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いまこそ一気読み!ただの歴史漫画じゃない『ヴィンランド・サガ』がオレ達に刺さる三つの理由

少年漫画だけではなく意外と歴史漫画も好きなトモGPです。2025年7月、約20年という長い期間を経て、幸村誠原作の歴史スペクタクル巨編『ヴィンランド・サガ』の連載についに終止符が打たれました。 11世紀初頭の北ヨーロッパ及びその周辺を舞台に、ヴァイキングたちの生き様を描いた時代漫画、完結した今だからこそ一気読みしたいこの作品の魅力に今回は触れていきたいと思います

『ヴィンランド・サガ』とはどんな作品?

◾️あらすじ

舞台は11世紀の北ヨーロッパ。アイスランドで育った少年・トルフィンは、無敵と謳われた父トールズを失い、父を討った傭兵頭アシェラッドに復讐を誓います。ところが、仇を追い続ける日々は、戦っても戦っても心が満たされない“虚しさ”の連続。戦乱の渦で後のデンマーク王であるクヌート王子や怪物戦士トルケルと出会い、トルフィンはやがて「剣では救えないもの」を知っていく。復讐の先で空っぽになった少年が、暴力の連鎖を断ち切って“戦争も奴隷もない土地”を目指す、その名もヴィンランド。それは海の向こうにある、まだ見ぬ豊穣の大地です。

◾️登場人物

トルフィン – 本作の主人公。アイスランド出身の少年で、幼い頃に目の前で父トールズを殺された過去を持ちます。復讐のためアシェラッドの傭兵団で戦い続け、多くの戦場を経験する中で成長していきます。小柄ながら素早く短剣を武器に戦う猛者ですが、後に暴力を捨て「本当の戦士」を目指すようになります。

トールズ – トルフィンの父で、かつては「ヨームの戦鬼(トロル)」の異名を取った元勇猛な戦士。かつてはヨーム戦士団の名高い将軍でしたが、戦いに虚しさを感じて脱走し、アイスランドで家族と静かに暮らしていました。しかしその過去を狙われ、アシェラッド兵団の奇襲を受けて壮絶な最期を遂げます。平和を望み「本当の戦士は剣を持たない」と説いた人格者で、その教えは息子トルフィンの心に影響を与えます。

アシェラッド – 狡猾なヴァイキング傭兵団の首領。デンマーク出身ながら心はブリテン(ウェールズ)の誇りを持つ複雑な経歴の人物です。冷静沈着で知略に長け、部下からも恐れられる存在。トルフィンの父トールズを殺した張本人であり、以後は仇として常にトルフィンに命を狙われつつも、彼を手駒のように扱います。物語序盤のキーパーソンで、トルフィンに大きな影響を与える宿敵です。

クヌート(クヌート王子) – デンマーク王スヴェンの次男で、物語序盤では気弱で繊細な若き王子として登場します。トルフィンやアシェラッドと行動を共にする中で過酷な運命に晒され、次第にリーダーとしての資質に目覚めていきます。物語中盤以降では大胆な決断力とカリスマ性を発揮し、デンマーク王位を目指す重要人物へと成長していきます。

エイナル – トルフィンが後年出会うことになる同年代の青年。かつて家族と故郷を戦争で失い奴隷に身を落とした過去を持っています。デンマークの農場で奴隷労働に従事する中でトルフィンと知り合い、荒んでいた彼に農業を通じて「作ること」「生み出すこと」の喜びを教え、心の救いとなる良き友人です。エイナルとの出会いがトルフィンの人生に大きな転機をもたらし、後のヴィンランドへの夢へとつながっていきます。

3つの大きな魅力

◾️歴史の手触りと冒険の匂い

主人公のトルフィンは、11世紀に実在したアイスランド商人ソルフィン・ソルザルソンをモデルにしています。デンマークによるイングランド征服戦争や、実在の王子クヌートなど史実の人物・事件を土台にしつつ、ヴァイキングの交易ネットワークや船舶技術、農耕文化、奴隷制度、キリスト教布教と異教の対立など11世紀当時の社会構造が物語の背景としてリアルに再現されています。史実とフィクションを絶妙に織り交ぜた重厚なストーリーが展開し、歴史好きの読者もうなること間違いなしです。

◾️迫力のアクション描写

ヴァイキングの戦闘シーンは本作の大きな見どころです。剣や斧を振るう白熱の戦闘や、巨漢同士の激突、戦術を駆使した攻防戦など、躍動感溢れるアクションが随所に描かれています。残虐な場面もありますが中世の現実を反映したリアルさがあり、手に汗握る迫力と緊張感が読者を惹きつけます。物語は前半と後半で大きくトーンが変わりますが、とにかく『ヴィンランド・サガ』前半の魅力はこの圧倒的なバトルシーンと言って過言はないでしょう。スピードとパワーの描線に詰め込まれた情報量、幸村誠の画力を存分に楽しみましょう。

◾️深い心理描写と普遍的テーマ

この作品の本当の魅力は、単なる冒険活劇にとどまらず、人間ドラマとしての奥行きがとてつもなく深いことです。主人公トルフィンの復讐心に囚われた少年期から、罪悪感や虚無に苦しみ改心していく心の旅路が丁寧に描かれ、とにかく後半はキャラクターの心理描写が非常に味わい深く表現されています。物語を通じて「戦争と平和」「暴力と共存」といった普遍的なテーマが問いかけられ、復讐とは何か、憎しみの果てに何が残るのか、そして人はどう生きるべきかといった哲学的なメッセージ性が込められています。

特に「本当の戦士とは何か?」というテーマは作品全体を貫く問いであり、暴力の連鎖を断ち切り平和を求める物語の核心となっています。激しいアクションの中にもそうした精神性が息づいており、読み応えのあるドラマが展開されていくのです。

まとめ

この作品の一番の醍醐味は、トーンのスライド。血しぶきの豪快さで掴んで、土の匂いで離しません。刃ではなく土で未来を切り開くフェーズに入ると、「あれ、さっきまでのバトルマンガは?」と戸惑う人もいるでしょう。でもそこでページを閉じないでほしい。鍬を振るう腕に、剣以上の重さが乗っていると分かる瞬間が必ずきます。静かなコマで心臓がドクンと鳴る、あの感じをぜひ体感していただきたいです。

「ヴァイキング=ゴリゴリの戦争マンガでしょ?」って思っている人にこそ読んでほしい。『ヴィンランド・サガ』は、剣と斧が飛び交う骨太アクションで胃袋をつかみつつ、読み進めるほど“人はどう生きるべきか”に挑むヒューマンドラマへと深まっていく非常に滋味深い作品です。何度も読み返したくなる重厚な物語、みなさんもぜひ。