昨日朝、日本のみならずアメリカや韓国でも大きなニュースとなった大谷翔平選手の通訳の水原一平氏による違法賭博問題。
水原一平氏が大谷翔平選手の資金を具体的にどの様に運用(横領?)したのか2024年3月22日時点でははっきりしませんが、大きなくくりで行くと「有名人周りの金銭問題」というグループに属する事件かと思っています。今日は水原一平氏の事件ではなく歴史は繰り返されるといいますが近代史において起きた、有名人の「金銭問題」をいくつか取り上げていこうと思っています。
ケース1:矢沢永吉 元マネージャーによる約35億円の横領
矢沢永吉氏が巻き込まれた横領事件は、1998年にオーストラリアで起こりました。犯人は矢沢永吉氏の事務所の元社員である福里陽亘と、元ツアーコンダクターの河田博巳でした。二人はオーストラリアのゴールドコーストで土地や建物を無断で担保にして銀行から融資を受け、返済できずに差し押さえられ、第三者に売却されたことが発覚しました。この詐欺により、矢沢は約35億円の損失を被り、1998年3月にオーストラリア証券監視委員会(ASC)へ告訴しました。矢沢永吉氏は法律上、返済義務があるとされ、自身が借金を負う形になりました。詐欺・横領を行った二人が借金を返済できない場合、矢沢永吉氏に返済義務が回るという状況だったため、彼は自己資産を売却して借金を返済することになりました。
この事件は矢沢永吉氏にとって非常に大きな試練であり、精神的にも経済的にも大きな打撃でした。しかし、家族の支援と自身の努力で6年間で借金を完済し、この困難を乗り越えました。
ケース2:クイーンVoのフレディマーキュリーの側近による搾取
フレディ・マーキュリー、クイーンのカリスマティックなフロントマンは、彼の生涯において側近からの金銭的な被害を受けたことが知られています。フレディは彼のパーソナル・マネージャーであったポール・プレンターによって、金銭的に搾取されていたとされています。プレンターは1980年代にフレディのマネージャーとして働いており、フレディの信頼を得ていましたが、その関係は次第にフレディにとって不利益なものとなっていきました。プレンターはフレディの名声と財産を利用し、個人的な利益のためにフレディを操ったと言われています。彼はフレディの財政を管理する立場を悪用し、巨額の金を不正に使用または横領したとされています。この期間中、フレディはプレンターの影響下にあり、彼による意思決定がフレディのキャリアや私生活に悪影響を及ぼすこともありました。フレディ・マーキュリーとクイーンの他のメンバーとの関係にも亀裂が生じ、バンド内の緊張が高まったと報じられています。プレンターはフレディに関するゴシップや個人的な情報をメディアに漏らすこともあったと言われ、フレディの評判を傷つけることにも一役買いました。最終的にフレディ・マーキュリーはプレンターとの関係を断ち切り、彼から距離を置くことに成功しましたが、この経験はフレディにとって大きな精神的および財政的な打撃となりました。フレディ・マーキュリーの生涯は1986年にプレンターを解雇することで新たな段階に入り、彼はその後の数年間で自身のキャリアと人生を再建しました。
なぜ起こるのか?
有名人と側近の間で発生する金銭問題は、様々な要因によって繰り返されることがあります。これらの問題は、芸能界、スポーツ界、政治界など多くの分野で見られ、複雑な背景があります。
信頼と権力の乱用: 有名人はしばしば自分の財務管理を信頼できると思われる側近に任せます。しかし、この信頼関係が悪用されることがあります。側近が与えられた権力を乱用し、個人的な利益のために資金を不正に使用することが起こるのです。
・知識と関心の不足
多くの有名人は、自分の専門外の金融管理に関して知識が乏しいか、関心が薄いことがあります。これにより、側近に対する監視が緩くなり、不正行為が発生しやすくなります。
・複雑な財務状況
成功した有名人はしばしば複雑な財務状況を持っており、多額の収入、投資、税金などを管理しなければなりません。この複雑さは、金銭的な不正が発覚しにくくなる要因となります。
・外部からの圧力と期待:
有名人は公衆からの高い期待にさらされており、時には自身の生活様式を維持するために過度の金銭的負担を背負うことがあります。これが側近による金銭的不正の誘因となることもあります。
・プライバシーの重視と隠蔽:
有名人はプライバシーを非常に重視するため、自身の財務状況を公にしたがらないことが多いです。この秘密主義が、不正行為が長期間にわたって隠される一因となります。
・法的・監査体制の不備
有名人の金銭管理に関する法的な監督や監査体制が不十分である場合、不正行為が検出されにくくなります。適切なチェックアンドバランスの欠如が、問題を長引かせる可能性があります。
・人間関係の複雑さ
有名人と側近の間にはしばしば個人的な関係が絡むため、金銭的な問題が発生しやすくなります。感情的な結びつきが、客観的な判断を難しくすることがあります。
・教育と意識の欠如
有名人自身が金融に関する教育を受けていない場合、彼らは自分の資産を適切に管理する方法を理解していないことがあります。また、側近の金銭管理に対する意識が低いと、リスクに対する警戒心が欠けます。
これらの要因が複合的に作用することで、有名人と側近の間の金銭問題は繰り
返される傾向にあります。以下の点も重要な役割を果たしています。
・側近の選択と監督の問題
有名人が側近を選ぶ際に十分な審査や評価を行わない場合、不正を働く可能性のある人物を信頼するリスクが高まります。また、側近の行動に対する継続的な監視が欠如していると、問題行動を早期に発見し対処することが難しくなります。
・社会的地位と影響力の乱用
有名人やその側近が社会的地位や影響力を乱用して金銭的な利益を追求することがあります。このような力の不均衡は、不正行為を助長することがあります。
・報道と公的圧力
メディアによる過度な報道や公的な圧力は、有名人やその側近に追い詰められた感覚を与え、不正行為を隠蔽しようとする動機になることがあります。逆に、メディアの注意が不足していると、問題が見過ごされやすくなります。
・対策と改善の遅れ
一度金銭問題が発生すると、有名人自身や関連する組織が対策を講じるまでに時間がかかることがあります。問題の根本原因に対処する効果的な改善策を立て、実行するまでの時間差が、問題の繰り返しを許す原因となることがあります。
これらの要因に対処し、有名人と側近の間の金銭問題を最小限に抑えるためには、教育、透明性、適切な法的枠組みの確立、厳格な監督と監査体制の整備が必要です。さらに、有名人自身が自らの財務状況について学び、積極的に管理することが重要です。結局のところ、信頼できる関係を築くことは時間と努力が必要であり、有名人と側近の間で健全な関係を維持するためには、相互の尊重と責任感が不可欠です。
とは言えアスリートやアーティストがこうしたマネージメントを学ぶ機会があるかと言われれば疑問であり、彼らを取り巻く環境が大きく変わらない限り今回の水原一平氏と大谷翔平選手のような問題は今後も残念ながら起きると思っています。昭和から繰り返し起きている”お金”に関する人間の欺瞞のような事件に悲しさを毎回感じています。大谷翔平選手が昨年同様の活躍を出来るように遠く祈っております。