日本のNetflixランキングでも堂々の一位(2021年10月15日現在)を獲得しなんと世界83カ国で1位を獲得した韓国ドラマ”イカゲーム(오징어게임)。韓国ドラマ好きが多い本能ブログ編集部ですがので過去にもたくさんのレビューをしてきました。
個人的には2021年の韓ドラで一番好きなのはヴィンツェンツォですが、今回のイカゲームもジャンルは全く違うもののスケールや世界観に圧倒され素晴らしい作品だったと思うので”5つのテーマ”でお話していきたいと思います。
その1・制作費が大作映画級
この作品を”ドラマ”と考えると(特に日本の国産ドラマと比べると)ありえないぐらいの映像クオリティと制作費を多分に感じるセットで映画を見ているのか韓国ドラマを見ているのか分からなくなります。Netflixがこの”韓国ドラマ”というコンテンツに多額の投資をしたのは今年のはじめの事でした。
作品そのものへの投資ではなく、映像産業全体への投資ということでNetflixがいかに韓国ドラマという分野に今後の可能性を感じているかがわかるニュースとなりました。ここに来て2021年の期末で登場したイカゲームは納得のクオリティとなりました。
その2・”ドラマ”だが韓国国内でも地上波放送はない
過去にもNetflixオリジナルシリーズとして放映された”梨泰院クラス”や”愛の不時着”などは現地のメディア企業であるCJ EN社やテレビ局tvN社とタッグになって制作し「まず現地で地上波放送してからNetflixのみでの独占配信」という形をとってきました。しかし、イカゲームに関しては取り扱う内容、表現のグロテスクさ、性的な要素もからんで韓国国内でも一切地上波放送されない(出来ない)過激な内容となり受け手側のインパクトも過去の韓国ドラマも比でない感じがしました。
その3・制作費や倫理にとらわれない自由な作品づくり
命をかけてクズどもが大金をめがけてゲームに参加する。このテーマを聞くと日本だとこちらの作品を思い出す方が多いかと思います。
そう、賭博黙示録カイジへのオマージュというか似たような雰囲気に感じるテーマではあります。しかし、イカゲームのファン·ドンヒョク監督のこうした日本のデスゲーム作品に影響を受けたと公言していますのでパクったとか似ていると言った論調は必ずしも正しくなく”デスゲーム系作品”と呼ばれるコンテンツは日本にもカイジ以降多数存在しており(ライアーゲーム、リアル鬼ごっこ、バトルロイヤル等)この分野の韓国における最高峰に一気に上り詰めたと思っています。今後は日本でいうカイジの様に”イカゲーム”以降なんて語られるデスゲーム系のランドマークとして語られるであろう大作となったような気がしています。
その4・韓国ドラマ定番の主題歌もなし話数も短い異例の作り
韓国ドラマと言えば、心を揺さぶるようなきれいなメロディーのバラードが流れる主題歌があったり次回予告の作り込みがすごかったりなど実はある程度たくさん見ていくと”テンプレート化”している部分もあったりなかったりwしかし、ことイカゲームに関してはそういった”お約束”の文化を一切排除。ストーリーをただただ追わせて次話が自然と気になる形に作られているのが非常に素晴らしいと思いました。韓国ドラマは日本のドラマと比較すると平均して倍近くの話数があることで知られていますし(16話~20話)内容がある程度想像がつく中盤以降、ドラマによっては中だるみしてしまったりしますが、イカゲームは9話完結。日本のドラマより短くコンパクトに纏められています。この短さがストーリーを濃縮させているとも言え”THE韓国ドラマ感”は非常に薄められた作りになっています。
その5・制作費に糸目をつない豪華なキャスティング
ネタバレになるので書きませんが、韓国映画界において完全に主役となるようなキャストが多数登場。一体ひとつのドラマにいくらかけているのかと心配になりますがNetflixと韓国エンタメ界の総力戦とも言える布陣に後半明らかになる大物キャストを目にしたとき、
”ここまで十分すごい作品なのにここでこのキャストなのか”
とただただ畏怖に感じたのは自分だけではないと思います。詳しくは書きませんが是非見ていただけたら自分が言う理由がわかるかと思います。
デスゲーム自体も目新しいものもあれば、カイジで見たことある!的なものもありデスゲーム文化に多少慣れがある我々日本人からすると見方によっては複雑になりますが、本題はそこではなく
”同じテーマでもみせ方が練られている”
と思う韓国エンタメの真骨頂を随所で感じることが出来ます。お金と人の命、貧富の差、裏切りと友情などあらゆる要素が詰まっているものの重たくなりすぎず表現しているバランスは本当に素晴らしいと思います。
ありきたりですが、全てはお金で買えるのか買えないのか。最後の勝者が見た景色は一体どんなものだったのか。
コンパクトに9話完結ですから皆さんのその目で確認していただけたらと思います。(ただし刺激の強い内容になりますのでグロテスク系が苦手な方は視聴を控えてください)