最近デパ地下グルメが熱いトモGPです。先日、すき焼きの名店”人形町今半”のランチをデパ地下でお得に楽しむ、という記事を書かせていただきました。
飲食店のフロアと違い、肩肘張らずにサクッと食事を済ませられるのがデパ地下イートインの魅力、しかも驚くことに意外と名店の出店が多かったりします。ということで今回は、江戸前寿司の名店”九段下 寿司政”の支店『九段下 寿司政旬八海』を紹介させていただきたいと思います。
160年の歴史!『九段下 寿司政』
東京・九段下の「寿司政(すしまさ)」本店は、文久元年(1861年)創業という江戸時代から続く超老舗寿司店です。幕末創業の寿司政は、長年にわたり江戸前寿司の伝統を守り抜いており、シャリ(酢飯)には赤酢を用い、ネタに合わせた仕事(下ごしらえ)を施す本格江戸前の味わいが魅力です。創業当時は日本橋の屋台から始まり、関東大震災後に現在の九段下へ店を構えた歴史を持ち、戦災など幾多の困難を乗り越えて味を継承してきました。創業当初から使われてきた米びつ(文久元年と記されたもの)が今も店内に残り、長い歴史を物語っています。現在は五代目店主・戸張正大さんが暖簾を受け継ぎ、創業から160年以上の時を経てもなお江戸前寿司の伝統を守り続けているのです。名物はコハダ(小鰭)やその稚魚であるシンコ、”江戸前一番のコハダ”とまで称賛されてきた伝統の仕事は今も健在で、また、初代から五代目まで職人が代替わりしても変わることのない江戸前寿司の真髄を守り続けているのです。
人気の理由
創業以来160年もの間、寿司政本店が多くの人々に愛され続けている理由は、その正統な江戸前寿司の技術と伝統の味にあると言えるでしょう。寿司政では江戸前寿司の基本である「仕事」を徹底して継承しており、例えばネタの煮〆(煮物)・焼き物・〆物といった”江戸前の下ごしらえ”を代々重視しています。季節ごとの魚を最適な方法で〆たり煮たりし、素材の持ち味を引き出す職人技はまさに老舗の真骨頂、例えば名物ネタのコハダ(小肌)は、季節に応じて締め加減を微妙に変えつつも少し強めの酢締めにすることで、赤酢を利かせたまろやかなシャリ(酢飯)に抜群の相性で寄り添います。またコハダの幼魚で初夏限定のシンコ(新子)は「江戸前一番のネタ」と称される逸品で、その塩加減・酢加減を微調整する職人の腕が光ります。実際、直木賞作家で知られる山口瞳氏は「寿司政の新子を食べないと私の夏は終わらない」と雑誌に書き綴ったほどで、寿司政のシンコとコハダは以来お店を代表する看板ネタになったと言われます。こうした伝統のネタづくりへのこだわりが、寿司政の変わらぬ人気を支えているのです。
九段下 寿司政 旬八海
そんな名店・寿司政の味をカジュアルに楽しめるのが「九段下 寿司政 旬八海」です。本店で培われた江戸前の技術と心を受け継ぎつつ、デパートの一角で気軽に立ち寄れるイートインスタイルが特徴です。寿司政の姉妹店として西武池袋本店とそごう横浜店にあります。”老舗の味”と聞くと敷居が高そうですが、なんてたってデパ地下のイートインスタイル、ロケーションはいたってカジュアルで気軽な感じです。しかしその味は創業160年を超える老舗の本格派、”寿司政”の職人技と伝統の味を肩肘張らずに5000円以内で楽しめる店舗として、この「九段下 寿司政 旬八海」は大人気なのです。
今回自分が訪れたのは「九段下 寿司政 旬八海 そごう横浜店」、イートインとはいえ立派な店構え、店頭では折り詰めやちらし寿司などの注文を承っています。そしてお店の脇にはイートインスペースへの入り口が。訪れた時間がお昼時ということもあり、店内は満席で順番待ちの列ができていました。
お目当てのメニューはこちらの”本日のおまかせにぎり、おすすめの握り8貫プラスお好きな握り1貫”です。注目すべきはこの”お好きな握り1貫”で、なんとほぼ全ての握りのメニューから好きなものを選べてしまうらしいのです。ということは大好物のウニも……?なんて期待をしながらいざ入店です。
入ってびっくり、とてもイートインとは思えない店内の佇まいで、職人さん達の所作からも寿司政の格式や風格を感じ取ることができます。では”本日のおまかせ握り”いよいよスタートです。
まずはシマアジと中トロから。握りは大きすぎず小さすぎない程よいサイズ、あらかじめネタにかえしが塗ってあるのでそのままパクリといけてしまいます。当たり前ですがネタは超新鮮ですので当然めちゃくちゃ美味しいです。
続いてホタテとちょっと珍しい桜海老です。サクサクした桜エビは食感も風味も抜群に美味しくて驚きました。
左からサワラといわしです。今が旬のサワラは脂が乗っていてまるで中トロの様な味わい。クセの無い味がたまらないですね。いわしも一手間が加えられていて、見た目にも美しく食べるのが勿体無いくらいですw。
江戸前寿司の王道メニューである車海老も当然メニューにはラインナップされています。漬けマグロはキリっとした醤油の味わいが全体に染み渡り終盤にかけての良いアクセントになっています。
そしてお待ちかねのラスト”お好きな握り1貫”、恐る恐る「ウニもいいんですか?」と聞いてみると「もちろん大丈夫ですよ!」とのこと。というわけで遠慮なくウニ発動してみました!軍艦巻きから溢れんばかりのウニ、最高です。
寿司政本店が支持される理由は、ネタだけではなくシャリや薬味への徹底したこだわりにも表れています。特徴的な見た目の酢飯には、長期熟成の酒粕から作る横井醸造の赤酢を用い、旨味とコクのある深い味わいを引き出しています。赤酢でほんのり色づいたシャリはキレのある酸味と豊かな風味を持ち、濃いめに仕上げた江戸前ネタと組み合わせることで絶妙な調和を生みます。追加で穴子と名物であるコハダを注文しました。名物のコハダは塩味と酸味の強いかなりパンチの効いた味わい。また、多くの寿司店で甘めになりがちなガリもこちらでは酸っぱいガリを提供しています。キリッとした酸味のガリが口直しとしてネタの味を引き立て、次の一貫への橋渡しとして重要な役目を果たしているのです。全体的にくっきりとした輪郭の味付けで塩味と酸味が強い印象ですが、これぞ元祖江戸前寿司といった味わいを堪能させていただきました。
席数が少ないため行列ができることもありますが、それでもわざわざ足を運ぶ価値のあるデパ地下の隠れた名店と言えるでしょう。買い物ついでに江戸前寿司が恋しくなった方は、ぜひ「旬八海」で寿司政の伝統の味をカジュアルに体験してみてください。きっと老舗の技が息づく一貫一貫に、満足していただけるはずです。


