イランとイスラエルの緊張がかつてない規模で高まっています。パレスチナーイスラエルの戦闘の理解は以前ご紹介したPIVOTの動画を見て頂けたらとは思います。
日本人に馴染の薄い中東エリアの歴史観・宗教観・地政学だったりしますが、今回の戦闘を受けて日経平均株価も1300円ほど大きく値を下げており、市況も大きく警戒しているニュースだったりします。
今日(2024-04-22)現在も37000円前後で推移し、中期的には下降トレンド真っ只中という印象も。ただ個人的には日経平均として大きな時間軸で見ると上昇傾向にはあると思うのである程度落ち着いたら価格は戻すと思っています。
イスラエルがシリアのイラン大使館に攻撃
2024年4月1日イスラエルはシリアの首都ダマスカスにあるイラン大使館の領事部を攻撃し、イランの革命防衛隊の将官7人が死亡しました。この攻撃は、ダマスカス西部メゼ地区の高速道路沿いに位置するイラン領事部の建物に対して行われました。
シリア国防省によると、イスラエルの航空機はゴラン高原方面から発進し、午後5時ごろに領事部を標的にミサイルを発射しました。シリアの防空システムが一部のミサイルを撃ち落としましたが、その他のミサイルが建物を直撃し、中にいたすべての人々が死傷しました。
この攻撃の背景には、イランとシリアに対するイスラエルの長期にわたる緊張関係があります。イスラエルは、イランがレバノンのヒズボラやその他の武装グループに武器や資金、訓練を提供しているとして、シリアでのイランの目標を繰り返し攻撃しています。特に昨年10月からガザでの戦争が始まって以降、イスラエルの攻撃は一層強化されています。
イスラエルは、自国の安全を脅かすと見なす要因に対して予防的な攻撃を行う方針を取っており、今回の攻撃もその一環と見られます。イスラエル北部では、レバノンやシリアからの跨境攻撃が頻発しており、イスラエルはこれに対処するため、敵対勢力に対する圧力を強める意図があると考えられます。
しかし、このような攻撃は地域の緊張を高め、更なる報復を招く可能性があります。イランとシリアはこの攻撃を強く非難し、国際社会に対する真剣な対応を求めています。
対立の起源は50年前のイスラム革命
現在のイスラエルとイラン間の戦争と1979年のイスラム革命との間には関連があります。この革命はイランの政治的、社会的風景を根底から変え、その後の数十年間のイランの外交政策と軍事戦略に大きな影響を与えました。
1979年のイスラム革命によって、イランは西側諸国、特にアメリカとの同盟関係を断ち切り、厳格なイスラム教シーア派の原理主義に基づく政府を樹立しました。革命後のイランは、周辺のイスラム国家との関係を重視する一方で、特にイスラエルとの敵対関係を強めていきました。
革命後のイラン政府は、イスラエルを「シオニスト政権」と非難し、その存在自体を否定する強硬な姿勢をとっています。この政策は、イスラエルとの間で緊張を高め、地域全体の安全保障環境に影響を及ぼしています。イランはヒズボラやハマスなど、イスラエルに敵対する多数の武装勢力を支援しており、これがイスラエルとイラン間の間接的な衝突へとつながっています。
現在の戦争では、イランがイスラエルに対して直接的な軍事行動を取ることも増えており、この背景には1979年の革命以来続くイデオロギー的対立が存在します。イランの支援を受けたグループからの攻撃に対するイスラエルの反撃も、この長期にわたる敵対関係の一環と見ることができます。
このように、1979年のイスラム革命は、イランとイスラエル間の長期的な緊張と現在の軍事的対立の根底にある重要な要因の一つです。革命によって形成されたイランの政策が、今日に至るまで中東地域の安全保障や国際政治に深い影響を与え続けています。
最悪のシナリオ、第5次中東戦争はありえるのか
イランとイスラエルの対立は、1979年のイラン革命に端を発しています。この革命により、イランはイスラム共和国として再建され、西洋諸国、特にアメリカとの関係が断絶しました。この政治的変革は、イスラエルとの間にも深刻な断絶をもたらしました。イランはイスラエルを「シオニスト政権」と位置付け、存在自体を否定する姿勢を強めてきました。
この歴史的背景は、イランがヒズボラやハマスなど、イスラエルに敵対する武装グループを支援する土壌を形成しました。イスラエルはこれらの脅威に対抗するため、予防的な軍事行動を行ってきましたが、これがさらなる緊張を招くこととなります。特にシリアやレバノンの国境近くでの軍事的な衝突は、地域全体の不安定化を招いています。
イランはまた、自国の核プログラムを進めることで地域の勢力バランスを変えようとしており、これがイスラエルにとって直接的な脅威となっています。イスラエルは、イランの核施設に対する攻撃も辞さない姿勢を示しています。これにより、双方の間での軍事的な緊張は一層高まり、事態の誤算やエスカレーションのリスクが増加しています。
さらに、地域内の他の国々、特にサウジアラビアやアメリカがイスラエルを支持することも、イランとこれらの国々との間の緊張を悪化させる要因となっています。これらの国々は、イランの地域における影響力拡大を抑制するために、経済制裁や軍事的なプレゼンスを通じて対抗しています。
このように、イランとイスラエル間の現在の緊張は、単一の事件によるものではなく、複雑な歴史的、地政学的要因によって駆動されています。そのため、両国間の対立が第五次中東戦争に発展する可能性を考える際には、これらの背景を理解することが重要です。しかし、現時点で全面戦争に至る具体的な兆候は見られませんが、地域の安定を求める国際的な努力が続けられていることも事実です。それにも関わらず、地域の未来に対する不確実性は依然として高く、状況の急変には常に注意が必要です。