基本的に食わず嫌いはしません、トモGPです。もう何度も宣言していますがそんな自分でも少し苦手なものがあります、それが”萌え系カルチャー”です。特に2次元、ざっくりといってしまえば”美少女もの”と呼ばれるアニメが苦手だったりします。しかし良し悪しは別としてこの”萌えアニメ”は今や日本独自のカルチャーとして世界でも認知されつつあるのでいつまでも目を背け続けるわけにはいかない!ということで、今回2022年にヒットした2本のテレビアニメ「リコリス・リコイル」と「ぼっち・ざ・ろっく!」を全話鑑賞してみたのでその感想などをお届けしたいと思います。
萌えアニメとは
”萌えアニメ”とはアニメのジャンルの一つでストーリーよりもキャラクターを重視し、個性の異なるキャラクター達の魅力で作品を牽引し。。などとWikipediaでは定義付けられていますがアニメ作品をジャンル分けするのはなかなか困難だったりします。そもそも”萌え”という言葉の定義は人それぞれで曖昧、要はかわいらしい女性キャラクターが登場しグッとくる要素が感じられればそれはその人のとって”萌えアニメ”なのではないでしょうか。
”萌えアニメ”に思うこと
とは言うもののそれら全てが苦手とかではなく、過去記事でも触れていますが”美少女+キャンプ”のフォーマットが大成功を収めた「ゆるキャン△」なんかはアニメもドラマも何周もするほど大好きで1枚目の写真にもあるようにPCにはステッカーを貼るほどですw。では”萌えアニメの”一体何が嫌なのか?それは”萌え”を担っているキャラクターが性的な意味合いで消費されている雰囲気が感じられることが嫌なのです。別に可愛いキャラが出てこようがお色気のシーンがあろうがそこに演出上の必然性があれば全く問題無いのですが、明らかに露出が多いコスチュームだったり必要以上にキャラのスタイルが強調されている感じ(無駄に胸が揺れたり)がとにかく苦手なのです。あとは「ゆるキャン△」以降特に急激に増殖した”美少女+〇〇”的な作品の多さにも正直うんざりしていました。ただ今回紹介する2作品「リコリス・リコイル」と「ぼっち・ざ・ろっく!」の評判は放送当時より耳にしていたので、久しぶりにこういったジャンルのアニメに触れる良い機会だと思い観てみることにしました。
リコリス・リコイル
ストーリー
平和な世の中の裏側で秘密裏に犯罪者を抹殺・消去する組織”DA”、そしてDAにはそんな任務を遂行する”リコリス”と呼ばれる少女暗殺者が多く存在する。主人公である錦木千束(にしきぎ ちさと)もそんなリコリスの一人、彼女が所属する支部(表向きは喫茶店)にある事件をきっかけに本部からリコリス井ノ上たきなが異動してくる。二人の出会いから生まれるお互いの成長、そして直面する様々な事件に仲間達と立ち向かっていく物語です。
良かったポイント
まず非常に驚いたのがガンアクション。キアヌ・リーブスの映画「ジョン・ウィック」を彷彿とさせる様なミリオタも舌を巻く圧倒的なガンアクションが全編を通して楽しむことができます。これだけでもこの「リコリス・リコイル」がただのゆるふわな雰囲気だけの作品ではないことを物語っています。主要キャラ達にわざわざ学生服を着用させた上で銃をぶっ放させる大義名分として、これを”現代の都市型迷彩”としたのはなるほどと納得してしまいました(戦闘に向き不向きは別として)。美少女だからといった忖度も無く主人公達が敵からの攻撃を顔面に普通に喰らうのも、ガンアクション同様に作品自体をリアル志向に振っているからだと思います。作画や音楽のクオリティも非常に高くこの手の作品のなかでは明らかに群を抜いており最終話まで楽しむことができました。
悪かったポイント
まずは単純に敵キャラのカッコ悪さです。親玉的な敵キャラのデザインはまだ良いとしてもその他大勢のモブ的な雑魚敵のデザインがとにかくダサい。一応テロリストっぽい立ち回りをしているのに今時この格好はないだろう、といったデザインなのです。リアル志向の物語なだけにこれに関しては何度も拍子抜けをくらいました。
本筋のストーリーに関しても面白いのですがそこまで真新しさは無く、作画や音楽だけではなくストーリーにおいてももう一癖あってもよかったのではないかと思いました。そしてやりたいことを詰めすぎたのか後半になるにつれ設定がガバガバになってくる展開、伏線を無理やり回収しようとしてしきれていないのも気になりました。であれば謎は謎でがっつりと残して2への伏線としておいた方がまだ潔い感じがします。その他のクオリティが高いだけに余計に”勿体無い”という印象が残る作品でもありました。そしてどうやら本当に新作の制作が決定したとのニュースが飛び込んできましたのでそちらの方も楽しみにしたいと思います。
ぼっち・ざ・ろっく!
ストーリー
主人公の後藤ひとりは動画投稿サイトにて”ギターヒーロー”という名義で活躍する女子高生。しかし実生活においては極度の人見知りでコミュ障、当然友達もいなくまさにクラスでもひとりといった状態。そんな彼女が友達と出会い、バンドを組み少しづつ成長をしていくというストーリーものというよりどちらかといえば日常系に近い雰囲気の物語です。
良かったポイント
アニメの評価となるのか難しい部分ではあるのですがまず全編を通して感じるギターロック愛、作中で使用されるオリジナル楽曲の出来であったり作品の舞台の中心がが下北沢で登場するライブハウスが下北のライブハウス「シェルター」をモデルにしていたり、ととにかく00年代以降の邦ロックカルチャーへのリスペクトが半端ではないのです。いや”ギターロック愛”というより”アジカン愛”と言った方がいいかもしれません。
知らない人に説明をしますと”アジカン”とは”ASIAN KUNG-FU GENERATION(アジアンカンフージェネレイション)”というバンドのことで、まさに00年代の邦ロックカルチャーを牽引した現在も活躍中のバンドのことです。
まず主人公である後藤ひとりが物語が進むにつれ友人と”結束バンド”というバンドを組むことになるのですがそのメンバーの名前が後藤ひとり→後藤正文、伊地知虹夏→伊地知潔、山田リョウ→山田貴洋、喜多郁代→喜多健介と全員がアジカンのメンバーの名前が由来となっています。さらに各話のサブタイトルも前半はアジカンの曲を文字ったタイトルでしたが、後半はもはやそのまま曲のタイトルがつけられていました。第一話のタイトル「転がるぼっち」そして最終話のタイトル「君に朝が来る」となり、物語の最後のエンドロールで劇中の”結束バンド”によりカバーされたアジカンの名曲「転がる岩、君に朝が降る」が流れた時には思わず唸ってしまいました。調べてみると原作者のはまじあき先生がアジカンの大ファンでアニメ制作側がその想いを100%汲んだ結果こういう内容になったとのこと。当然劇中で彼女達”結束バンド”が演奏するオリジナル楽曲の数々も素晴らしくオリジナルサウンドトラックも聞き応え抜群です。
どんなに楽器が上手くてもバンドで合わせると思う様にいかなかったり、スタジオ代の捻出やチケット販売のノルマなど”バンドあるある”ネタも満載でアニメファンだけではなく音楽ファンも楽しめる内容の作品になっています。
悪かったポイント
正直なところこの作品に関してはあまり悪い印象は無く、しいて言わせてもらえれば主人公のコミュ障っぷりが度を超えていることと、そして劇中の”結束バンド”のボーカルの歌い方がアニソンっぽ過ぎてそこまで好みではなかったことくらいです。
”音楽+女子高生”のフォーマットといえば過去に「けいおん!」という大人気作がありました。調べてみるとこちらの「ぼっち・ざ・ろっく!」原作は「けいおん」「ゆるキャン△」などの人気作を排出した「まんがタイム」系の雑誌で連載中の作品であるとのこと。先ほども書いた通り「ゆるキャン△」は大好きだが「けいおん!」に関しては自分も音楽は大好きなので一度は観てみたことがあったのですが、劇中のバンドが演奏するオリジナル曲に全く馴染めずに速攻で挫折してしまった苦い経験がありました。なのでこの”女子高生+音楽”のフォーマットにはトラウマがあったのですが「ぼっち・ざ・ろっく!」は音楽の好みも合い非常に楽しむことができました。
今回鑑賞した2作品は個人的にもとても楽しむことができました。しかしそれでも”美少女+〇〇”といったフォーマットの作品自体に対するモヤッとした感情は払拭することはできません。このジャンルに対して一定数のニーズがある以上これからも無くなることはないのでしょうが「リコリス・リコイル」や「ぼっち・ざ・ろっく!」の様に素敵な作品があることもまた事実ですので、これからも食わず嫌いはせずに興味のある作品にはまたトライしていきたいと思います。