どうもトモGPです。「ラスト5分で全てがひっくり返る!」といった謳い文句の映画が、最近は多くみられるようになりました。しかし実際に観てみると、意外と想像の範疇を超えていなかったり、言ってしまえば”大したことがない”作品がほとんどだったりします。ただ中には伝説的に”ラストがヤバい”といわれている作品も存在します。そんな作品の1つが2007年に公開された映画「THE MIST(ミスト)」です。今回はこの”ラストがヤバい”、という噂の映画「THE MIST(ミスト)」を息抜きに何となく観てみたら、とんでもないことになってしまった話です。※ネタバレあり
『THE MIST(ミスト)』
映画ミストの”ラストがヤバい”という噂は、自分もネットで目にしたことがあるくらいで、もはや定番化し過ぎてネタとして使用されるくらいの情報だったりします。しかし”ヤバい”と言っても色々な意味合いがあると思います。洒落にならないという意味での本当の”ヤバさ”であったり、半分バカにした意味での”ヤバさ”など。ミストという作品には自分も興味がありいつか観てみたいと思っていたので、その”ヤバさ”がどういった類のものなのか?ということに関してはそこまで深掘りしたことはありませんでした。
結論から言ってしまうと「THE MIST(ミスト)」という作品の”ヤバさ”は、”洒落にならない”という意味の本気の”ヤバさ”でした。
・あらすじ
舞台はアメリカの静かな田舎町。ある日、激しい嵐が町を襲い、翌朝、主人公のデヴィッドは息子と共に買い出しのため地元のスーパーマーケットへと向かいます。しかし、買い物の最中、突如として町を深い、深い霧が覆い尽くします。
「霧の中に、何かいる」
霧の外から逃げ込んできた男の叫びと共に、スーパーマーケットは閉鎖空間と化します。外には霧に潜む未知の生物たち。そして中では、極限の恐怖と疑心暗鬼から、人々の理性が崩壊していく……。
監督・脚本:フランク・ダラボン、原作:スティーヴン・キング、主演:トーマス・ジェーン、ローリー・ホールデン、トビー・ジョーンズ
予備知識「ラストがヤバい」という罠
前述の通り、自分がこの映画を観る前に持っていた予備知識は、たった一つ。”ラストがヤバい”という評判だけでした。映画好きの間で「衝撃のラスト」と評される作品は山ほどあります。そのためこのミストも、正直心のどこかで「どうせ、あっと驚くようなどんでん返しがある感じでしょ?」と、一種のエンターテインメントとして構えていた部分がありました。
しかし、現実は甘くありませんでした。
10年以上前の作品になりますのでネタバレも含みますが、まず、この映画のラストは、単なる”トリック”や”どんでん返し”の類ではありません。登場人物たちが物語を通して悩み、足掻き、選択し続けた結果として突きつけられる、逃がれようのない”運命”そのものです。希望と絶望が入り混じったラストは正真正銘のバッドエンドでした。
観終わった後、自分はっすぐに動けず、ただぼーっとエンドロールを眺めていました。心の中をぐちゃぐちゃに掻き回されたような感覚。デヴィッド・フィンチャー監督の「セブン」を観終わった後の感覚に近いものがあるかもしれません。映画というフィクションの中で起きていることなのに、まるで自分の身に起きたことのように、重く、深く、心に刺ささってしまいました。
年代とステージによって変わる感想
この映画の面白いところは、観る人によって全く異なる感想を抱かせる点です。例えば、まだ若くて「自分ならこうする」「こうすれば助かるはずだ」という論理や正義感で物語を観ることができる時期と、守るべき家庭を持ち、社会の理不尽さをある程度知ってしまった時期とでは、受け取るダメージが段違いです。
特に、親という立場にある人にとって、本作の主人公が下す決断や、直面する状況は、正視に堪えないかもしれません。
若いうちに観れば”単なる怖い映画””理不尽な映画”として処理できるかもしれませんが、歳を重ねるごとに、この映画が提示する「問い」はより鋭利になり、深層心理に迫ってくるはずです。まさに、一生に一度ではなく、人生の節目ごとに観ることで違った痛みを感じる作品と言えるでしょう。大袈裟ではなく。
クリーチャー好きにはたまらない”得体の知れなさ”
作中において、霧の中から現れるクリーチャーたちの造形は圧巻です。
「触手」「巨大な昆虫」「空飛ぶ翼竜のような生物」。それらは、どこか古き良きモンスター映画を彷彿とさせながらも、どこか異質で不気味です。クリーチャーのクリーチャーたる所以、それは「得体の知れない恐怖」にあります。物語後半に”絶望の象徴”として登場する超巨大なクリーチャーのデザインなんかは、個人的には特にお気に入りです。
スティーブン・キング原作ということもあり、彼が描く怪異には常に「説明がつかない恐怖」が付きまといます。結局、霧の中のバケモノが何なのか、どこから来たのか、なぜ霧が発生したのか。それらの詳細は最後まで明確には語られません。
しかし、その「分からないこと」こそが、観る側の想像力を掻き立て、恐怖を増幅させます。ケレン味と不気味さが程よくミックスされたクリーチャーたちのデザインや動きの気持ち悪さは、モンスター映画ファンにとっても十分に満足できるクオリティです。
結局、最も恐ろしいのは人間である
本作を観た多くの人が口を揃えて言うのは、「結局怪物よりも人間の方が怖い」という事実です。スーパーマーケットという閉鎖空間。そこにいるのは、ごく普通の市民たちです。しかし、生きるか死ぬかの極限状態において、人は誰を信じ、何を拠り所にするのか。狂信的な宗教に傾倒する者、科学的な合理性を信じる者、自分だけが助かろうとする者。
普段なら共存できていたコミュニティが、外部からの圧力によっていとも簡単に崩壊していく様は、まさに現代社会の縮図を見ているかのようです。霧という「得体の知れない怪物」と、人間の心の中に潜む「心理的な怪物」。二つの恐怖が同時に進行する構成は、さすがスティーブン・キングというべき巧みさです。
興味のある人だけ
『THE MIST(ミスト)』は、ただスリルを味わいたいだけの作品ではありません。観終わった後に、自分の中に重い問いを落としていく映画です。「もし、同じ状況になったら、自分はどうするだろうか?」 「自分が信じている正義は、本当に正しいのか?」
軽い気持ちで観ると、自分の様にその重さに押しつぶされそうになります。それでも、この映画が持つ圧倒的な没入感と、観る者の感情を揺さぶる力は、間違いなく一級品です。決して万人におすすめができる作品ではありませんが、興味のある方はぜひトライしていただけたらと思います。ただし、観終わった後の余韻については、一切責任を負いかねますので、そこだけはご容赦ください。
![ミスト [Blu-ray] ミスト [Blu-ray]](https://m.media-amazon.com/images/I/51rrrjLFsJL._SL500_.jpg)

![セブン [Blu-ray] セブン [Blu-ray]](https://m.media-amazon.com/images/I/51pdfgRSXfL._SL500_.jpg)