どうも、トモGPです。先日、ふとしたきっかけでドラマ版「ちるらん 新撰組鎮魂歌」を視聴しました。この作品がもともと漫画原作であるということも含め、予備知識ゼロの状態で見てみたところ、これが予想を遥かに上回る”衝撃作”でした。一体この作品の何が”衝撃”だったのか?今回は、この異色とも言える新撰組ドラマの魅力と見どころについて紹介していきたいと思います。
『ちるらん新撰組鎮魂歌』とは?
原作は「月刊コミックゼノン」で連載されていた、原作:梅村真也、作画:橋本エイジによる全36巻の大人気コミックです。物語の主人公は、新撰組副長・土方歳三、 ”最強”を追い求め、バラガキ(乱暴者)と呼ばれた青年時代から、激動の幕末を駆け抜け、箱館戦争で散るまでを描く物語……なのですが、そのアプローチが極めて”ヤンキー漫画”に近いのが特徴です。
ドラマ版は2026年3月に、TBSにて「江戸青春篇」が前後編形式で地上波放送され、地上波放送終了後にU-NEXTで「江戸青春篇」前後編および毎週金曜日にドラマシリーズとして「京都決戦篇」が配信され、つい先日にその最終話が配信されたばかりとなっております。
ドラマ「ちるらん新撰組鎮魂歌」は”幕末版HIGH&LOW”!?
原作をご存知であれば周知の事実でありますが、まずこの作品、いわゆるNHKの大河ドラマのような”重厚な歴史絵巻”を期待して見ると間違いなく肩透かしを喰らうでしょう。「ちるらん」は例えるなら”幕末版HIGH&LOW”もしくは”幕末版クローズ”、そう、この作品は熱すぎる男達のドラマなのです。
一般的に大河ドラマにおける新撰組は、往々にして”武士道とは何か”、”国家はどうあるべきか”という大義に苦悩する集団として描かれることが多いです。しかし「ちるらん」に登場する男たちの行動原理は、もっと原始的でもっと剥き出しで”誰が一番強いのか”、”誰と肩を並べて走るか”といった類のものです。この少年漫画の様なあまりにもシンプルで熱いメンタリティを”新撰組”というテーマに落とし込んだのが「ちるらん」の最大の魅力なのです。
ケレン味たっぷりの映像表現とアクション
本作を”幕末版HiGH&LOW”たらしめている最大の要因は、主演がHIGH&LOWと同じ山田裕貴と鈴木伸之ということもありますが、何よりその徹底したビジュアル・アイデンティティにあります。映像のトーン、照明のコントラスト、そして何より殺陣(アクション)の演出が、これまでの時代劇の常識を軽々と飛び越えています。
今作のアクションシーンにおいて、刀を振るう動作はもはや単なる剣術ではありません。スローモーションとハイスピードを自在に織り交ぜたカメラワークは迫力満点。そしてアクロバティックな動きと、血飛沫さえもデザインの一部として昇華されたケレン味たっぷりの演出で、もはやそれは”刀を使ったストリートファイト”と言っても過言ではないでしょう。歴史的なリアリティよりも、その瞬間がいかにカッコよく、いかに観る者のアドレナリンを沸騰させるか、その一点に全力が注がれている潔さには目を見張るものがあります。同じ様なアクション剣劇として真っ先に思い浮かぶのは「るろうに剣心」ですが、それとはまた違ったアクションの魅力が今作にはあります。
記号化された魅力的なキャラクター
登場人物たちの造形もまた、現代的なフィルターを通して再定義されています。清潔感のある着こなしよりも、どこかパンキッシュで、個々の個性が爆発したビジュアル。新撰組のメンバーの一般的なイメージを踏襲しつつ、原作に忠実に描かれています。山田裕貴演じる土方歳三や、細田佳央太演じる沖田総司などは正にイメージ通りで期待を裏切りません。中でも鈴木伸之演じる近藤勇というキャラクターの描き方は秀逸です。単なる厳格な局長という枠に収まらず、カリスマ性と、荒くれ者たちを包み込む優しさを持ち合わせた”最高の番長”としての佇まいなど、鈴木伸之にとって見事なまでのハマり役の様に思います。彼を中心に集まる試衛館のメンバーたちは、志を同じくする同志という以上に、切っても切れない血縁を超えた”ファミリー”として描かれます。若手実力派キャストたちがぶつけ合う熱量は、時に青臭く、時に痛々しいほど純粋です。作中で描かれるその絆の強さが物語の背骨として一本太く通っているからこそ、どれだけ演出が派手になっても物語がバラバラにならず、単なるアクション作品にとどまらず観る者の胸に深く刺さるのです。
綾野剛演じる”芹沢鴨”の圧倒的存在感
そして本作おける最大の魅力であり語らずにはいられないのが、土方歳三の前に立ちはだかる最大の壁であり、物語の温度を極限まで引き上げた綾野剛演じる芹沢鴨です。
ドラマ版「ちるらん」では基本的にキャラクタービジュアルは原作のそれに寄せている傾向が強いですが、綾野剛が演じる芹沢鴨は原作とは一味異なります。しかし原作と異なるからといって、それが作品にとってマイナスに作用しているかと言えば決してそんなことはなく、むしろ何倍にもプラスに作用しているのが綾野剛版芹沢鴨の特筆すべき点かと思います。派手な装いで煙草をくゆらせ、余裕たっぷりに「好きな言葉は暴力。よろしく〜」と言い放つその姿。時折見せるその瞳に宿る狂気と、ふとした瞬間に漂う抗いがたい色気に、画面越しに息を呑んだ視聴者も多いはずです。彼は単なる「悪役」ではありません。暴力に魅了され、暴力の中にしか生きる意味を見出せない”悲しき怪物”であり、同時に圧倒的なカリスマ性を持つヴィランです。綾野剛が演じることで、芹沢の行動一つひとつに、言葉では言い表せないほどの説得力が宿りました。
特に圧巻だったのは最終話、土方ら新撰組との対峙シーンです。その緊張感たるや、もはやお芝居という枠を超え、一つの真剣勝負を見ているかのようでした。プロデューサーの森井輝氏が「日本の時代劇史上、最も豪胆かつ最速のソードアクションを実現した」と語る通り、綾野さんが見せた殺陣のスピードと美しさは、もはやそれだけでこのドラマを観る価値があると言わしめるほどの圧倒的な存在感を放っていました。
続編への大きな期待
物語は、芹沢鴨という巨大な壁を乗り越え、土方たちが新たなフェーズへと進むところで幕を閉じます。しかし、最終話のラストシーンで視聴者を待ち受けていたのは、さらなる衝撃でした。それは北村匠海演じる高杉晋作の登場です。
あのニヒルな笑みを浮かべた高杉が土方の心に再び火を灯す、まさに”これから本当の戦いが始まる”という予感に満ちた幕切れに、SNSでは即座に”続編希望”の声が溢れかえりました。自分自身、エンドロールが流れた瞬間に「ここで終わるのか!」と、画面の前で叫びそうになった一人です。このファンの熱狂を代弁してくれたのが、先日行われたイベントでの山田裕貴さんの発言でした。彼は、続編について現時点では未定であるとしつつも、「続編を熱望している」と力強く宣言してくれました。「だって匠海っち(北村匠海)、あれだけだったら嫌だよね」という冗談めかした言葉の裏には、この過酷な撮影を共に駆け抜けた仲間たちと、まだ見ぬ先の物語を紡ぎたいという、主演としての切実な願いが込められているように感じましたし、個人的にも続編を熱望します。
最後に
もちろん「こんなの新撰組じゃない」という声もあるでしょう。確かに、教科書的な歴史の正解を求める視点から見れば、この作品はあまりにも異端だと思います。しかし、当時の若者たち、明日をも知れぬ命を懸けて戦っていた彼らの”内面の熱量”を表現する手法として、この”ヤンキースタイル”は意外と本質を突いているのではないかとも思ったりします。彼らにとって新撰組という組織は、公的な治安維持組織である前に、自分たちの存在証明を賭けた”唯一の居場所”だったはずです。そのヒリヒリとした生存本能を、現代の私たちが最もダイレクトに、かつエキサイティングに受け取れる形に翻訳した結果が、このスタイルだったのではないでしょうか。
ドラマ版『ちるらん 新撰組鎮魂歌』は、歴史を学ぶための教材ではありません。幕末という動乱の時代を贅沢に使い、男たちの熱き魂のぶつかり合いを描き切った、究極のエンターテインメント・アクションです。食わず嫌いで見ないのは勿体無いです。理屈抜きで楽しめる幕末アクションを皆さんもぜひ体感してみてはいかがでしょうか。


