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バンクシー展に行ってきた[最終回]ーバンクシーが向かう先とはー

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3回に渡ってお送りしてきた、現在開催中のバンクシー展レビュー。バンクシー展に関する記事は沢山のアクセスが頂いており日本において彼への関心の高さが伺えます。紹介しきれないものも多くありますが可能な限りご紹介してきたBanksy展。最終回は、最後にご紹介したい作品とBanksy展を通して得た感覚や感想をお伝えして最終回とさせていただければと思います。

シュレッダー事件で”風船と少女”はあまりにも有名に

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こちらの映像は当時ニュースでもセンセーショナルに報じられていたのでご存じの方も多いかと思います。104万2000ポンド(約1億5500万円)で落札されハンマーが鳴り響いた直後にシュレッダーが起動。その場にいる全員を凍りつかせました。バンクシーは自身の作品を含めオークションに否定的な考えを持っていることで知られ、数年前よりシュレッダーを仕込んでいたと発言して物議を醸しました。

Every act of creation is first an act of destruction.

-Pablo Picasso (パブロ・ピカソ)-

いかなる創造活動も、はじめは破壊活動だ。

このピカソの名言をInstagramに引用し、「この瞬間が分かっていたかのようなカメラアングル」で動画も撮影され当時自分も衝撃を受けたのを覚えています。この作品もバンクシーの代名詞とっても良い作品ですから展示されていました。

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バンクシーの代表作である「赤い風船に手を伸ばす少女」は、希望の象徴である。赤い風船は、少女を空高く持ち上げ、焼けこげた建物や、銃弾の跡がのこる壁などのカオスから彼女を連れ去る。ー反戦キャンペーンサイトー

絵の構図だけ見ると分かりにくいですが、このような意味を込めて作られた作品のようです。個人的にも大変好きな作品で、ずっと見ていたくなる不思議な引力がある作品だと改めて感じました。

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実はこのシュレッター事件の顛末には続きがあり、裁断は途中で止まってしまいバンクシーが狙っていた「完全裁断」にはならなかったとのこと。ディレクターズ・カット版と称された上の動画でも紹介されております。皮肉なのか落札者にとっては幸運なことなのか

裁断されしかも失敗したことにより美術的価値がさらに上昇した

と言われております。ここまでして、バンクシーは何をしたかったのか?単純にオークションと言うシステムへのアンチテーゼなのか、それとも自己表現の一つなのか本当の所は分かりませんが彼を取り巻く環境がさらに神格化された事件になったことは間違いないかもしれません。

ストリートに描かれたバンクシーの反骨精神

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if graffiti changed anything -it world illegal

落書き(ストリートアート)で何かが変わるなら世界で取り締まりが始まるだろう

(さじゃん意訳)

ストリートアートで世界は変わらないとメッセージしておきながら、反戦や様々な資本主義へのアンチテーゼを辞めないバンクシー。このように文字に起こしてくれるならまだ理解できますが、

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民家の壁に書かれたチャーリーブラウンがガソリンと思しきタンクで何かをしようとしている壁画。

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タバコを吸っていることから可燃性物質であるガソリンはご法度なはずですが。

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こちらは作品を動画で消化するコーナで。こちらも火炎瓶を警察官へ投げようとしているクマのアート。キャラクターを使うことで可愛く仕上げプロパガンダが優しく弱者に届くように配慮されているようにも感じたりします。

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出口にもこんなアートとメッセージが。ネズミの登場回数も異常で彼にとってのネズミとは自身を投影した姿なのか、弱者に寄り添うようメッセージ性があるのか沢山のバンクシーのラット作品を見ても難しい解釈だなと思いました。

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出口付近には大型の時計といつものラット。Banksy展ハッシュタグも添えられています。

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イギリスの公衆電話を模したオブジェにはCall me Banksyの文字が。彼と話せるなら本当に電話してみたいですねw

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こちらも出口付近に置かれた壁を模したオブジェのアート。舌が少しだけ赤いのと白い粉の関連が気になりますが、Banksyの画力、美術力が圧倒的高いことが分かる作品とも言えます。

 Banksy展を通して見えてきたバンクシー

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Banksy展を通じ沢山の作品を見ていく中で自分的な「バンクシー像」というものが見えてきました。彼は単なるストリートアーティストではなく、表現者でありたいのだと。

作品にフォーカスしてもらうために匿名活動

なのだと。現代アートは以前、ご紹介したバスキアもそうでしたが、

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イケメンだったりその人となりが注目されると画家本人が耳目を集めてしまい作品の捉え方、世間の見方にバイアスがかかり「本当に伝えたいこと」がブレたりします。バンクシーもアンディー・ウォーホルやキース・ヘリングをみて現代アートの活動の本人のプライベート、プライバシーの難しさを感じていたのかもしれません。ちゃんと作品で勝負したいという職人気質も垣間見れました。バンクシーが訴えたい、反戦、反資本主義、大量消費社会等々全てが同意できたり納得できるメッセージではありません。しかし、そういった問題提起をアートによって彼は今後も発信し続けると思います。彼のとってのゴールは

死後高値で取引される作品を残すことではない

ことは嫌というほど伝わってきました。名誉、地位、財産が彼にとっては邪魔でしかないのかもしれません。しかし、

自分を発信したい自己顕示欲

は非常に強く感じられるものの、バンクシーと言う名が独り歩きしても彼のスタンスはきっと彼が亡くなるまで変わらないと思います。日本語の熟語に「晩節を汚す、晩節を穢す」という言葉があります。意味は、

-それまでの人生で高い評価を得てきたにも関わらず、後にそれまでの評価を覆すような振る舞いをし、名誉を失うこと。-

個人的に思うバンクシーが晩節を汚す事例があるとすれば、終末期に「自分が実はバンクシーだった」と明かすことだと思います。

 

2020年、新型コロナウイルスが蔓延したせいで世界のスタンダードが大きく変わろうとしています。それは、バンクシーが願う反戦であり大量消費社会であるような気もします。ここからの10年、世界が変わったとき彼はどんな作品を生み出すのかメッセージを伝えてくれるのか同じ時代に生きた人間として楽しみにしていこうと思います。4回にわたり読んでいただき大変感謝しております。外出に関しては慎重な判断が求められる時期ですが、状況が許せば是非行っていただきたいと思います。なにか感じ取るものが皆さんの中に芽生えると信じて。

banksyexhibition.jp