詐欺被害の防止は正しい理解から。さじゃんです。銀座のロレックス専門店クォーク888への強盗事件から早くも一週間以上が過ぎようとしています。
今月8日に行われた犯行でGINZA SIXにほど近い銀座通り沿いだったことも、たくさん撮影されていたこともあって個人的にも世間的にも様々な衝撃を生んでいると思います。実行犯が未成年だったことも多きな話題となっております。
今年の1月には資産家の高齢女性を狙った強盗事件も発生しており、一連のルフィ強盗事件も含めて日本での治安悪化が叫ばれていると言われております。
しかし、我々一般市民にはメディアでその犯罪構造が報じられてもスキーム自体が理解しにくくLINEがメジャーなメッセンジャーアプリにおいて”テレグラム”という犯罪の温床になっているアプリの存在も認知を下げている要因のような気がします。今回は一冊の本のレビューをしつつこの現代の”闇バイト”、”特殊詐欺”、強盗事件というキーワードを解説していけたらと思います。
田崎基著・ルポ 特殊詐欺
神奈川新聞記者の田崎基さんによる、著書”ルポ 特殊詐欺”を教材にこうした強盗事件の構造を見ていこうと思います。田崎基氏の緻密な調査により、特殊詐欺の現実に迫る一冊『ルポ 特殊詐欺』。この本は田崎氏の神奈川新聞に執筆掲載した連載《トクサギⅠ~Ⅲ》を再構成し新たに加筆修正と追加取材を行った力作です。
特殊詐欺の構造と背後に潜む真実
特殊詐欺の構造を明らかにした本書では、出し子、受け子、かけ子、指示役といった役割を持つ犯罪者たちの実態が詳細に描かれています。特に注目すべきは、犯罪者たちがなぜ詐欺に手を染めるのか、また一度その世界に足を踏み入れてしまった彼らがどのようにして脱出できなくなってしまうのかという部分です。これらの描写から、詐欺犯罪の卑劣さと詐欺師たちの人間性が深く掘り下げられています。
社会問題としての特殊詐欺
特殊詐欺の問題は決して個々の事件だけの問題ではありません。高齢者の財産が詐取されるということは、その親族が未来の相続財産を失うという重大な事態を引き起こします。また、若者が一時的な報酬の誘惑に負けて詐欺に手を染めた結果、一生を棒に振るという悲劇も生まれています。このような視点から見ると、特殊詐欺は深刻な社会問題であり、その解決が急務であることが明確になります。
特殊詐欺の凶暴化と未来への警鐘
かつては詐欺電話をかけるだけの「特殊詐欺」は、近年では逮捕のリスクを避けるため、通信記録が残らないアプリを利用したり、出し子や受け子といった末端の犯人を切り捨てるなど、巧妙かつ冷酷な手法に変化しています。さらに、手間とリスクを減らすために「強盗」へとシフトしており、このままでは「命まで奪われる」状況にまで進展しかねません。この現状は、特殊詐欺がただの経済犯罪から人命を脅かす重大犯罪へと進化していることを示しています。
本書の疑問点
本書は特殊詐欺の現実を深く掘り下げた価値ある一冊ではありますが、著者が詐欺罪の厳罰化を主張する部分には疑問を感じるかもしれません。現在でも詐欺罪の刑罰は十分に重く、また厳罰化が犯罪抑止につながるとは必ずしも言えません。この部分については、読者自身が議論を深めていく必要がありそうです。
総評
『ルポ 特殊詐欺』は特殊詐欺の背後にある人間の弱さや社会の問題を描き出した一冊。詐欺犯罪が持つ社会的な影響と、その解決のために必要な視点を提供してくれます。ただし、著者の主張については、読者自身が深く考えていく余地があります。
中田敦彦氏も解説
地上波がなかなか切り込めない(報道はしているが具体的な手法やスキームの解説は少ない)今回の詳細な手口ですが、ジャニーズ事件の時と同様中田敦彦氏が詳細に切り込んでくれています。なぜ、若者が最終的に重罪となる強盗と言う犯罪に手を染めるのか分かりやすく解説しています。
後編では根本的な問題、構造的な問題を解説しています。日本に限ったことではないのですが
治安の悪化は貧困問題と常にリンク
しています。日本に貧困問題は存在しないという幻想は捨てて、あらゆるリスクを捨ててこうした犯罪に手を染める若者が増えているというのが2023年のリアルだと我々大人が認識する必要があると考えます。我々が犯罪に巻き込まれない、親しい若者が巻き込まれないために正しい知識と理解が求められると考えます。