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恋するニューヨーク!「モダン・ラブ」から垣間見るテレビドラマの現在地【アマゾンプライムビデオ】

f:id:honknow:20210911201047j:plainチェックしたい作品が多過ぎて時間が足りなさ過ぎるトモGPです。突然ですが海外ドラマの面白さとは何でしょう、圧倒的なスケール感?何シーズンにもわたるような重厚なストーリー構成?見慣れている人とそうでない人でも感じる魅力は異なってくると思います。自分の場合はそこまで多くの作品に触れているわけではないので、海外ドラマウォッチャーとしてはまだまだルーキーのようなものです。しかし日本とは全くと言っていい程異なった視点で作られる作品達には本当に大きな魅力を感じますし、いろいろと気付かされることも多かったりします。というわけで今回は最近見た海外ドラマのなかでも特に面白く非常に興味深かった作品「モダン・ラブ」こちらを紹介していきたいと思います。

モダン・ラブ(Modern Love)

2019年にアマゾンプライムビデオで配信されたオリジナル作品です。ニューヨークタイムズ紙の人気コラムに掲載されたエピソードをベースとした全8話構成の物語で、現在シーズン2まで製作されています。1話30分のそれぞれ独立したオムニバスストーリーになっていますので基本的にはどのエピソードから見ても問題は無いのですが、最終話である第8話にはちょっとしたしかけがあるので、第8話だけは最後に見ることを強くオススメします。

制作総指揮・監督・脚本はあのジョン・カーニー!

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そもそもなぜこの「モダン・ラブ」という作品に引っかかったのかというと、制作総指揮・監督・脚本を務めるのが自分の大好きなジョン・カーニーという監督だったからです(エピソードにより他の脚本家や監督が担当しているものもあります。)。もともとバンドマンだったこの監督の作品は、基本的に”音楽”がいつもテーマの軸として用いられています。

以前レビューさせていただいた映画「シング・ストリート」という作品も音楽をテーマとした作品でした。しかし今回の「モダン・ラブ」はタイトルからもわかるようにラブストーリー、しかもNYタイムズ紙に掲載されたエピソードをもとにしたオムニバスストーリー、そうテレビドラマなのです。今までとはジャンルもフォーマットも異なる作品を、ジョン・カーニーが一体どう仕上げたのかがとにかく気になるところだったのです。

スタイリッシュなのにとにかく暖かい

まずはオープニングテーマがいい、「さすがジョン・カーニー!」と叫びたくなるほどにいい、そこに流れる背景も素敵過ぎて正直この段階で完全に持っていかれましたw。舞台はニューヨーク、実話をもとにした1話ごとのオムニバスとなるこの作品のテーマはラブストリー、しかしそこに軸をおきながらも各エピソードごとに1つ2つと違ったテーマが加えられます。年齢であったり性別であったり恋人ではなく家族であったり、様々な愛の形が各エピソードに散りばめられています。何か大事件が起きたりどんでん返しが待っているわけではありません、語られているのはごくごく普通の日常です。ただそのフォーカスの当て方や演出であったり秀逸な脚本により、自分達が経験したことのあるような、もしくはこれからするかもしれないであろう日常がとてもドラマティックに切り取られていきます。

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恋愛を軸にもう一つテーマを設けることで30分という短い時間のなかで、ストーリーにより深みであったり彩りが生まれてくるわけです。増えた情報量を30分という限られた時間の中で上手に捌き、それを最高のエンターテインメントに仕上げる様は正に圧巻。劇中に使用される曲もどれも最高で、ここまで見終わった後に心地の良い感覚を味合わせてくれる作品はそうありません。タイトルの入れ方からエンドロールまで我々日本の1歩2歩先を行く、現在のテレビドラマの最前線の姿を堪能することが出来ます。

ネット配信ドラマがしかけるしくみ

以前紹介させていただいた「マスター・オブ・ゼロ」もそうですが全8話構成というこのスタイル、従来のネットワーク局とは異なるネットフリックスやアマゾンプライムビデオなどが主体となって作られる作品において、最近特によく見受けられるように思います。これはもう完全にサブスクリプションにおける生命線であるところの”再生ボタンを押す”ようにしむけられた仕掛けであり試みでしょう。従来のネットワーク局が主体で制作されるドラマはアメリカでは1シーズン約22話、日本では1クール約12話でどちらも1話が約60分といった体系がメインでした。しかし1話を短くして小出しにして、さらに全体の構成も全8話とコンパクトにすることにより、オンタイムでもまたは後からまとめて見るにしてもどちらにしても”とにかく手を出しやすくする”ように考え抜かれた戦略なのだと思います。そしてこれが”少し空いた時間に見る”というサブスクの使い方であったり現代のライフスタイルに非常にマッチし、着実に功を奏していることからこの体系がテレビドラマの新しいスタンダードとして定着しつつあるのかもしれません。そして身を持って感じるのは、確かに”1話30分のドラマって非常に手を出しやすい”ということなのです。

作品の面白さとは

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別に作品がコンパクトだから面白いとか言いたいのではなく、新しい試みであったり仕掛けが施されている作品というのはやはり魅力的なのです。逆に韓国ドラマなんかは1話90分近くもありますし、全体の構成も涙が出るほど長かったりします。それでも韓国ドラマが魅力的なのは、そのスケールであったり見たこともないような物語であったりと、とにかく飽きさせないような仕掛けがふんだんに施されているからだと思います。それは海外の作品が明らかに自国だけではなく、自国以外の人たちに向けて発信するよう作品作りがされているからなのです。日本は良くも悪くもガラパゴス化したエンターテインメントが蔓延し、ひたすら自国に対する”内輪受け”のみを狙うような作品が多いのが現状です。ただ坂本裕二さんのような素敵な脚本家が孤軍奮闘し脚本家としての地位を底上げしたり、脚本家が主体となった作品作りの素晴らしさを身を持って体現することにより、近年は日本のテレビでも今までとは一味違った素敵な作品が多く生まれるようになったのも事実です。

サブスクの浸透によりテレビは終わったなどとよく言われますが、コロナ禍の現在在宅時間が長くなるなか、テレビが出来ることって実はまだあるのではないかと思うことがあります。ただそこにイノベーションが無い限りはやはりテレビはオワコンの一途を辿ることになるのは間違い無いのではないでしょうか。テレビで育った自分としてはこのままテレビ業界が萎んでいくのはやはり寂しいので、サブスクの作品だけではなく、今後テレビからも魅力的な作品が多く生まれることを期待したいとなぁなどと今回「モダン・ラブ」を見て感じてしまいました。シーズン2も配信されたばかりのこの作品、アマゾンプライムに加入していれば誰でも見ることができますのでみなさんもぜひご覧になってみてください!

 

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