雨上がり決死隊の宮迫博之さんがYou Tubeチャンネルへ引退した島田紳助氏を登場させてことについて賛否が巻き起こっているのをご存知でしょうか?
要約すると、宮迫博之氏がYou Tubeのネタとして島田紳助氏はアポ無しで電話をかけ(事前に承諾を得ていた可能性もある)て無理矢理気味に出演させたことに対して先輩の今田耕司さんが
「ユーチューバーのやり方なんでしょうね」
「ちょっと寂しいのは、芸人やとやらへんやり口なんですよ。先輩のところにゲリラ的に電話してというのは」
「僕はユーチューバーじゃないから、ユーチューバーのルールは分かんないやけど」
「自分たち後輩芸人が本当に(紳助さんに)出演して欲しいのならば、あらかじめ企画概要を話し了解をもらったうえで初めて配信、という筋を通すという。」
と非難している問題。吉本興業の大崎会長も
”You Tubeで成功しているのならこっちに戻る意味ないやん”的な発言もしており、宮迫博之のテレビに戻るという道筋は難航しているように見えます。個人的にこのニュースを見て10年前の東日本大震災時のことを思い出しました。
非被災地からの善意と言う名の投石
そうなんです、デマを含め311発生直後からTwitter、Facebookで様々な憶測が飛び交い電源が消失した被災地の自分たちは玉石混淆な情報に翻弄されたのを思い出しました。今回の宮迫博之のケースと何が似ているかと感じたかと言えば、
デマや不確定情報や一方的な押し付け善意の殆どが被害のない非被災地からのもの
だったのです。〇〇には近づかないほうが良いですよ、〇〇には強姦犯がいる、〇〇には遺体が転がっているなどなど。ライフラインに関する情報を見たいだけなのにノイズと呼ぶにしては大きすぎる投石にも似た善意の名のもと正義や大義を振りかざす、タイムラインにうんざりしたのを覚えています。決定的に違和感を覚えたのは
震災時なんだから〇〇するのは不謹慎!
と言った今で言う自粛警察的な不謹慎警察も当時は多発しました。以前ご紹介したように自分は凄惨な現場や沿岸の被災地や身元不明遺体を相当数見てきました。
つまり自分は被災地の現場の人間です。当事者でなければ分からない感覚や感情や意識は確実の当事者のものであり”良かれ”と思って投げられた石がとても邪魔だなと感じる場合もあるのです。被災地の状況も現地で見ていない人間や差し迫った危機にない人間に高尚なことを言われてもこちら側としては困惑するだけだったりするのです。
サラリーマンと起業家ぐらい違うポジショントーク
今回のケースと先程の震災時のケースと何が一体近いと感じたのか。それは、今田耕司さんはテレビで未だにお仕事があり自分の社会的地位が確立された言い方を悪くすれば給与をもらう”サラリーマン的な芸人”さんであり現在のYou Tubeを主体として働く宮迫博之とは全く違う立ち位置に居ると言わざるを得ません。自分が動かないとアクションしないと差し迫った危機に対応できない被災地民といったら大げさですがフリーの立場の宮迫博之の必死の行動はサラリーマン芸人には時として異様に映るのだと思います。自分は起業家ですしフリーランスに近い働き方をしているので、宮迫博之の行動力やアクションには賛同できるところが多くあります。安全な位置から投げられたヘイトなど彼にとって見れば気にならないのかもしれませんが自分としてはリスクを取って起業していて、それなのに”その稼ぎ方はスマートではない”と安全な位置にいるサラリーマンに非難されているように見えたのです。つまり、
安全が保証されている今田耕司にはフリーランスの宮迫博之の気持ちは分からない
と思うのです。だから発言するな否定するなと言う訳ではないのですが、吉本の論理と宮迫博之さんの論理は大きく乖離しているということを大前提にこうした報道を見ていただきたいなと感じたからなのです。
前回のwin win wiiinでも語られていましたが必死に行動して何かをしていないと自分がおかしくなりそうだと宮迫博之さんは語っています。
”今のYou Tubeチャンネルを始めなければ良かったのかな”(この番組をと言う意味も含まれると思います)という葛藤を抱えながらとにかく自分にできることをやっている宮迫博之さんの姿勢は起業家の自分からすると応援したいですし、理解できる部分が多いです。安全なテレビ村から吉本村から投げつけられる、小石(なんとなくの苦言や意見)に負けずに頑張ってもらええたらと個人的には宮迫博之さんもwin win wiiinも応援しております。ですから、従前の吉本芸人やYou Tube界隈で言われているような
テレビvs You Tubeのメディアの対立構造を超えて
独立して起業した人とサラリーマンの意識の違い
ぐらいの価値観の差が、宮迫博之さん、中田敦彦さん、西野亮廣さんあたりを筆頭に今さらに今年は大きなものになっていくような気がします。みなさんもこの問題をこんな視点で見てもらえたらと願っています。両者の意見に隔たりがあるのは当然のことなのだと。
島田紳助さんのトーク技術も衰えていませんし、宮迫博之さんとのやりとりも本当に楽しいのでまずは見ていただけたらと思います。