シンプルに他人との距離感がつかめていないヤバい中年
者は若い頃、色んなサービス業でアルバイトをしていた時期があります。
ある時はクラブ。ある時はレンタルビデオ屋。またある時は喫茶店。
ほとんどのお客さんはいい人たちなんですけど、中には「あれ、ヤバいなコイツ」と思える人種もやってきます。
たまに遭遇するんですよね、自分がおかしいとは微塵も思っていない、距離感が変で馴れ馴れしい常連客。
20代前半の頃に、当時住んでいたアパートの近くにある商店がアルバイトを募集していました。
主に事務用品を取り扱っているのですが、他にもタバコ、それから駄菓子も少し陳列していて、田舎の雑貨店のような店内でした。
ここに毎日やって来る常連がいたんですけど、本当に苦手でした。
初めて遭遇したのは、バイト勤務の初日。開口一番、自分が常連であるから大事にしろ、年下なんだから俺の言うことを聞け、といった具合の言葉を浴びせられます。
さらに「近所のプラモ屋、舐めた態度とってた店主を脅してやった」みたいなしょうもない武勇伝をいきなりぶつけられ、もう眩暈がしそうになりました。
でもこの人、単価が低いんです。
毎日やってきては、駄菓子ぐらいしか買わないのに常連だからと偉そうに、長時間レジでおしゃべりしたがる。
その上、他のお客さんがお会計のためにレジに来ると、迷惑そうな顔をして「誰だよ」とか「何買うんだよ」と威嚇までします。
まるで用心棒気取りで、相当イタかったため、ある時とうとう「あの、お客さんね。ろくに金も使わないでずぅっとウチの店にいるけど、仕事とかした方がいいですよ」と言ってしまい……。
かなり罵声を浴びせられましたが、それきり来ることはなくなりました。
店長には感謝されました。
今考えると寂しかったんでしょうね。そういう人に友達はできませんし、恋人もできないでしょう。
バイトの女子大生に恋してストーキング常連中年客
これはローカルチェーンのレンタルビデオ屋でアルバイトをしていた時のこと。
この店にも客単価が低い割にはしょっちゅうやってくる常連気取りの困った人がいました。
頭はハゲてて、年齢は当時40歳とかその辺。太っていて顔は『Fallout』ってゲームに出てくるスーパーミュータントを100回殴ったあと漂白して頬にチークを塗ったような見た目。
性格は短絡的で、借りもしないビデオのジャケットを手に、うんちくになってすらいないキャストの情報を喋る変な人でした。
あと仮面ライダーの話ばっかりしてました。
アルバイト全員から警戒されていて、特に女性店員はある種の身の危険を覚えるほどの存在。
昼間、女性しか勤務していない時間帯にわざとやってきて、アダルトDVDを借りながら、ニヤニヤとおしゃべりしたがる。そんな人。
あるとき店長が、近くに住む女子大生をアルバイトとして雇用しました。
するとこのハゲているおじさんの常連が気に入ったのか、しょっちゅう現れるように。
でも恐らく働いてなかったので、本当に店に来るだけ。
あるとき棚の整理をしている女子大生がしゃがんだ時にシャツとパンツの隙間から、肌が少しだけ見えるということがありました。
見てくれがだらしないので注意しようとしたとき、そのおじさんがニタニタしながら、小声で「あぁお尻の割れ目が見える」とつぶやいていたとき、ゾッとしたのを覚えています。
その後も連日やってきては、女子大生にご執心のこのおじさん。徐々に狂っていくことになります。
年頃の女子大生相手にいつの間にか本気になって、「店に不良が来たら大変だ」とか言って、自警団気取りで常駐するようになったのです。
しかも柔道着だか空手着だかを着込んで。ハゲてて太っているのに。
するとしばらくして「あそこに変な客がいる」という噂がたち、本当にからかい目的で不良がやってくる羽目に……これ、ホント余計な心労が増えて、かなり迷惑でした。
さらにおじさんの情愛は暴走の一途をたどり、やがて本気で女子大生をどうにかモノにできると思い込むようになると、妄想の世界に入り浸ります。

これまでお気に入りだった男性アルバイトを恋敵と思い込んで喧嘩を売ってきたり。
女子大生をストーキングして、住んでいるアパートを特定。そこに男性が立ち入ると、全員をその女子大生の彼氏と思い込んで威嚇するようになったのです。
ところが女子大生本人には実害がないので、警察沙汰にもできず。そのアパートの男性住人は色々と怖い思いをする羽目に。
もっとも、件の女子大生はある時急に「もっと時給が高い夜の店で働いて、彼氏にプレゼントいっぱい買ってあげたいから」とやめていきました。
心底、ホッとしました……。
おじさんはその事実を知ると激怒し、今度はそのお店にも突撃したそうですが、金がない人間は店内に入ることもできません。
結局ほどなくして諦めたのか、柔道着を脱いでいました。相変わらずレンタルビデオ店には高頻度で訪れてましたが。
殺人の前科を持つわがままおじさん客
困った人ってのは、どこにでもいるものです。
仕事が長続きしなかった若い頃の筆者は、ある時期ゲームセンターで働いていました。
このゲーセンにも、我が物顔でわがままなことを言うお客ってのがいたんです。
いつも二人組でやってきて、店員に「この景品が取れない」だの「もう5,000円は使った(使ってない)」だの、本気でキレるおじさんたち。
バイト全員から嫌われていた二人組。
特にその片割れが厄介で、「俺、人を殺して刑務所行ってたからよ、言葉遣いは気をつけろと」と「嫌な客いたら教えてくれな、俺が何とかしてやるけん」が口癖。嫌な客はお前だよ、が何度喉から飛び出そうになったか。

筆者の地元は九州で、土地柄血の気が多い男も多かったのでこれ自体は恐らくブラフではないなぁと最初から思っていました。
実際にそういう人って特有の、なんか嫌な気配ってあるんですよね。気配というか、目つきかな? ちょっと違うんです。
ある夜、閉店時間を超えてもこの二人組がクレーンゲームに夢中でした。「すみません、閉店です」と何度声かけしても、やめません。
いつまでもいつまでも遊ぼうとしたので、「もういいや」と電源を落とした瞬間に激怒。大暴れされました。
流石に身の危険を感じたのですが、そこで閉店作業中の先輩が割って入ってくれて「いいおっさんが若いバイト囲んで、何してんすか」と説教。
そこで我に返ったのか、二人組がバツが悪そうに帰宅してくれたんですが、そうは言っても騒動が落ち着いた頃にはとっくに閉店時間を1時間以上過ぎていましたし、残業代も出ない職場だったのでこっちは不満タラタラ!
たまらず先輩に「何なんです、あいつら」と愚痴ったら、先輩は「あの人たちは隣町のやくざ崩れよ、片方は殺人したって言ってるやろ? あれは死亡事故よ。タクシーの運ちゃんしてた時に人撥ねて死なせて、交通刑務所に行っとったって話」と説明してくれました。
それを聞いて余計に嫌な気分になりました。
過失致死で人の命を奪っておいて、自分はのうのうと友達誘ってゲーセンでしょっちゅうクレームを入れたり、気に入らないと暴れたり。
亡くなった方が浮かばれないと思いましたし、この世に因果応報とかないんだなと理解した瞬間でした。
できれば会いたくないけれど…困った常連はあなたのすぐ近くに
すみません。話が長くなってしまいました。
この手の人って多分どこにでもいて、今もあちこちのサービス業の方々を悩ませていると思うんですよね。
そしてこういうおかしい人って、自分がおかしいとか、間違ってるとは思ってなくて、思考にも深みがないんです。
感情先行型なので大声も出せば暴力にも及びます。
そういうことをすると損しかないのに、きっとそれを教えようとしてきた人たちを排除する人生ばかり歩んでいたのでしょう。
周りに言動を糺してくれる人もいない、寂しい孤立した人たち。
筆者はこういう人を見過ぎたので、なんだかお店で働くのが怖くなっちゃいまして、それでなるべく関与できる人を選べる今のフリーライターという仕事に落ち着きました。
もしあなたが今、どこかのお店で働いていて、ここで挙げたような人種に苦しめられているのなら。
その時はフリーライターに転身することを強くオススメします!
ボーナスとか出ないし退職金もないけど……。
