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【書評】「自分という壁―自分の心に振り回されない29の方法」レビュー【大愚元勝】

人生の終着点で目指すべきは涅槃寂静。さじゃんです。前回の”今日のYou Tube”で紹介した大愚和尚の一問一答。個人的にはここを入り口にして改めて仏教という学問を勉強し直している最中です。

若いうちはあまり感じなかった、考えなかった「生き方」「在り方」。自分なりに様々な角度で仏教を勉強するに当たり書籍で大愚和尚の考え方に触れてみようと思い、読んでみましたのでご紹介していこうと思います。

全ては自分という「我」が根源である

禅僧である大愚元勝氏の著書「自分という壁―自分の心に振り回されない29の方法」について話をします。たくさんの著書がある大愚和尚ですがこの本は私たちが日々経験する悩みや苦しみの源泉を解明しその解決策を探す道筋を示してくれます。

大愚元勝氏は「思い込み」「妄想」「無意識の期待」「他人との比較」といった「自分の心の壁」を掘り下げます。これらの要素が私たちの感情や行動にどのように影響を与え様々な悩みや苦しみを生じさせるかを明らかにしてくれます。そして、これらの壁を乗り越えることで自己理解を深めより良い生活を送るための具体的な方法を示してくれています。

第1章 「悩み」が生まれる場所

第一章では「あれもほしい、これもほしい」という無尽蔵の欲望が悩みの根源であると述べられています。私たちの欲望が絶え間なく湧き上がる背景には「他人との比較」「自己の存在価値の確認」満足感を追求する人間の基本的な本能があります。しかし、これらの欲望が無制限に増大することで生じるのが様々な形の悩みで私たちはその結果として苦しむこととなるのです。

さらに興味深いことに大愚和尚はこの欲望の問題を解決するツールとして2500年前の仏教の智慧を引用しています。彼は「欲望そのものが悪い」という誤解を払拭し逆にそれをコントロールし理解することで私たちがより充実した生活を送ることが可能となることを教えとして説いています。

第2章 「怒り」の壁の乗り越え方

次に、第二章では「怒り」の壁について掘り下げています。怒りは自分の期待が満たされなかった時あるいは自分が望むような結果が得られなかった時に引き起こされる感情です。大愚和尚はこの怒りが他人へのイライラとして現れることが多いと指摘し、それは「勝手な期待」から生まれるものであると述べています。また嫌いな相手を「巨大化」する妄想も怒りの増幅を助ける要素であると指摘します。その人物のネガティブな特性に過度に焦点を当て、一方で他の側面を無視することで我々は彼らを誇張された形で認識する傾向があるというわけです。この章ではこれらの過ちを自覚し、それらを正す方法が紹介されています。

第3章 「無知」の壁の乗り越え方

第三章では「無知」の壁について取り上げられています。私たちはしばしば無意識のうちに「何となく不安」を感じその原因を突き止めることなく、その感情に振り回されてしまいます。元勝氏は、この種の不安を「無知」から生じるものと捉え、その正体を明らかにすることで不安を手放すことができると述べています。

自分の人生の「優先順位」を理解することで、焦りや無駄なエネルギーの消費を避ける方法も説明されています。私たちはしばしば自分の目標や価値観について深く考えず、無意識的に他人や社会の期待に追いつこうとすることで無駄なストレスや焦りを感じることがあります。この章では、自己理解を深め、自分自身の生活における優先順位を明確にすることでこの種の無知を克服する方法が提示されています。

第4章 「ほしい」の壁の乗り越え方

第四章では我々が常に何かを欲しがる心情「ほしい」という壁について探ります。「羨ましいあの人」と同じ努力が自分にできるか本当に自分が目指しているものが何なのか、自分が何を望んでいるのかという自己の欲望について深く探求します。

欲望の核心に迫ることで私たちは自己の内面を理解し欲望が真に自己の成長に資するものであるか、またはそれがただの短期的な満足感を求めるためのものであるかを判断することができます。本書はこの過程を通じて、私たちが自己理解を深め、真の自己実現を達成することを助けてくれます。

第5章 マイナスな感情に溺れる「心のクセ」の直し方

最後の章、第五章では私たちが日々の生活で経験する「マイナスな感情」について深く探求しています。ここでは私たちがしばしば感じるネガティブな感情や思考パターンについて、その原因を理解しそれらを乗り越える方法が提供されています。大愚和尚は「心の中を『善いもの』で満たす習慣づくり」を提唱しています。つまり、日々の生活の中でポジティブな事柄に意識的に焦点を当て、ネガティブな感情を飛び越えるためのエネルギー源とする方法です。また、私たちが抱える多くの問題は「ほとんど妄想」であり、それを認識し割り切ることで、その問題に対する見方を変え、心の平穏を保つことができると説いています。私たちが自分自身の感情や思考パターンに対する理解を深め、それらをより建設的なものに変えるための有用なツールを提供します。これらの手法を活用することで、私たちは自己の内面に対する洞察を深め、自己成長を促進することができます。

まとめ

「自分という壁―自分の心に振り回されない29の方法」は自己理解と心の平和を追求するための実用的なガイドと言えます。大愚元勝氏は私たちが自分自身と向き合い自己の感情を理解し自己の行動に影響を与える無意識の心の壁を認識することでより良い生活を送るための方法を示しています。この本を読むことで自分自身をより深く理解し、その理解をもとに自分の生活をより良いものにするための具体的な手段を得ることができます。

自己の内面を理解し自己成長を達成するための洞察と実践的な方法を提供する力強い一冊です。私たちが日々の生活で直面する感情的な問題や困難を乗り越えるための貴重なガイドとなり心の平穏と充実感を手に入れる道しるべとなってくれるような気がしています。

感情や心の壁に苦しんでいる方、自己理解を深め、自己成長を達成したいと願っている方には、大愚元勝和尚の「自分という壁」を強くおすすめします。あなたの人生の中での自己理解と成長の旅に対する洞察とインスピレーションを提供することでしょう。

この本は禅僧の大愚元勝氏が長年にわたり人々の悩みや苦しみと向き合ってきた経験と、仏教の教えに基づいて書かれたものです。その独特な視点と深い洞察力が、あらゆる読者に新たな視野と深い理解をもたらすことになると思います。タイトルも釣りではないですし自己啓発本としてはフックが弱いような感じにも見えますがオススメですので、ぜひ読んでいただけたら幸いです。

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