テレビCMなどでも絶賛プロモーション中のネットフリックスオリジナルコンテンツ映画”桜のような僕の恋人”。原作は大ヒットした恋愛小説ということで、中年には刺さらないのかなーと思って何気なく見始めましたが。。
ただの恋愛ストーリーではありませんでした。多少のネタバレを含みますが、核心部分は語らないつもりですのでこれから見る方でも大丈夫なようにレビューしていきたいと思っています。
前半後半でまるで違う映画
登場人物はカメラマン志望の晴人と、ようやくスタイリストデビューを果たした新人美容師美咲の物語。
桜の咲く頃に出会った2人は、晴人の一目惚れで恋愛がスタート。少女漫画的展開、よくある恋愛ドラマ的展開で2人の距離は縮まっていきます。このまま2時間こんな感じで、若者向けの惚気恋愛ドラマを見せられるのかと思っていたら美咲の病気発覚で一気に物語が暗転し始めます。
早老症という実在する疾患がモデル
微熱や白髪の発現など、体の不調を訴えていた美咲は兄の助言で大規模病院で検査を受けることに。ここで明らかになる悲劇的な病名は
早老症(ウェルナー症候群)
この病気はシンプルに説明すると「通常の加齢よりも遥かに早いスピードで老化が進んでしまうもの」様々な合併症の併発により死に至ることも。
珍しい病気ではありますが、医療関係者である自分やトモGPは大学時代習ったような記憶もあり、今回の映画のように進行するかどうかは別として遺伝子疾患であり原因も分からないことが多く国の難病指定となっております。
後半は難病患者を支える家族の物語
美咲の兄は永山絢斗が熱演。ある意味この映画で一番の演技派だったような気がします。賢明に妹励まし続け、怪しい民間療法に手を出してまで助けようとする姿は医療関係者として心を打たれました。
高額だとかインチキ臭いとか気がついていても、
なんとかして難病から助けたいという想い
これは末期がん患者を持つ家族や余命宣告された家族にしかわかない、辛さや追い込まれ方であり今回の映画でここまでリアルに描かれているとは思いませんでした。
病気のことを隠して晴人に会う美咲でしたが、病気のことを言わずに彼の元から消えます。
もしかしらた、女性ならではの発想かもしれませんが”醜い姿を好きな人に見られたくない””早世する自分と関わったら相手が不幸になる”という美学があるのかもと。逆に男性の自分からすると、
先に死なれようがどんな姿になろうか好きならば一生に居たい
と思うのが自然だと思いますが、みなさんはどうでしょうか。こうした答えの出ない問いかけを後半はずっとされているよう感じました。
一方的に別れを告げられ慟哭する晴人。本当の理由を知らされないというもの非常に悲しいなと個人的には感じました。
難病という運命に2人は家族は美咲はどういう選択をするのか。最後までしっかりと見届けていただけたらと思います。
恋愛ドラマと言うよりはヒューマンドラマの一面が強い本作でしたが、非常に多角的に色んなことを考えさせれられる良作でした。
・ターミナルケアの難しさ
・早世するかも言われたら自分はどうすのか
・難病患者を支える家族の苦悩
好きな人に大切な人に気づいてもらえない忘れられるという悲しみ苦しみは、以前ご紹介した愛別離苦という苦行に分類されると思います。
人が人に会いたいと思う気持ちは非常に尊いと最近になって感じます。桜のような僕の恋人というタイトルとはかけ離れた暗い部分も後半は続きますが、皆様の心になにか残るであろう良作だったと思います。
大切だと思う誰かと一緒に見ていただけたと思います。