
どうも。あらゆるトレンドの本流を避けて泳ぎ続けたら、いつの間にかサブカルの澱(おり)みたいなコンテンツばかり愛好するようになった本能ブログライターの松本ミゾレという人間です。
世の中にはさまざまなコンテンツがありますが、基本的に不人気なもの。ノイズとされるものというのは、一顧だにされません。
それは当然ですよね。求めているコンテンツと違うものを引き当ててしまうと、大抵の人はハズレと思って手放すことに躊躇もありません。
ところが世の中には、そうじゃない者もいます。ガシャポンで多くの人にとっての“目当てのもの”が出ずとも、ハズレ扱いされる商品に感動する奴ってのもいるんです。
それが僕です。子供の頃からガンダム、ウルトラマン辺りのガチャガチャをお小遣いで回してましたが、ガンダムよりもザク。ウルトラマンよりも怪獣といった具合に、欲しいものが周りの友達とは全く逆でした。
そんな人間なので、変なものに昔も今も惹かれてしまいます。
今回は、そんな筆者が愛好しているコンテンツ。“YouTubeでアーティストの楽曲を検索したらついでに表示される、どっかの高校生バンドの動画”に焦点を当てた話をしていきましょう。この「どこの誰なんだよ」みたいなカヴァー動画。マジでYouTubeには溢れ返っています。
ここ数年はコロナ禍のせいもあってそもそも学園祭をやっていない時期が続き、稀に見る不作が続いておりましたが、それも2年ほど前から解消されてきました。
ということで早速、基本的にはみんなから邪魔な検索汚染扱いされているものの、筆者は特に気に入っている動画を紹介していきたいと思います。
ちなみに筆者は高校時代、学園祭で先輩と一緒に「かぼす」というユニット名で、ゆずのコピーバンドをやりました。
吹奏楽部とチア部を巻き込んだとおぼしき“だいすけ君”の大舞台
学園祭でのバンド演奏というのは、往々にして盛り上がるものです。たとえキーを外した歌唱をヴォーカルがしていても、笑いが生じるのでスベることはまずありません。
ただし、そのためには大前提として、学校の人気者がやる必要があります。
その点から言っても、今から7年前に公開された、大阪府立のある高校の中夜祭は完璧です。
当時流行っていた星野源が『恋』のMVで着用していた衣装と似たものを身に着けて登場する男の子。バンドメンバーもしっかり控えています。
さらに周囲には、その学校のチア部でしょうか。大勢の女子を引き連れています。そして背後にはさまざまな楽器を構えた吹奏楽部のメンバーとおぼしき面々。
かなりの大所帯です。

この投稿主がYouTubeに上げている動画には『恋』もあるのですが、もう1本サカナクションの『新宝島』を演奏するバージョンもあり、筆者はそっちが特にお気に入り。
この学校のチア部はかなり気合が入った踊りをしていて『新宝島』のダンスをほぼ完コピしているのです。また吹奏楽部のアシストも相当に心地よく、特に後奏のアレンジが素敵。何よりヴォーカルが良いんですね。観客からしきりに「だいすけ君!」と声を掛けられているので、恐らくだいすけ君なのでしょう。
下の名前で呼ばれてる時点で、学校の人気者だと分かります。学校の二軍、三軍の男子って基本、苗字で呼ばれますからね……。そのだいすけ君はお世辞にも歌唱もダンスも上手くはないのですが、なんか許せるキャラというか可愛い印象で、観てると許せてしまいます。バックバンドは完璧で、ヴォーカルだけがちょっとクオリティが低いんですけれども、そこが学園祭っぽくて好印象。私のような学園祭コピーバンド評論家にとっては、これこそが理想の、盛り上がるパフォーマンスなのだと思わざるを得ないのです。
「メインはそっち!?」ピアノが地味にヤバい動画
続いて紹介するのが、「椎名林檎 長く短い祭り(Cover)」というタイトルの動画。
これは高校の学園祭ではなく、慶応義塾大学と早稲田大学が夏に開催したライブということで、厳密にはちょっと毛色が異なるんですけど、まあそんなの気にしてるのは筆者だけでしょう。なのでそのまま紹介しますが、演奏するのは椎名林檎の『長く短い祭』。音響も良くて動画でもノイズを感じることなく再生でき、ヴォーカルの男女もそれなりに歌が上手い印象です。バンドメンバーも演奏を楽しんでいる様子で、見てて気持ちがいいのですが、この動画最大の見どころは中盤の間奏。
ここでキーボードを担当している男の子が突然キーに背を向けて背面弾きを披露するのです。

言うまでもなくこれは椎名林檎が所属する東京事変の元メンバーで、今でも度々ライブに登場するH ZETT Mが得意とする演奏法。これを習得し、本番で披露したキーボード担当の存在に一度気付くと、後はもう終始彼を目で追うしかできなくなります。通常の弾き方もちょっと猫背で独特。ガンプラの墨入れしてるときの小学生みたいな姿勢になっているので、気になる方は彼の雄姿をぜひチェックしてみてください。
観客を盛り上げるのが異様に上手い女子高生バンド
ここでちょっと、ガールズバンドについても一つ紹介しておきたいところです。動画は2014年にアップされたもの。撮影場所は大阪・豊中のライブハウスでのパフォーマンスだそうです(学園祭じゃねえじゃねえか、というツッコミはやめてください)。

楽曲は現在いろんなことがあってメンバーも少なくなったKANA-BOONの『ないものねだり』。恋愛について陥りがちな男性の鈍感な思考を歌った曲をガールズバンドがやるだけで新鮮なんですが、白眉は全体的な演奏レベルの高さ。
そして冒頭から合間合間に入るヴォーカルのMC力の高さ。よく見ると要所要所で他の女の子もしっかりマイクで会場を盛り上げており、プロのような仕上がりになっているので舌を巻きます。また、観客も非常にノリが良く、その辺も一つの動画としての完成度を高めているように感じられます。アップされている動画は数本程度と数が乏しいのが残念で、もっと見たいと思わせる力を秘めた、謎のガールズバンド。今はこの子たち、どこで何をしているのでしょうか。
テクニック以上の熱量で圧倒。観客を巻き込む運動部バンド
学園祭で演奏するバンドというのはさっきも書いたように、大抵はハズさないし盛り上がるものです。それはやっぱり、もう場がそういうモノになっていることが大きいというか、基本絶対スベらないようにできているわけです。
だからこそ、その絶対スベらない場所で、絶対スベらない曲を披露すると、もうマジで盛り上がるんですよね。2013年にアップされた明善高校という学校の文化祭の動画はその典型です。
THE BLUE HEARTSの『リンダリンダ』を演奏するこの動画の主役は、当時3年生。運動部所属だったと記載があります。
卒業を控えて部活へ顔を出す機会も減ったので、文化祭に備えて練習を積んでいたのでしょう。お世辞にもここまで紹介していた動画と比較するとスキル自体は高くないものの、この学生たちにはテクニックよりも強い武器があります。運動部特有の肺活量と運動量で、とにかくヴォーカルがずっと動き回っていて飽きません。その上で、恐らくTHE BLUE HEARTSの大ファンなのでしょう。挙動もかなり本物に寄せています。

動画では好きこそ物の上手なれというか、その本人の「俺はこれが好きなんだ」という熱量が全体に響いて物凄い声援を引き起こしています。あと、終始先生なのか近所のカメラ屋さんなのか分かりませんが、おじさんがかぶりつきで撮影しまくってて「おいおい何枚撮るんだ」と思っちゃいます。演奏終了までに100回はシャッターを押してるはずなので、興味があったらみなさんもカウントしてみてください。本動画のコメント欄を見ると、元々この高校はあまり学生にバンド演奏をさせるという風潮の学園祭は行わなかったとのことですが、彼らが登場したことがきっかけで、翌年以降はガラッと学園祭の雰囲気が変わることになったのだとか。母校の学園祭を変えたメンバーたちがそれを知っているかどうかは不明ですが、学校の気風すらも時に変えることがあるのが、高校生バンドなんですね。
埋もれた才能を発見するのは面白い!君も今すぐYouTubeの検索汚染動画を直視しよう
ということで、今回は筆者が世界一無益なネットサーフィンをしながらピックアップしたお気に入りの学園祭バンド動画を紹介していった次第です。
正直なところ、こういう動画の99%はただ思い出づくりの一環としてアップロードされたものばっかりです。
そういったものが表示されることを、快く思わない方も多いことでしょう。
しかし、わざわざアップロードするからには、ある程度の承認欲求もあったでしょうし「ここを見てほしい!」みたいなアピールポイントがきっとあったはず。
筆者はそのようなポイントを“肝”と呼んでいます。ここで紹介した動画はどれもそういった、肝にしっかり味が染み込んだものばかりだと思います。カテゴリー的に食わず嫌いしちゃう方も多いかもしれませんが、サザエとかの肝と同じで、馴染めば美味しく感じられます。かなり人を選ぶコンテンツではあるのですが、この楽しみを知る人はまだそう多くありません。いわばこれ、娯楽のブルーオーシャンです。そのうちに、もうオリジナルの楽曲をサブスクやCDで聞くのがちょっと物足りなくなるぐらいになってしまうので、みなさんもこの趣味の世界に、ぜひ足を踏み入れてみてください。

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