家系ラーメンの金字塔「寿々㐂家（すずきや）」時代を超えて愛されるクラシックにして革新的な一杯の秘密

”家系ラーメン”の良さは味の間口の広さ！、どうもトモGPです。横浜のラーメン文化を語る上で欠かせない”家系ラーメン”というジャンル。その中でも、ただの有名店としてではなく、家系の一つの到達点、あるいは「クラシック」な味わいを守り続ける金字塔として、ラーメンファンから絶大な支持を集める店があります。それが、相鉄線・上星川に本店を構える「寿々㐂家（すずきや）」です。

創業以来、多くの家系ラーメン店が興亡を繰り返す中で、寿々㐂家はなぜこれほどまでに不動の人気を誇り、世代を超えて愛され続けるのでしょうか。今回は家系ラーメン店「寿々㐂（すずきや）」の人気の秘密に迫りたいと思います。

寿々㐂家が築いた「クラシック家系」の歴史

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家系ラーメンのルーツといえばご存知の通り、横浜・新杉田の”吉村家”です。そしてその吉村家から派生した様々な系統が誕生し、家系ラーメンが一大ムーブメントとなる黎明期に、今回ご紹介する「寿々㐂家」は誕生しました。

具体的な創業者の情報は公には多く語られていませんが、寿々㐂家は”本牧家（ほんもくや）”の系譜を受け継ぐ店として知られています。本牧家は、吉村家の初期の直系店でありながら独自の進化を遂げたことで知られて、その流れを汲む「寿々㐂家」もまた、吉村家直系であると同時に、”本牧屋”の様に「クラシック系」あるいは「オールド家系」と呼ばれる独自のスタイルを確立し、家系ラーメン界のレジェンド的存在となっているのです。

”家系ラーメン”なんて言葉が誕生する以前、上星川の地で創業して以来「寿々㐂家」は派手な宣伝や多店舗展開に走ることなく、ただひたすらに一杯のラーメンの質を高めることに注力してきました。その結果、地元客はもとより、遠方から訪れるラーメンフリークたちからも”家系ラーメンの理想形”として支持されるに至ります。この地道で真摯な歩みこそが、寿々㐂家の歴史であり、揺るぎない信頼の礎となっているのです。

人気の秘密はバランスの良さ？

「寿々㐂家」のラーメンが持つ最大の魅力は、「豚骨」「醤油（カエシ）」「鶏油（チーユ）」の三位一体が織りなす圧倒的なバランス感覚にあります。

・スープ : 豚骨をじっくりと炊き出し、その旨味を最大限に引き出しながらも、過度な獣臭や脂っこさを抑えた仕上がり。豚骨の厚みと、鶏ガラのふくよかな出汁感が絶妙に調和しています。

・鶏油（チーユ）：鶏油はしっかりとスープの表面に浮かび、風味豊かな香りとコクをプラスします。しかし、ギトギトとした重さはなく、豚骨と醤油を優しく包み込み、全体の口当たりをまろやかにしています。このバランスこそが「クラシック系」の真骨頂であり、「家系が苦手な人でも楽しめる」と言われる所以です。

・醤油（カエシ） : まろやかさだけでは終わらないのが寿々㐂家の奥深さです。豚骨の旨味をしっかりと受け止めつつ、醤油ダレ（カエシ）がキリッと引き締めることで、メリハリのあるシャープな飲み口を実現しています。

吉村家をはじめとする家系ラーメンに欠かせないのが、横浜酒井製麺の特注麺。もちろん寿々㐂家でもこの酒井製麺の中太ストレート麺を使用しています。

ムチッとした心地よい弾力と、もっちりとした食感を兼ね備えており、スープとの絡みが抜群です。

茹で加減は客の好みで調整できますが、スタッフの熟練した技術によって、注文通りのパーフェクトな茹で加減で提供されるので、圧倒的におすすめの茹で加減は"普通"です。

トッピングは、ほうれん草、チャーシュー、海苔という家系三大神器のシンプルな構成。特に、薄めにスライスされたチャーシューは、スープの塩気と相まって、全体の調和を乱さない名脇役となっています。個人的には、箸休め的にスープに浸して食べる海苔が大好きなので、ノーマルラーメンでも海苔が３枚入っているのは非常に嬉しいポイントだったりします。

とにかく口に含んだ瞬間の濃厚さと、後味のスッキリとしたキレ。この相反する要素が高いレベルで両立している点が、多くのファンを虜にする秘訣なのでは無いでしょうか。この「絶妙な距離感」が、一杯を最後まで飽きさせず、さらに食べ進めるうちに旨味とコクが増していくような満足感を生み出してくれるのです。

寿々㐂家のラーメンは、極端な脂っこさや塩辛さがなく、年齢や世代を問わず非常に食べやすいという普遍的な魅力を持っています。冒頭でも書いた様にもともと間口の広い味の守備範囲がさらに広くなったイメージ。熱狂的な「家系フリーク」はもちろん、「家系はちょっと重くて…」と感じていた層にも広く受け入れられる間口の広さがあります。この「クラシックでありながら、すべての人に開かれている」という点が、寿々㐂家を単なる流行で終わらせない要素なのだと思います。