前回の前編に続き後編です。マニアックな内容過ぎるのでみなさんに読んで頂けるか心配でしたが、沢山のアクセスを頂き感謝しております。あわせて、前編も見て頂けると嬉しいです。
今日はとてもフィルムの画質とは思えない中判カメラの画質と自分がこの世界に入ったきっかけを書いていこうと思います。
死後に作品が知られた謎の写真家ヴィヴィアン・マイヤー
ヴィヴィアン・マイヤーという写真家をご存知でしょうか?知らない方がほとんどだと思います。なぜなら彼女の作品が認められたのは死後であり彼女は
どこにも作品を公開していなかった
からなのです。40年間乳母として働き15万枚という途轍もない枚数の作品が見つけ出され彼女が日の目を浴びるストーリーが映画化され自分も見に行きました。
なぜ彼女はそれだけの写真を撮り続けながら公開しなかったのか、なんのために撮影を続けていたのか、そんな疑問を探り彼女の半生を追う映画になっております。映画に感銘を受け彼女の作品がつまった写真集も購入しました。
その作品の素晴らしさたるや、今まで見てきた写真の概念が変わるようなそんな世界観が広がっております。今から40~50年前の写真とは思えない高精細さと彼女の切り取る構図のセンスと女性ならではなの優しい感じが随所に感じられる素晴らしい写真ばかりです。一部ご紹介します。
前回お話しまししたが、中判カメラはピント合わせが非常に難解です。このように手前ボケを狙い被写体に完全にピントが合った状態で水平も違和感なく熟練した撮影技術と被写体の女性の表情が素晴らしく完全に狙ってこの一瞬を撮影したように思います。
この写真も焦点部分とボケ部分の境界がすばらしく水平も完全に合っています。これから始まる劇場の前で待ち合わせをする男女の表情と、その光景を楽しそうに見つめる婦人の目線とこの一枚だけでNYの当時のエンターテイメントの雰囲気を垣間見ることができそうな一枚です。
NYの街角で新聞やタブロイドを売るおじさん。よく見るとおじさんと同じ表情のタブロイド紙の表紙がおじさんのすぐ上にw中判カメラの高精細が為せるディテールで表現している写真だと個人的には解釈しています。
こんな感じですっかりヴィヴィアン・マイヤーに魅せられた自分は二眼レフカメラしかも、彼女の愛機と同じRolleiflexというメーカーのカメラを探すことになります。実は二眼レフカメラ界隈ではRolleiflexともうひとつ中判カメラの王様と呼ばれいている「ハッセルブラッド」というメーカーが大変有名です。愛好者も多いので、レトロカメラ専門の懇意にしているお店にRolleiflexを探してると訪ねても「ハッセルのほうが球数ありますし楽しいですよ」と勧められても頑なにRolleiflexを探したぐらいヴィヴィアン・マイヤーのような写真が撮りたいそんな風に自分の中で火がついたのを覚えています。
(Rolleiflex 2.8GX,Kodak PORTRA 400)
ネット上には無く自分の足で上野の古いカメラ屋まで探しに行って念願かなって30年ほど前のRolleiflexを入手。晴れて自分の中判カメラ生活が始まりました。こちら、重量も結構ありまして持ち運びも楽じゃないですし肩もこりますがw
素晴らしい写真が撮れたときの感動はデジタル一眼レフや35mmのライカとはまた違ったものがあります。
(Rolleiflex 2.8GX,Kodak PORTRA 400)
あいにくの曇天の横浜でしたが、細部までスッキリと描写されデジタルカメラに全く引けを取らない写真だということが改めて分かります。
(Rolleiflex 2.8GX,Kodak PORTRA 400)
レンガの質感、金属のザラつきもスッキリと表現されています。ISO400のフィルムですが奥のビルまでディテールが確認できるほど中判カメラ、中判フィルムの性能が優れているのがおわかり頂けるかと思います。
(Rolleiflex 2.8GX,Kodak PORTRA 400)
露出によって色合いが変化し暗いシチュエーションだと、フィルム感もでますが天井のざらついた感じや新幹線の光沢のある感じが非常に繊細に描かれています。
(Rolleiflex 2.8GX,Kodak PORTRA 400)
その描写の高精細さはモノクロフィルムに変えても同じで、むしろ精密すぎてデジタル一眼レフの写真のようにも見えます。当時、ここまでの写真技術があったことにおどろきますし今あらためて撮影してこのように皆さんに見ていただく機会を得て自分としても中判カメラの魅力を伝えられて嬉しく思います。
長くなりましたので今回はこの辺で次回最終回は自分の拙い作品をもう少しお見せしたいと思っています。