アニメ版もついに最終回を迎え先日は豪華俳優陣による舞台化も発表されるというまだまだ話題の尽きない作品「チ。ー地球の運動についてー」。インパクト抜群のタイトルということもあり広告などからもその知名度は抜群な作品である一方で、"なんとなく難しそう"という理由からまだ手を出せていない人もまた多くいそうな作品だったりもします。そこで今回はこの話題作「チ。ー地球の運動についてー」の魅力について私トモGPが解説していきたいと思います。
チ。ー地球の運動についてー
□作品概要
作者 魚豊(うおと)によりビッグコミックスピリッツ(小学館)にて2020年42・43合併号から2022年20号にかけて連載された作品。
コミック:全8巻
TVアニメ:NHK総合にて2024年10月から2025年3月にかけて放送、Netflix、ABEMAにて配信
2025年10月舞台化予定
□あらすじ
15世紀のヨーロッパ某国。飛び級で大学への進学を認められた神童ラファウ。彼は周囲の期待に応え、当時最も重要とされていた神学を専攻すると宣言。が、以前から熱心に打ち込んでいる天文への情熱は捨てられずにいた。ある日、彼はフベルトという謎めいた学者と出会う。異端思想に基づく禁忌に触れたため拷問を受け、投獄されていたというフベルト。彼が研究していたのは、宇宙に関する衝撃的な「ある仮説」だった――。(公式HPより)
「チ。」は自分も書店の店頭に並んでいた頃から気にはなっていたものの、実際に作品に触れたのは連載も終わり、2024年にスタートしたアニメ版からでした。
難しそうに見えて実は極めてシンプルな物語
まず初めにお伝えしておきたいことは、この作品は”地動説”をテーマとしているが決して歴史物の作品ではないということ。15世紀のヨーロッパを舞台に天童説を説く”C教”が統治する世界において異端とされる地動説を探究する者達の物語、それが「チ。ー地球の運動についてー」です。史実に基づく歴史的な背景を持ちながらも、実は物語は”新しい知識を欲する側vsそれを阻む側”という極めてシンプルな構成で作られています。間口は狭そうに見えるのですが一度読み始めてしまうと一気に物語に引きずり込まれる非常に魅力的な作品です。
交代していく主人公
異端である地動説を唱えることが禁じられている世界、主人公達は志半ばで倒れていきながらも地動説の研究と解明という意思を受け継いでいきます。そう、「チ。」は地動説を追い求める主人公達が入れ変わっていく物語なのです。途切れそうになりながらも綱渡りの様なアンバランスさで受け継がれていく意思、自らの命を危険に晒しながらも真実を追い求め信念を貫く主人公達はどのキャラクター達も非常に情熱的で魅力的。随所に織り込まれる議論のシーンはまるで少年マンガのバトルシーンかの様な緊張感と迫力に満ちています。それぞれの主人公達がどういった思いを抱え地動説と向き合うのかというところも今作の大きな見どころの1つです。
阻む側の圧倒的な恐怖
地動説を探究する側に対しそれを阻む者、その圧倒的な恐怖の象徴として物語全編を通して君臨するのが異端審問官である”ノヴァク”というキャラクターです。敬虔なC教の信徒というわけではなく傭兵上がりの異端審問官はただ淡々と冷酷に自らの職務をこなしていきます。会話シーンが多くを占める今作において作中にノヴァクが登場するだけで場面の緊張感は一気に増します。「チ。」という物語を語る上で決して欠かすことのできない、個人的にも大好きなキャラクターです。
アニメ版の魅力
冒頭にでもお伝えした様に自分はアニメ→原作の順番でこの作品に触れました。マンガ原作のアニメ化は原作の雰囲気をいかにして崩さずにその世界観を表現するのかが大きなテーマとなりますが、その点においてはこの「チ。」に関しましては100点満点と言っても過言ではないかもしれません。その理由は見進めていく上でのテンポ感です。原作を読み進める感覚とアニメを見るスピード感が見事なまでに一緒なのです。「チ。」の様に原作とアニメどちらから入っても違和感なく物語に没入できる作品というのはなかなか無いかと思います。この作品のために書き下ろされたサカナクションの主題歌も必聴です。そんな完璧とも言えるアニメ版の唯一の欠点は”とにかく画面が暗い”ということでしょう。物語の性質上どうしても暗闇のシーンが多くなるのでほとんどのシーンで画面は暗め、明るい場所でスマホなんかで鑑賞しようものなら画面は常にに真っ暗ですからそこだけはご注意を。
史実を元にした圧倒的なスケール感で描かれる物語「チ。ー地球の運動についてー」、まだまだ話題の尽きない誰もが楽しむことができる超一級のエンターテインメント作品をみなさんもぜひご覧になってみてはいかがでしょうか。