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圧倒的スケール感!「劇的紀行 深夜特急」で世界中を歩き回ろう!

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C)1997 名古屋テレビ/電通

こんにちは、本当は旅好きトモGPです。突然ですがみなさんは”バックパッカー”という言葉をご存知でしょうか?文字通りバックパック(リュックサック)一つで世界を旅して回る旅行者のことを指しますが、その多くが低予算で世界を旅して回ることから、俗に言う貧乏旅行者の代名詞だったりもします。かく言う僕も学生時代はバックパッカーの真似事をして東南アジアを旅して回っていました。しかしもともと旅行が好きだったわけではなくて、むしろ旅行にお金を使うくらいなら新しい服でも買った方が良い、位に思っているような人間でした。そんな僕が旅好きになるきっかけになった作品がこちらです、

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劇的紀行 深夜特急

劇的紀行 深夜特急

1996〜1998にかけて年に1本、全3回に渡りテレビ朝日系列で放送されたテレビドラマです。大沢たかお演じる主人公が、インドのデリーからイギリスのロンドンまでユーラシア大陸を乗り合いバス(路線バスや高速バス)だけで旅をするという物語です。原作はこちら、

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旅好きであれば知らない人はいない旅人の永遠のバイブル、沢木耕太郎著「深夜特急」です。著者自身が若い頃世界を旅して回った経験をもとに綴られた半自伝的ストーリーで、発売された当初は個人旅行ブームのきっかけの一つにもなったと言われているベストセラー小説です。単行本なら全3冊(1巻 2巻と呼ぶのではなく、第一便 第二便と呼ぶところがニクイ!)、文庫本なら全6冊の作品となります。

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通常旅人であれば小説を読み、もしくはそれを片手に旅に出るのですがいかんせん当時の僕は旅に関しては全くの無関心。当然「深夜特急」なんて作品は知る由もなく、旅好きの友人に無理矢理観させられたのがこの作品との出会いでした。このドラマ版「深夜特急」は小説が刊行されてから約10年後に製作されたもので、放映後発売されたビデオやDVDも放送内容の全3部作を同じ様に3に分けた収録になっています。ざっと内容を説明します。

第一便「熱風アジア編」

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大沢たかお演じる主人公の沢木耕太郎が、インドのデリーからイギリスのロンドンまで乗り合いバスで行くことが出来るのか友人と賭けをするところから物語は始まります。インドのデリーから出発する予定でしたが、航空券のストップオーバーを利用して香港に立ち寄るところから旅はスタートです。物語の舞台はタイトルにもあるように東南アジア、香港、タイ、マレーシア、シンガポールと、正に東南アジアの中心。年齢的にも見た目的にもまだ若い大沢たかおが、期待と不安に胸を膨らませ旅を始める様子から、東南アジアを回るうちに旅の魅力に徐々に惹きつけらていく姿が非常に初々しく描かれています。

第二便「西へ!ユーラシア編」

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旅の舞台は、ようやく本来のスタート地点であるインドに移ります。広大なインドを西のカルカッタからヒンズー教の聖地ベナレスを経由して北部のデリーまで、インドの魅力を余すことなく伝える内容となっています。様々なトラブルや旅先の人の優しさに触れ、主人公が旅人としても成長していく過程が演技だけではなく容姿でもみてとれるところが、この作品の魅力であり物凄いところだと思います。2枚目後半のインドからパキスタンにかけての国の様子の移り変わりだとか、雰囲気の変化を画面から感じとれる作品はそうあるものではありません。余談ですが後半に、渡辺哲演じる”土屋さん”というドラマオリジナルのキャラクターが登場します。途中主人公と共に旅をするのですが、この”土屋さん”が面倒臭い人なのですがなかなか良い味を出していて、好き嫌いの分かれるところかと思いますが、その辺も注目して観ていただけると面白いかと思います。”土屋さん”僕は大好きです。

第三便「飛行よ!ヨーロッパ編」

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いよいよ最終章、旅はアジア大陸最西部のトルコからいよいよヨーロッパに入ります。通常であれば物語は最終局面へ向けて盛り上がりを見せるところですが、主人公が自分の旅の目的に疑問を感じ始めるように、物語自体も大きな盛り上がりは見せずに終焉を迎えます。決してつまらないわけではありません。ギリシャからヨーロッパにかけての映像も非常に見応えがあり、主人公の旅に対する感情の変化を見て取れるので、そういった面では面白いのかもしれません。しかし劇中で主人公が感じるように、1枚目2枚目にあったような刺激的な旅はもう待ってはいないのです。僕の中ではこの3枚目は”ちょっと長めのエピローグ”といった感じにとらえています。

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誤解を恐れずに言いますと、この作品はストーリーに大きなどんでん返しがあったり、とにかく涙が止まらない様な展開が待っているわけではありません。更に言えばストーリーを追う様な物語でもありません。ただし決して内容がつまらないと言いたいわけではなく、「劇的紀行 深夜特急」はそういった楽しみ方をする作品ではないのである、と言いたいのです。あくまで個人的な感想ですが、「深夜特急」は原作とドラマ版とでは楽しみ方が全くと言って良いほど異なると思っています。小説は70年代前半の物語、ドラマが撮影されたのは90年代ですので当然時代背景も異なったり登場人物やストーリーもドラマ用にアレンジされたものになっています。僕はこの作品を初めて観た時、どうせよくある2時間ドラマみたいな内容でしょ?と高を括っていました。しかし実際に観てみると全く違った感想を持ったのです。確かに内容はドラマなのですが、その撮影のスケールが全く違いました。通常ドラマに海外のシーンが出てくる場合、要所の撮影のみをわずかなロケ日数で海外で済ませ、あとの繋ぎはスタジオなり日本の似たロケーションで撮影しますが、この「劇的紀行 深夜特急」はオール海外ロケ、物語に沿って訪れた国で全て撮影しているのです。役者の演技は体当たり、中にはゲリラ撮影の様なシーンから、もうどこまでがエキストラかわからない様なシーンまで、ドラマの様だけど普通のドラマでは感じることの出来ない臨場感。主演の大沢たかおは雰囲気だけではなく、容姿までも最初と最後では全く別人の様になり、もはや彼が旅を通して成長していく一つのドキュメンタリー作品となっているのです。ここまで現地の匂いや温度が画面から伝わる作品を僕は知りません。観光ビデオの様ではなく、リアルなありのままの海外がそこにはあります。根っからの出不精だった僕が、友人にこの作品を薦められて実際に旅にハマってしまったのですから間違いはありません。そして旅から戻り、再びこの作品を観るとさらに面白く感じてしまうのです。

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C)1997 名古屋テレビ/電通

大沢たかおの若き日の代表作と言っても過言ではない「劇的紀行 深夜特急」、しかし今現在この作品を視聴する方法はなんと”DVDで観る”ことしか手段がありません。大型のレンタル店にも今は置いてあるかは微妙で、非常にニッチなオンデマンドチャンネルで年に一回放送されるかされないか程度です。権利関係のしがらみだか何かは知りませんが、こんなに素晴らしい作品を埋もれさせてしまうのは本当に勿体の無いことだと思います。今回一人でも多くの人に、この作品の素晴らしさを伝えたいと思いこの記事を書かせて頂きました。この様な小さな記事でも僅かなきっかけとなり、一日でも早くサブスクでもレンタルでもこの作品をもっと気軽に観ることが出来る日が来ることを楽しみにしたいと思います。

 

劇的紀行 深夜特急 [DVD]

劇的紀行 深夜特急 [DVD]

  • 発売日: 2002/03/20
  • メディア: DVD