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賛否が渦巻く!ネットフリックスオリジナルコンテンツ韓国ドラマ”地獄が呼んでいる”最速レビュー(ネタバレあり)

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その予告やトレーラーからすでに賛否が渦巻いていた、ネットフリックスオリジナルコンテンツコンテンツである韓国ドラマの”地獄が呼んでいる”。

まずはこの短いトレーラーを見るだけでもかなりのインパクトを想像させる作りなのがおわかりいただけるでしょうか?死を予告する死者が現れ、告知を受けるとどんな状況であれ地獄の使者に必ず殺され連れ去られるという設定がすでに絶望的な状況です。このような状況になったら人々はどのように行動するのか生きていくのかを描いたヒューマンドラマとも言える作品です。イカゲームのヒットも記憶に新しい今年ですが、今作も6話完結と地上波の韓国ドラマに比べるとコンパクトな作りで時間的な拘束は少なめ。今回は内容にも切り込んだネタバレありの辛辣レビューとなっていますので未視聴の方はご注意ください。

監督はパニック映画の巨匠ヨン・サンホ

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新感染ファイナルエキスプレスでおなじみヨン・サンホ監督が描く”地獄が呼んでいる”ですがこういったパニック系や異世界的な世界観を描かせたら韓国随一かと思います。今回は映画ではなく予算や時間制限、表現方法や年齢制限さえ超越できるネットフリックスオリジナルコンテンツとしての作品作りですのでヨン・サンホ監督しては自由度の高い作品作りができるかと期待していました。しかし、蓋を開けるとパニックモノというよりは完全に終末を迎えた人類にフォーカスした死生観をメインテーマにした哲学ドラマでした。

地獄と終末を利己的に再定義する人間たち

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突然の地獄の使者の登場にパニックになるソウル市民。そんな中この現象を予告と予言をし警告を続けていた新興宗教”新真理会”。この団体の教祖(議長)を実力派俳優ユ・アインが演じています。彼を中心に前半戦は物語が展開され、視聴を進めていくと受けてである我々もこんな思いに駆られたりするのではないでしょうか?

・地獄行きを回避する方法はないのか

・選ばれた人間に問題がある

・なぜ地獄の使者が急に現れたのか

・新真理会に入会することで使者が自分には来ないと信じたい

そう、CGや表現方法がリアルすぎて自分にもこんな事が起こるのではと恐怖心を煽られるのです。誰もが無罪な人などいないと言わんばかりの、ヨン・サンホ監督の哲学観に個人的には心をえぐられ続けました。これを良いと思う人もいれば自分のように好みではないと考える人が居そうで、新真理会によって”人為的”に作られた死生観や道徳観が個人的には非常に不快に思いながら見ていました。様々な思いを受け手に投げつけることができたとしたなら、それがヨン・サンホ監督の狙いであるならば

随分と難しいテーマに切り込んだな

というある種ギャンブルにも似たような作品だと思いました。

本当に怖いのは地獄や終末ではなく人間である

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地獄の炎に焼かれる人々。しかし、問題はそれだけにとどまらず新真理会によって再定義され告知を受けた人間は罪人とされます。試演と呼ばれる使者が訪れて焼かれる様を生中継するという鬼畜的行為を肯定する人々。その裏にある

被害者は罪人だから仕方がない

という凶悪犯罪が起きたとき地上波のコメンテーターが無理やりな理由を見つけるこじつけにも似ていて、このこじつけこそが人々を扇動し揺動しジェノサイドを繰り返した旧ドイツや独裁共産主義国家のプロパガンダにも近い思想に感じました。

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医療従事者であり、東日本大震災の被災者である自分は圧倒的な暴力とも言える被害を目の当たりにして生きてきました。地獄の使者のように、いやそれ以上に

無慈悲な自然災害の圧倒的な破壊

を経験してきました。そうしたある意味で映画よりも悲惨な経験をした自分からすると、

いつ自分が死ぬのか告知されるだけでも幸せなのではないか

と思うようになりました。たとえそれが30秒前であれ、いちばん大切な人へ感謝を述べることができる時間であったり6日後であれば終活ができたりするのかなと。無慈悲に心の準備も身支度もなくすべてを奪われた人々と接してきた自分とすると曲解された死生観を押し付けれているような感覚になり終始不快な気持ちで視聴をすすめた自分がいました。確かに怖いのは自然災害や地獄の使者ではありますが、津波の際東日本大震災の際に根拠のないデマをSNSで流され被災地民は大変なストレスにさらされました。今回の作品と同じテーマなのですが、

本当に怖いのは人間の意識である

ということに改めて気がついた作品でもありました。

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新真理会が言うように恐怖だけが後悔だけが人々を悔い改めさせるのだとしたら、思想や発想が強制され尊厳がない社会になるであろうとヨン・サンホ監督は警告しているようにも感じました。しかし、最終話まで読み進めても

全く救いのない鬱展開

に個人的には失望しただただ人間の醜悪さを見せつけれるだけの6時間の長編映画だったかなと思っています。今年はたくさんの韓国ドラマをレビューしオススメしてきましたが、個人的には今年イチ勧めたくない作品となりました。グロイ描写はイカゲームレベルでありますがそれよりもメンタルブレイク系の作品で、コロナ渦でネガティブなマインドでに生きている人達もいる中で悪い影響を与えなければ良いなと心配になるプロパガンダ的作品だったように思います。

この作品を自分のように経験とリンクさせず、フィクションとして見れる方にはオススメしますが個人的には積極的に勧めたい作品ではないなと。改めてお伝えできればと思っています。