2025年5月22日、リコーイメージングから待望の新型コンパクトデジタルカメラ「RICOH GR IV」の開発発表がありました。
GR IIIの発売から約6年、待たされたファンにとっては朗報とも言えるアナウンスですが、正直に言ってしまえば「それ、GR IIIと何が違うの?」という声もあるかもしれません。
実際にスペックを並べてみても、焦点距離は28mm、F値は2.8、ボディサイズも大きく変わっていないようです。
しかし、それでもRICOH GR IVは“本質的な進化”を遂げたモデルだと、私は感じています。
この記事では、新型GR IVの公式情報をもとに、GR IIIとの違いを徹底比較しながら、何がどのように進化したのかを整理していきます。
GR IVの主な進化ポイント
GR IVは、単なるマイナーチェンジではなく、センサー、画像処理エンジン、AF、手ブレ補正、通信機能など、撮影体験に直結する“中身”が大幅に刷新されています。
中でも注目すべきは以下の5点です。
・約2,574万画素の新型APS-Cセンサーを搭載
・像面位相差+コントラスト検出のハイブリッドAFに対応
・5軸手ブレ補正機構の導入
・内蔵メモリーが53GBに増量(従来比26倍以上)
・新アプリ「GR WORLD」対応でスマホ連携強化
これらはどれも派手さはありませんが、実際のスナップ撮影では確実に違いを生む進化です。
GR IIIとGR IVのスペック比較表
項目 | RICOH GR III | RICOH GR IV(開発中) |
---|---|---|
発売年 | 2019年 | 2025年秋(予定) |
センサー | 約2,424万画素 APS-C CMOS | 約2,574万画素 APS-C CMOS |
レンズ構成 | 4群6枚(非球面レンズ2枚) | 5群7枚(非球面レンズ3枚) |
焦点距離(35mm換算) | 約28mm相当 | 約28mm相当 |
開放F値 | F2.8 | F2.8 |
手ブレ補正 | 撮像素子シフト方式(4段) | 5軸撮像素子シフト方式 |
AF方式 | コントラスト検出AF | 像面位相差+コントラスト検出AF |
最短撮影距離 | 0.06m(マクロモード) | 0.06m(マクロモード) |
内蔵メモリー | 約2GB | 約53GB |
記録メディア | microSD/microSDHC/microSDXC | microSD/microSDHC/microSDXC(UHS-I対応) |
通信機能 | Wi-Fi/Bluetooth | Wi-Fi/Bluetooth(強化予定) |
スマホ連携アプリ | Image Sync | GR WORLD(新開発) |
動画記録 | Full HD(最大60p) | Full HD(最大60p) |
HDF(フィルター) | なし | あり(2025年冬以降に発売予定) |
それでも「変わっていない」と感じる理由
読者の中には「なんだ、レンズも28mmのままだし、動画は4K非対応か」と思われる方もいるでしょう。
たしかに、見た目のインパクトやスペック上の目新しさは控えめです。ですが、GRシリーズはそもそも「変わらないこと」が強みでもあります。
GR IIIを使っているユーザーの多くは、
✔️ 手のひらサイズでいつでも持ち歩ける機動性
✔️ 被写体との距離感を生む28mmという絶妙な画角
✔️ シャープかつナチュラルな描写
これらを「崩されたくない」と感じているはず。GR IVはまさにその“GRらしさ”を守りながら、弱点だったAFや手ブレ、メモリ容量といった「惜しかった部分」を底上げしてきました。
HDF搭載モデルの存在が意味するもの
さらに注目すべきは、GR IVをベースにした「HDF(Highlight Diffusion Filter)」搭載モデルの開発発表です。このHDFは、ハイライトの光を柔らかく拡散し、映画のような情緒あるトーンを生むもので、近年の“フィルム風”ブームとも相性が良いはず。
GR IIIx HDF Limited Modelで好評を博したこのフィルターが、ついにGR IVにも投入されることで、ストリートスナップの新しい表現軸が生まれるかもしれません。
GR IIIユーザーは買い替えるべきか?
これは悩ましいところですが、私の結論はこうです。
・AFに不満がある人、夜間スナップが多い人、手ブレに悩んでいた人は「買い替え推奨」
・GR IIIに満足している人は、HDFモデルを待っても良い
GR IVは“スチルス進化”とも言えるようなアップデートを遂げた一台。GRシリーズが好きな人ほど、その違いはじわじわと効いてくるはずです。
まとめ
GR IVは、スペック表だけでは伝わりにくい“撮影体験”を着実に底上げしたモデルです。
見た目や数値に現れにくい進化を、GRファンのために、愚直に磨き続けてきた──そう感じさせる内容でした。
2025年秋の発売に向けて、これから詳細な作例や実機レビューが出てくることでしょう。
GRファンならずとも、カメラ好きとしてこの一台には注目しておきたいところです。