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映画「Dr.コトー診療所」は一見さんお断りのフジテレビの行く末に不安が残る作品だった【山田貴敏】

無医村や離島医療に憧れる!さじゃんです。今日は12/16に公開された劇場版Dr.コトー診療所を見てきたのでレビューをお届けしたいと思います。

Dr.コトー診療所自体は2003年~フジテレビで連続ドラマ化されましたが、原作は山田貴敏さんの漫画です。秋に楽しみにしていたフジテレビドラマシリーズの映画版ガリレオは個人的にはあまり良い映画だとは思いませんでした。

ですが、これはガリレオシリーズが三作目と言うこともあり制作に行き詰まる感じも理由かと思われます。しかし今回のDr.コトー診療所は初の映画化!このシリーズが好きで医療関係者の自分は当時大学病院に努めていましたから医療人として患者さんに寄り添うお手本のように思っていました。という訳でガリレオの例があったのでw期待半分で映画館に行くことにしまた。

吉岡秀隆版の北の国から

主演の吉岡秀隆は昭和の伝説的ドラマ”北の国から”の出身です。知らない方のために軽く触れますが故人である俳優田中邦衛さんが主演のドラマで息子役を演じ吉岡秀隆が成長する姿を国民全体で見守ってきた経緯があります。北の国からも北海道の農村が舞台で言葉を選ばなけば僻地で暮らす

父子家庭という経済的に厳しい家族が主役となって家族を取り巻く周囲との人間関係を長い時間をかけて描いて来た作品です。ある意味連続ドラマから始まり特番化し映画化し可能な限り登場人物と一緒に成長というか時間経過を感じられる

内輪の家族ものシリーズ

が北の国からだったのだと思っています。話を戻すとDr.コトーですが吉岡秀隆演じるDr.コトーが志木那島(与那国島)に単身赴任に離島医療という難しいテーマに一人で立ち向かうというお話がメインではあるものの島に住む人間関係も大きくドラマを彩るメンバーであり彼らの成長を親戚の子供を見守るような北の国からのときに感じた内輪感もまたこのドラマの魅力であり北の国からと違うのは医療というテーマがオプションでついて回るものの、基本的には吉岡秀隆版の北の国からだという事に他ならない作品であることを今回の映画化でも思い知らされた形にはなりました。

良くも悪くもこの形のシリーズは完全に”一見さんお断り”であり原作のドラマシリーズを見ずにこの映画だけを見ても何が何だか訳が分からず面白いと言う評価にはならないと思います。正直大手映画サイトのレビューも3点台が連発と軒並み厳しい評価が多いような気がします。しかし長々と自分も説明したように志木那島のメンバーの成長が見たい!という同窓会的感覚で視聴するならば十分に楽しめる内容にはなっています。

20代の新しいメンバーも投入はしていますが、あまりマッチしていたとはいえずキンプリの高橋海人の好演も個人的には良かったですが浮いている印象にも感じました。長年培われたチームワークの志木那島メンバーに入りよそ者を演じるという現実の無医村や離島医療で起こりうる排他的要素を上手く表現できていたともいえますが。結論を先に行ってしまえばこのシリーズのファンにはオススメですが、初見で見に行く映画ではありません。なんとなくテレビをつけて流れていたから見るという感覚が正解ですしスクリーンで見るようなお話と言うかテーマでも無かったように思います。Dr.コトーの特番を映画館で見たと言った感じでした。キャストだけ無駄に豪華にしたのもガリレオの時もそうでしたがフジテレビの悪い面が出たというか幕の内弁当的キャスティングはやっぱり色んな要素をボヤけさせてしまうようにも感じました。

まとめ

・Dr.コトーのファンなら楽しめる内容

・一見さんお断り作品であり本当に映画だけ見るのは勧めません

・医療というテーマ的にも現実ではありえない救命シーンが多数

・離島医療は医療提供側の犠牲の上に成り立っていると言う点は共感できる

・フジテレビの取り敢えず劇場版にしようという悪い面が目立つ作品

個人的には元々のドラマシリーズは素晴らしかっただけに今回のようなレビューを書くのは心苦しいのですが、フジテレビのドラマシリーズからの映画化はあんまりピンとこないなとガリレオの時と同じ様に感じしてしまい配信前提なのかもしれませんがスクリーンで見たいと思うような前回ご紹介したNetflixの”First Love 初恋”のような作品との逆転現象を感じずには居られませんでした。

本気で見るものに素晴らし作品を届けようとするNetflixと既存のコンテンツをなんとなく焼き増しし続けるフジテレビ。今後どちらが世間に受け入れられていくのかは火を見るより明らかであり新しいコンテンツを生み出すにはアイデアだけではなく資金力と制作力が必要なのだと思ったりもした微妙な作品でした。