みなさんこんにちは、トモGPです。これまでも多くのカレー店を紹介してきた正にカレー激戦区横浜・関内。オフィス街と歓楽街が入り混じるこの街に、カレー好きなら一度は訪れるべき名店があるのをご存知でしょうか?そのお店の名は”カレーハウス キッチンY”。ここはただのカレー屋さんではありません。20年以上愛され続け、閉店の危機を乗り越え、常連の声に支えられて復活した物語を持つカレー店”なのです。
常連に支えられた奇跡の復活劇
この店の歴史は1995年にさかのぼります。関内・末広町に”カレーハウス キッチン”としてオープンし、手間暇かけて仕込まれた欧風カレーが評判を呼び、瞬く間に地元の人気店へと成長しました。しかし2015年3月、突然の閉店。理由はオーナーの意向によるものでしたが、当時の店長・藤原好子さんにとっても、そして何より長年通い詰めていた常連客にとってもその衝撃は計り知れないほど大きかったことでしょう。
しかしここからが”キッチンY”の物語の本当の始まりです。なんと店の常連客たちは「このカレーをなくしたくない」と立ち上がり、新しい物件探しから資金のサポートまで協力を惜しまなかったとのことなのです。そんな声に後押しされ、藤原さんは再びカレーを作る決意を固め、同年6月、曙町に”カレーハウス キッチンY”として再スタートを切りました。店名の「Y」には“横浜(Yokohama)”の頭文字と、新しい一歩を踏み出す意味が込められています。
閉店からわずか数ヶ月での復活劇。この背景には、藤原さんの人柄とカレーへの情熱、そして常連客の深い愛情がありました。地元に愛される名店と呼ばれる理由は、こうしたドラマにも表れているのです。
5日仕込みの欧風カレー
キッチンYのカレーのベースはスタンダードな欧風カレー。しかしただの欧風カレーではありません。仕込みには実に5日間を費やします。牛骨・豚骨・鶏ガラをベースに、リンゴやバナナなどの果物、昆布や椎茸まで合わせてコトコト煮込み、約20種類の素材から旨味を抽出。そこに10種以上のスパイスを加え、さらに寝かせて味を馴染ませるといいます。そして驚くべきは、塩を一切使わないという点。塩で味を整えるのではなく、素材そのものの旨味と甘みを引き出すことで、角のないまろやかな味わいを実現しているのです。一口目は優しく、食べ進めるうちにスパイスの香りと深いコクがじわじわ広がる……そんな奥深いカレーに仕上がっています。しかし写真の様な激辛メニューも取り揃えてあり、バラエティ豊かなラインナップとなっています。
圧巻の”野菜カレー”は30種類以上の野菜が主役
そして、この店の代名詞で名物といえばやはり”野菜カレー”。30種類以上の野菜が盛り付けられている、1日10食限定の人気メニューです。写真では見たことはありましたが、皿いっぱいに山盛りの野菜が盛り付けられているそのビジュアルは確かにインパクトがあります。もちろん今回はそれをいただきにまいりました。
見た瞬間、思わず「おお……」と唸ってしまいました。30種類以上とありますが、もうその正確な数はわからないほどの野菜の数々。しかしインパクトはあるもののそのビジュアルは色とりどりで非常に綺麗、女性にも人気があるメニューというのも頷けます。
トマト、ナス、オクラ、レンコン、ブロッコリー、サツマイモ、カボチャ、山芋、ゴボウ、キノコ類など、旬に合わせて入れ替わる野菜たちが所狭しと並びます。しかもただのせているわけではありません。
素揚げ、ボイル、天ぷらと、野菜ごとに最も美味しく味わえる調理法を変えているのです。シャキシャキ、ホクホク、カリッと、それぞれの食感がカレーと絶妙に絡み合い、口の中で次々と表情を変えていきます。ルゥの中にもカリフラワーや人参、きのこなど多くの野菜が溶け込んでいます。まろやかな欧風カレーの味わいが一歩下がってあまり前に出ないことで、それぞれの野菜の旨みをより一層押し上げている様に感じます。「これほど多くの野菜を美味しく一度に食べられるカレーは他にない」と評されるのも納得です。栄養満点でヘルシーなのに食べ応え十分。藤原さん自ら新潟や群馬まで仕入れに出向くというこだわりも、この一皿に込められています。
地元に愛され続ける理由
お店は伊勢佐木長者町駅から徒歩4分ほど、関内駅からも徒歩圏内にあります。カウンター8席ほどの小さな空間ですが、そのアットホームさが魅力です。藤原さんの明るい笑顔と気配りで、初めてでも居心地よく過ごせまました。カウンターには福神漬けやらっきょうが常備され、自由に添えられるのも嬉しいポイントです。営業時間はランチ中心で売り切れ次第終了ですので、特に野菜カレーを狙うなら、開店直後の来店がベストかと思います。
口コミを覗くと「野菜カレーのインパクトがすごい!」「チキンカツに柔らかいビーフをトッピングすると最高」といった絶賛の声が並びます。スパイスの辛さは控えめで食べやすいため、老若男女問わず幅広い層に支持されているのも特徴かと思います。そして何より、このお店の魅力はカレーだけでなく、“お客さんと一緒に歩んできた歴史”そのものにあります。常連が支え、店主が応え、また人々が集う。そんな温かな物語がスパイスの香りに溶け込んでいるからこそ、キッチンYのカレーは特別な一皿として愛され続けているのだと思いました。


