
Appleとエルメスのコラボレーションによる「Apple Watch Hermès」は、スマートウォッチでありながらラグジュアリーウォッチの趣を併せ持つ特別なシリーズです。2024年にはエルメス初のフルメタル製Apple Watchバンド「グランH(サティネ)」が登場し、その圧倒的な存在感で話題を集めました。今回は46mmケース対応のグランH(サティネ)バンド(サイズL)を実際に入手し、開封の体験から日常使用での感想までレビューします。エルメスの世界観を纏ったこのステンレススチール製バンドが、ファッションアイテムとしてもApple Watchのアクセサリーとしてもどのような価値を提供してくれるのか、じっくりと見ていきましょう。
開封の儀と第一印象

開封すると、まずエルメスならではのオレンジ色のボックスが目に飛び込んできます。高級感ある化粧箱を開けると、中にはApple WatchとHermèsのロゴが刻印されたマイクロファイバー製の収納ポーチが収められていました。まるでエルメスのジュエリーを迎え入れるかのような丁寧なパッケージングで、開封の瞬間から特別感を演出してくれます。ポーチからバンド本体を取り出すと、ずっしりとした重量とひんやりした金属の質感が手に伝わり、「これがうわさの16万円級のバンドか…」と身が引き締まる思いでした。光沢はサティネ仕上げと呼ばれるもので、ピカピカの鏡面ではなく上品なつや消しと光沢の中間のような風合い。この控えめで洗練された輝きが、さりげなくも存在感のある第一印象を与えてくれます。
デザインと仕上げの特徴

グランHバンドのデザインは、一目でエルメスと分かる**「H」モチーフ**が両端にあしらわれているのが特徴です。ステンレススチール製のリンク一つひとつが肉厚でしっかりと作られており、クラシックな腕時計のブレスレットを彷彿とさせます。製品説明では「伝統的な時計作りを現代のスタイルで解釈したグランHは、精密な技術となめらかなメタルが生み出す品格を兼ね備えました。サテンのような光沢を持つステンレススチール製のリンクは調整ができ、バタフライクラスプでしっかり留められます。ストラップの両端にはアイコニックな『H』のモチーフをあしらいました」と紹介されています。まさにその言葉通り、伝統的な機械式腕時計のブレスレットデザインをApple Watch用に再解釈したような印象です。
留め具には両開き式のバタフライクラスプが採用されており、装着時には金具が目立たず一体感があります。クラスプを閉じるとカチッと心地よくロックされ、外れる不安はありません。Apple純正のリンクブレスレットではクラスプを内側に格納できましたが、グランHのクラスプはあえて外観に少し現れる構造で、ブレスレットと手首の間に適度な空間が生まれます。この設計により、手首への圧迫感を和らげる効果も感じられました。リンクのエッジ(角)は丸く滑らかに仕上げられており、触れたときの引っかかりがありません。Apple製リンクブレスレットのようなエッジの鋭さはなく、布で拭いた際に繊維が引っ掛かる心配もないのは細部まで配慮されたデザインだと言えるでしょう。ステンレスの表面はサテンブラッシュ加工で指紋も目立ちにくく、高級時計さながらの質感です。
装着感と重量 – 機械式ブレスレットのような存在感

装着してまず感じるのはその重量感です。グランHバンド(Lサイズ)はリンクも太く、Apple Watch本体と合わせるとずっしり重みがあります。普段スポーツバンドやレザーバンドなど軽いストラップに慣れている方には、最初「重い」と感じるかもしれません。しかし不思議なことに、一度装着してしまえば重さは安定感に繋がり、手首へのフィット感は良好です。実際にApple Watch Hermèsを購入したあるユーザーは「42と46の両方を試着するのに1時間もかけたよ。すごく綺麗で、めっちゃ重い。ロレックスGMT IIよりつけ心地がいい。すごく上品なのに、ランニングにも使えるんだよね」とコメントしています。高級機械式時計であるロレックスの重量感と比べても装着感の良さが際立つというのは、このバンドのフィット感とバランス設計が優れている証でしょう。
実際に筆者も一日中着けて過ごしてみましたが、最初感じた重さは次第に気にならなくなり、むしろ腕時計をしているという充実感につながりました。「重量は感じるが、それがより充実した時計着用体験に繋がっている」と海外ユーザーが評する通り、グランHバンドの重厚さは高級腕時計の存在感そのものです。また、リンクの可動域が広く設計されており、手首の動きに合わせてしなやかに追従します。Hermèsモデル特有のU字ラグ形状も相まって手首へのフィットが良く、リンクブレスレットにありがちなゴワつきや可動の硬さを感じません。さらに「ロック機構は非常に巧妙で、操作が楽しく、髪の毛を一度も挟んだことがない」という声もあるように、細部の仕上げと機構の精密さが日々の使い勝手を高めています。
ただし、長時間タイピングをする際やデスクワーク時には、バンドの金属が机に当たるとコツコツ音がしたり、多少の重さを感じる場面もありました。そうした場合は適宜スポーツバンドに付け替えるなど、シーンに応じた使い分けが必要かもしれません。また、防水加工が施されているとはいえ、金属ゆえに汗や水滴は目立ちます。プールや海水に触れた場合は水洗いして中性洗剤でお手入れできるとのことなので、アクティブに使った後はケアを怠らないようにしたいところです。
ファッションアイテムとしての魅力

エルメスのグランHバンドは、単なるApple Watchの付け替えバンドを超えてファッションジュエリーの域に達していると感じます。そのシルバーカラーのメタルブレスレットは、エルメスのアイコンである**シェーヌ・ダンクル(鎖柄)**のブレスレットなど他のアクセサリーとも相性抜群です。実際に筆者もシェーヌ・ダンクルのリングと併せてみましたが、グランHバンドの「H」模様とチェーンモチーフが程よく調和し、手元に統一感と高級感が生まれました。重厚なメタルブレスレットでありながら洗練されたデザインのおかげで、カジュアルな装いに合わせてもラグジュアリーなアクセントになりますし、フォーマルなシーンでは腕元でひときわ存在感を放ちます。
興味深いのは、このバンド自体はHermèsのロゴが表立って入っているわけではなく、「知る人ぞ知る」デザインだという点です。遠目には高級機械式腕時計のブレスレットのようにも見えるため、Apple Watchだと気付かれないことすらあります。「人によってはHermèsのバンドだと気づかず、普通の機械式時計を着けていると思われた」というユーザーの声もあり、ブランドを主張しすぎない控えめなエレガンスが感じられます。一方でエルメス好きや時計好きが見れば「あ、それはもしや…」と目を奪われるデザインでもあり、実際に「街中で偶然見かけて思わず目を引かれた」という反応も海外コミュニティで報告されています。要するに、Hermèsのハウスコード(意匠)を熟知した人には刺さり、知らない人にはただ上質な金属バンドとして映るという絶妙なバランスを備えているのです。
ファッション誌のレビューでは、このバンドが「エレガントなリンクによってジュエリーのような洗練された美学を備え、スマートウォッチの機能を損なうことなくラグジュアリーな体験を提供する」と評されています。まさにApple Watchというテクノロジー製品とエルメスの伝統的デザインが融合し、腕時計をデジタルガジェット兼ファッションアイテムへと昇華させていると言えるでしょう。
標準バンドやサードパーティ製との比較

Apple Watch HermèsのグランHバンドの使用感やデザインを語る上で、標準的なAppleのバンドや他社製バンドとの比較も欠かせません。まず、Apple純正のシリコン製スポーツバンド(フルオロエラストマー製)と比べると、快適性や実用性の面ではスポーツバンドに軍配が上がります。スポーツバンドは非常に軽量で肌触りも良く、汗や水にも強いので運動時や就寝時でも気にならず、価格も約5千円程度と気軽に使えます。しかし当然ながら見た目の高級感や所有する喜びという点では、約16万円のステンレスリンクブレスレットであるグランHとは次元が異なります。シリコンバンドがTシャツに合わせるスニーカーだとすれば、グランHはスーツに合わせるドレスシューズのような存在でしょう。日常のカジュアル使いにはスポーツバンド、特別な日やファッションを楽しみたい時にはグランHと、まさに使い分けることで双方の良さを活かせる関係です。
次に、サードパーティー製のレザーバンドとの比較です。Apple自身は2023年以降レザーバンドの販売をやめましたが、他社からは手頃な価格で革製バンドが多数出回っています。1万円以下でも本革を謳うバンドが買えてしまう中で、エルメスの革バンドは桁違いの高級品です。エルメスのレザーストラップは質の高いレザーと美しいステッチ、そしてエルメスならではのカラーやデザインが魅力で、長年使っても味わいが増すと愛用者から評価されています。ただし、以前のHermès純正革バンドにはエッジの塗装剥がれやストラップループの破損、汗染みなどの問題も指摘されており、Appleとの協業で品質改善が図られてきた経緯もあります。その点、今回のグランHはレザーではなくオール金属なので、汗による痛みや経年劣化の様子は革とは異なり、半永久的な耐久性が期待できます。実際「毎日使用しても問題なく、経年で良い味が出てくる」といった声もあり、メタルバンドならではの長期使用に耐えうる堅牢さが伺えます。

また、Apple純正のリンクブレスレット(ステンレススチール製バンド)とも比較してみましょう。Apple純正リンクブレスレットは約3〜4万円と、Hermès版に比べればずっと安価で入手でき、工具なしでコマ調整が可能な独自機構などエンジニアリングの妙も詰まった製品でした。しかしデザイン面では「Appleのメタルバンドは安っぽくて70年代の未来SFデザインみたい、誰も着けていないのは価格ではなくデザインのせいだと感じた」という辛口な意見も日本では聞かれました。一方でHermèsグランHは伝統的な時計ブレスの風格を持ち、エルメスの職人技が光るデザインです。ある海外ユーザーは「ステンレスの質は最高級ではないし大ぶりで重いので自分は買わない。Hermèsブランドが目当てなら革バンドを買うべきだ。もし金属バンドが欲しいならApple純正のリンクブレスレットの方がずっとよくできている」という指摘もしていました。このように評価は分かれるものの、エルメスのバンドにはブランドならではの美意識と所有欲を満たす魅力があることは確かでしょう。
さらに、最近ではApple Watch Ultra向けの高耐久バンド(アルパインループやオーシャンバンド等)も人気ですが、これらは機能性重視のナイロンやゴム素材であり、ファッション性という点ではHermèsバンドとは別物です。要するに、グランHバンドは他のどのバンドとも一線を画す唯一無二のポジションにあり、比較対象というよりApple Watchをラグジュアリーウォッチへ変貌させる特別なオプションだと言えるでしょう。
価格と入手難易度について

グランHバンド最大の話題と言えば、その価格設定です。日本では税込157,800円(米国価格 $999)という、Apple Watch本体にも匹敵する超プレミアムプライスが付けられました。エルメスの製品とはいえ、スマートウォッチの付け替えバンドに15万円以上を支払うというのは驚きを持って受け止められ、多くの人にとって簡単に手が出せるものではありません。当然ながら所有者もごく限られており、街中でこのバンドを着けている人に出会えたら相当な幸運と言えるでしょう。実際、発売直後は極めて品薄で「Apple直営店でも発売日当日に数本しか入荷せず即完売した」「オンラインストアでも『まもなく登場』の表示が続き購入できない」という報告が複数ありました。エルメスブティックやApple Storeでは入荷待ちリストができ、一部では抽選販売のような状況だったとも聞きます。まさに希少性の高い限定アイテムで、手に入れるまでのハードルも高かったようです。

高価格ゆえに、「そのお金で他の高級腕時計が買える」「数年でテクノロジーが陳腐化するApple Watchに大金を投じるのはどうか」という現実的な意見もあります。事実、約16万円あれば機械式時計の入門モデルや他のエルメス製品を購入する選択肢もあります。しかしグランHバンドの価値は単に材料や機能だけで測れないものです。一つひとつのバンドがスイスで熟練職人によって手作りされており、その精巧な構造や仕上げにはエルメスの伝統と技が注がれています。ある購入者は「めちゃくちゃ高いんだけど、品質と職人技は他に類を見ないんだよね。(スイスで一つ一つ手作りなんだって)...これは奮発しちゃったんだよね」と述べており、高価でも所有する満足感がそれに見合う特別なプロダクトであることを示唆しています。また、限定的な生産数ゆえに中古市場でも値崩れしにくく、むしろ希少価値から高値で取引される可能性も指摘されています。手元に置いて長く愛用すれば“相棒”としての愛着が湧きますし、万一手放すことになってもある程度のリセールバリューが期待できる点では、高級腕時計に通じる側面も持っています。
まとめ – 高級志向のApple Watchユーザーへ贈る逸品

「Apple Watch Hermès - 46mmケース用グランH(サティネ)- L」バンドは、デジタルガジェットと伝統的ラグジュアリーブランドの融合が生み出した、唯一無二の逸品です。実用性だけを求めるのであれば決して必要のない高額オプションですが、手にしたときの高揚感、身につけたときの所有欲の満たされ方は格別でした。エルメスファンにとっては、自身のコレクションに加える満足感や他のエルメスアイテムとのコーディネートを楽しむ喜びがあるでしょうし、Apple Watchユーザーにとっても「時計を高級ブレスレットでドレスアップする」という新たな楽しみを提供してくれます。実際、ファッション感度の高い海外コミュニティでは「Hermèsのバンドを付けたApple Watchはもはや単なるガジェットではなくラグジュアリーウォッチだ」と評されており、スマートウォッチが高級ファッションの領域に踏み込んだ象徴的な例といえます。
もちろん、重量や金属の硬さが気になる方、価格に見合う価値を感じられない方には無理に勧められるものではありません。また普段から機械式腕時計のブレスレットに慣れていないと、最初は重さに戸惑うかもしれません。しかし、もしあなたがHermèsの世界観がお好きで、Apple Watchを究極のファッションアイテムとして楽しみたいと思うなら、このグランHバンドは期待を裏切らない選択肢です。腕に巻いた瞬間、Apple Watchがエルメスのジュエリーへと昇華するーーその体験は他では得難い特別なものになるでしょう。高価で希少なため誰しもが持てるものではありませんが、それだけに所有する喜びもひとしおです。Apple Watchとエルメス、それぞれの魅力が余すところなく凝縮されたこのバンドは、高級志向のApple Watchユーザーへの究極の一本と言えるかもしれません。
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