値の大幅な目減り)が発生し、またブランド再建を支援したトリドールHD(丸亀製麺運営会社)とは紛争(おそらく業務提携解消か訴訟)が起きているとのこと。さらに、自社資金で開業したお台場のテーマパーク「イマーシブ・フォート東京」が不振で、こうした要因が重なって刀は2024年度に24億円もの巨額赤字に陥った…というのがNewsPicksの指摘でした。華々しい成功者と思われていた森岡氏と刀ですが、その裏側では苦戦や失敗もあり「実は業績不振なのではないか?」との論調です。
そして第二報(7月1日)では、さらに踏み込んだ内容が伝えられました。それは刀と森岡氏の“ファミリー企業”との不透明な資金の流れに関する疑惑です。NewsPicksの調査によれば、刀は森岡氏の親族が役員を務める別会社「森岡マーケティング研究所」に対し、コンサルティング料等の名目で年間1億円以上、累計で数億円規模の資金を支払っていたというのです。森岡マーケティング研究所は森岡氏の家族で役員が固められた実質的なファミリー企業とみられ、「国から出資された資金が森岡氏の身内企業に流れているのではないか」との疑念が浮上しました。刀には前述の通りクールジャパン機構から80億円もの公的出資金が投入されています。つまり税金を原資とした巨額マネーが、森岡氏個人の関連会社に迂回して還元されている可能性がある、と示唆したのです。
これらNewsPicksの報道は大きな波紋を呼びました。報道直後からSNS上では「税金が私企業に流用されているのではないか」と批判が殺到し、瞬く間に炎上状態となりました。マーケティング界のヒーローに何が起きているのか――ジャングリア開業を控えたタイミングでのスクープは、大きな注目と議論を巻き起こしたのです。
刀の反論 – 「憶測に基づく一方的な内容」で真っ向否定

NewsPicksによる連日の告発報道を受け、標的となった株式会社刀もすぐに反応しました。7月1日付けで刀は公式サイトに「NewsPicksによる『刀』に関する報道について」とのコメントを発表。
そこでは今回の報道内容について「憶測や偏った見方による一方的な内容」であり、「事実関係を丁寧に説明する機会もなく、遺憾である」とNewsPicks側を強く批判しました。つまり、きちんと自社に取材や確認もせず一方的に書かれた不本意な記事だ、という立場です。 しかし、この第一報の反論コメントでは具体的な論点への反証は示されませんでした。森岡マーケティング研究所への多額の支払いについて事実か否か、どういった契約だったのか、といった核心部分には言及せず、「一方的で遺憾だ」という姿勢表明に留まったのです。この歯切れの悪さに対し、ネット上では「明確に否定できないということは図星なのでは?」「具体的な説明がないのは実質的な白旗ではないか」と厳しい声も上がりました。森岡氏ほどの戦略家にしては珍しく守勢に回った印象を受けます。 こうした批判を意識したのか、刀はさらに7月3日付で追加の説明を公表します。それが「NewsPicks報道に起因する誤解について」と題した二度目の公式声明でした。この中で刀は、特に問い合わせが多かった一点について明確に否定しています。それは「クールジャパン機構が刀に出資した80億円の一部が、森岡氏の個人法人(森岡マーケティング研究所)に支払われたのではないか」という疑念です。刀は以下のように説明しました。
「クールジャパン機構が弊社に出資した金額は80億円であり、当該出資を受けた後、弊社は当該80億円に加えて弊社自身の資金も追加した金額をジャングリア沖縄の運営会社に出資をいたしました。クールジャパン機構による弊社への出資金の一部が、森岡個人法人に支払われたとの事実は一切ございません。」
要するに、「受け取った80億円はまるごと(自社資金も上乗せして)沖縄のテーマパーク事業会社に投じており、森岡氏個人の会社に流した事実はない」と断言したのです。この点についてはクールジャパン機構側も同様のプレスリリースで公表済みとのことで、誤解しないよう強調しています。 もっとも、この声明でもそれ以上の個別具体的な説明には踏み込んでいません。問い合わせが相次いでいる他の点については「守秘義務の観点から説明を控える」とし、森岡マーケティング研究所への支払いの詳細などは明かされませんでした。刀としてはこれ以上の情報開示はせず、「今後も日本の発展に尽力していくので引き続き応援をお願い致します」と結んでいます。この態度には「結局何も説明していない」「都合の悪いことには触れないまま幕引きを図っている」といった批判もあり、依然として議論はくすぶっています。
SNSや世間の反応 – 賛否両論と論点の食い違い

今回のNewsPicks vs 刀の「実態は赤字論争」について、SNSやネット上では様々な意見が飛び交いました。多くはやはり「税金が原資のファンドマネーが身内企業に流れるなんて許せない」といった怒りの声です。例えばX(旧Twitter)上では、「実質的に公金の横流しじゃないか?」「こんなスキームを見抜けなかったクールジャパン機構も問題だ」といった批判が相次ぎました。「刀の肝心の事業(テーマパーク運営)が軌道に乗っていない中でこの資金移動はさすがにマズいのでは?」との指摘もあり、森岡氏個人や刀だけでなく、出資元であるクールジャパン機構の責任論へと話が広がっている側面もあります。 一方で、一部には森岡氏を擁護する意見も見られます。「報道がセンセーショナルすぎるのでは?」「森岡さんほどの人が私腹を肥やすためだけにやるとは思えない」といった声や、「USJ復活や数々の成果を考えれば、もう少しフェアに評価すべきだ」という主張もありました(森岡氏のファンやビジネス関係者からは、今回のNewsPicks報道の切り取り方に疑問を呈するコメントも散見されました)。しかしこうした擁護論は、燃え上がる批判の前では少数派だったようです。 また、多くの人が着目したのは「結局ジャングリア沖縄は大丈夫なのか?」という点です。刀が赤字だ、大型投資が危うい、などと言われると肝心のテーマパーク計画の先行きに不安を感じるのは当然でしょう。SNS上でも「ジャングリアは黒字化させなければ説明がつかない」「オープン後が本当の勝負だ」という声が上がっています。むしろ今回の報道で逆にハードルが上がり、「絶対に成功させないといけないプロジェクトになった」と見る向きもあります。森岡氏自身にとっても、これまで積み上げてきた“マーケ神話”の真価が問われる正念場となったのは間違いありません。
論争の核心 – メディアと企業、それぞれの主張をどう読み解くか

この「刀マーケティング赤字論争」では、NewsPicks側(メディア)と刀側(企業)で論点の焦点が微妙にずれています。それゆえ双方の主張を整理すると、背景にある構造が浮かび上がってきます。 まずメディア側(NewsPicks)の視点は、「公的資金が投入されたプロジェクトで不透明な資金流用がないかチェックする」という公益性に根差しています。クールジャパン機構の出資金80億円という国費が入っている以上、他の一般企業以上に透明性と説明責任が求められるのは当然です。森岡氏の親族企業への多額支払いスキーム自体は中小企業でよくある節税策かもしれませんが、それを国が関与する案件でやってしまうことへの道義的な問題をNewsPicksは指摘したと言えます。「法律的に即アウトと断言はできないグレーな手法でも、税金絡みなら許される話ではないだろう」というわけです。さらに、刀の業績が芳しくなく巨額の累積赤字を抱えている点も「本当に大丈夫か?」と疑念を呈するポイントでした。国策ファンドが支援した先が成果を出せていないとなれば、それは出資判断を下した側(官民の投資委員会)への批判にもつながります。実際、クールジャパン機構はこれまでもSpiber(バイオベンチャー)に140億円投じたりして累積損失400億円超と散々な状態で、「また失敗案件か」と世間の不信感を招いている面があります。NewsPicksの報道は、そうした公金投資のチェック機能としてのジャーナリズムを発揮したものと言えるでしょう。 対する企業側(刀および森岡氏)の視点は、「報道が事実の一部を切り取り誇張しており、本質を見ていない」というものです。刀の主張によれば、たしかに森岡マーケティング研究所への支払いはあったにせよ、それは違法なものではなく適切なコンサルティング対価であり、公的資金流用との批判は見当違いだ、という立場です。また赤字計上についても、成長途上のベンチャー企業であれば大規模投資期に赤字になるのは珍しいことではないと考えられます。実際、専門家の指摘でも「未上場で規模の小さな企業が大きな投資をすれば一時的に赤字になるのは普通」であり、「業績が赤字だからといって過度に悪く捉えるべきではない」という見解があります。刀の場合、2024年度の24億円赤字はお台場の自社テーマパーク開業による初期コストが重んだ結果であり、将来の成長に向けた先行投資のフェーズとも言えます。森岡氏ほどのマーケターが「負け戦」を良しとするはずがなく、長期視点で見れば今は耐えどころという考え方です。コンサルティング案件で成果が出なかった件についても、「USJで大成功したあとに2件うまくいかないことがあっても不思議ではない。コンサルの世界ではよくあることだ」との指摘もあります。クライアントの実行次第で結果は変わりますし、一概に刀側の失策とは言い切れません。つまり、刀側からすれば「一面的に失敗・赤字と騒がれても困る。全体を見てほしい」という悔しさがあるのです。 要するに、メディアは公益性・透明性の観点から厳しく追及し、企業側はビジネスの実情や長期的視野を主張して反論している構図です。両者の論点の食い違いは、「短期の数字(赤字や資金の流れ)に焦点を当てるか」「長期の戦略・成果を重視するか」の違いとも言えるでしょう。森岡氏個人に対する評価も、英雄視から一転して糾弾へと変化しました。この点については「かつて散々森岡氏を持ち上げたNewsPicksが、今になって手のひら返しで容赦なく切り込む様は皮肉だが、報道とは本来そうあるべきだ」という声もあります。ヒーローであっても不正は許さないというスタンスは、ある意味メディアの矜持とも言えるかもしれません。 他方で、企業側にも言い分はあります。森岡氏からすれば「マーケティングで日本を元気にする」という大義の下、必死に事業を推進している最中に、功績より赤字や内部取引だけをクローズアップされた悔しさもあるでしょう。とりわけ刀は官民ファンドから巨額出資を受け“国家プロジェクトの一翼”を担ってきた経緯があります。

そのぶん注目度が高く批判も大きいのは宿命ですが、「民間のベンチャー企業である自分たちにどこまで公的な説明責任があるのか」と感じている部分もあるかもしれません。もっとも、税金が入った以上は説明責任は免れないわけで、このあたりの意識ギャップも両者の食い違いに影響していそうです。
専門家やメディアの評価は?揺るがぬ期待と高まるプレッシャー

この論争に対し、第三者の専門家や他メディアからも様々な評価や論点整理がなされています。一部のビジネス誌は**「刀の24億円赤字は経営上普通のことで当たり前。ジャングリア沖縄の意義と高い期待感は揺るがない」とポジティブな見解を示しました。例えばBusiness Journalの分析記事では、「未上場スタートアップが大型投資で一時的に赤字になるのは珍しくなく、赤字という一点を過度に強調することにあまり意味はない」と指摘しています。また、「ジャングリア沖縄のような壮大な挑戦は、冬場でも楽しめるテーマパークという発想含め非常に起業家的で注目に値する。評価は開業後しばらく経ってからすべきだ」との専門家コメントもありました。実際、国も期待を寄せる国家級プロジェクトであり、沖縄の観光振興・地域経済活性化への寄与という大義は変わりません。計画段階で不安視しても「野暮な話」で、むしろ数年後に本当に地域にもたらした経済効果を見極めるべきだという指摘です。 一方で、別の論者は「刀は単なる中小企業ではなく、公的資金80億円を受け“マーケティングの神”と祭り上げられてきた存在だからこそ、今回ここまで炎上した」と論じています。中小企業ではままある節税スキームでも、国費投入企業では許されない――言い換えれば
「期待が大きかった分、失望も大きい」
という構図です。実際クールジャパン機構のずさんな投資ぶりは以前から批判の的でしたが、今回また蒸し返され「フールジャパン機構」などと揶揄される始末です。このようにメディア側も企業側もそれぞれ自らの役割と責任を改めて問われる展開となっており、世論の目も厳しく注がれています。 では、最終的にこの論争から何を読み取れるでしょうか。まず言えるのは、「真価が問われるのはこれから」だということです。森岡氏と刀にとって、ジャングリア沖縄はまさに背水の陣の大勝負になりました。NewsPicksの報道によってプロジェクト成功へのハードルは一段と上がり、世間の監視も強まりました。もし開業後にジャングリア沖縄が大盛況を収め、地域経済に貢献するような成功を収めれば、今回の“赤字騒動”も「杞憂に終わった」と評価が一転する可能性があります。その時には森岡氏は再びヒーローとして称賛され、メディアも手のひらを返すかもしれません。逆に、もし期待倒れに終われば「やはりダメだった」「税金の無駄遣いだ」と手厳しい批判が降り注ぐのは避けられません。 重要なのは、メディアと企業の緊張関係そのものが浮き彫りになった点でしょう。メディア側は権力や大きな資本に対して疑念があれば切り込む“番犬”としての役割を果たし、企業側はそれにどう向き合い説明責任を果たすかが問われます。
今回はNewsPicksの報道姿勢に賛否はあれど、公的マネーの使途に光を当てた意義は小さくありません。一方で刀側も、これを教訓に内部統制の透明化や情報発信の仕方を見直す必要があるでしょう。説明不足が誤解を招き炎上を拡大させた側面も否めず、ブランドイメージのダメージは自ら大きくしてしまった感もあります。 森岡毅という希代のマーケターが、その磨き上げた“刀”で日本を元気にするという壮大な物語。ジャングリア沖縄はその集大成とも言えるプロジェクトです。果たしてその刀は錆びついた鈍刀(なまくら)になってしまったのか、それとも批判をはね除ける真剣の切れ味をまだ秘めているのか。すべてはこれから始まるジャングリア沖縄の現実の舞台で明らかになるでしょう。今回の論争を経て高まった世間の注目と期待を力に変え、森岡氏と刀が再び“伝説”を作ることができるのか――今、静かにその行方を見守りたいと思います。
【追記2025年8月2日】
ジャングリア沖縄オープン後の炎上問題についてまとめています


