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失神KOの衝撃!その時朝倉未来に何が起こったのか。20年来の格闘技ファンと格闘技経験者が優しく解説してみる

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YouTuberとしても成功を収め、MMAというジャンルを復興させた功績が高く評価されている朝倉兄弟。その兄である朝倉未来選手と柔術の達人クレベルコイケ選手との一戦がRizin28東京ドームのメインイベントとして行われ、衝撃的な失神KOだったので20年来の格闘技ファンであり多少様々な格闘技をかじってきた自分が優しく解説してみたいと思います。

キックボクサーと柔術の異種格闘技的様相

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右側の白地に青いスポンサーロゴのパンツが朝倉未来選手、左側の蹴りを放っている方がクレベルコイケ選手となります。まず分かりやすく説明しますと

未来選手は打撃のストライカーでクレベル選手は寝技を中心とする柔術家

であるということ。未来選手は遠い距離から(自分の射程圏内)パンチやキックを放ち相手にダメージを与え倒すストライカーと呼ばれる形が得意な選手で特にカウンターが上手いと思います。カウンターは相手がこのように攻撃を仕掛けたタイミングでスキを見つけて反撃する戦法。一方、クレベル選手は相手に組み付いて関節技や絞め技で相手を一気にタップさせる(ギブアップ)手法が得意な選手で1Rからこのようなシーンは幾度となく見られていました。

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このように相手の首に組み付いて膝蹴りを放ったと思ったら、全体重をかけて赤ちゃんの抱っこのように飛びつきます。

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飛びついたと思ったらものの2秒ぐらいで、MMAでいうところの”マウントポジション”に。

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上が未来選手、下がクレベル選手です。この形は従来上にいるほうが優位とされ”パウンド”と呼ばれる下半身をバネに思いっきり相手の顔面めがけてパンチを打てる絶好のポジションとされてきました。ですから、飛びついて倒された朝倉未来選手でしたが見方によっては全く不利ではなく”マウントポジション”の形になったと言えるのです。

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この体勢のまましばらく揉み合いが続きます。しかし未来選手は距離を取ろうとせずクレベル選手に体を密着させようとしています。本来パウンドで打撃を狙うのであれば上体を起こし振りかぶってパンチを放つはずですが未来選手は真逆の行動に。これには理由があり、朝倉未来陣営の柔術対策が見て取れます。容易に上体を起こして腕をフリーにしてしまうと、腕を取られ関節技を決められたり寝技の技術はクレベル選手の方が優位と考えていたため”寝ている状態が長い時間続く”と体力を消耗するためスタンディングで自分の優位な姿勢で戦いたいという思惑が見て取れます。

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冷静な未来選手は、タイミングを見て上体を起こし寝技に付き合わずスタンディングに持ち込もうとします。しかしクレベル選手も簡単に脱出は許さず、未来選手の体に蛇のように纏わりついて離れません。

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朝倉未来選手の試合を数多く見てきましたが、ここまでスタンディングに戻るのに苦労する彼の姿を見るのは珍しいなと思っていましたし、かなり慎重に集中してグラウンド(寝技系)からの復帰を考えているように見えました。

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後方に軽くジャンプするほど”距離を取る”ということを意識して無事に離脱した未来選手。この流れを見て

未来選手は相当クレベル選手のグラウンド能力を高く評価し対策してきている

と感じました。すぐさま追いかけるクレベル選手に対し、接近戦~中距離で打撃の連打を見舞う未来選手。この打撃は確実にクレベル選手に効いていたと思います。

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思わずガードしながら頭を下げるクレベル選手。先程のグラウンドから一変防戦一方に。この攻守が目まぐるしく変わるのがMMAの面白いところとも言えます。

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強烈な右フックのあとにご覧の左ミドルキックも有効打に。このまま一気に畳み掛けるかと思われた(過去の未来選手はこの時点で打撃で押してようにも感じました)のですが、

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深追いせず、スタンディングで様子を見ることに。試合後のインタビューでこの時点でなぜ追撃しなかったのかと聞かれた未来選手は「クレベル選手の目が死んでなかった」と答えています。この辺の感覚はトップアスリートにしか分からない領域だと思いますが、追撃は危険と判断したのだと思います。個人的にはここでの追撃がもう少し成功していたなら2R以降の展開も変わったのではと思っています。

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そのままスタンディングの攻防に戻りますが、ここで見ていただきたいのが

上半身の筋肉の違い

です。二頭筋が盛り上がっていて肩や腕っぷしが明らかに強そうな未来選手に対し、細マッチョ的なスラッとした体型のクレベル選手。同じMMAという競技なのにファイティングスタイルの違いでここまで体型が違うのが個人的には興味深いと思っています。柔術は道着を着て寝技や関節技で相手を倒す格闘技であり、関節を柔らかくししなやかに動かせる筋肉が必要であり未来選手のような太い腕だと首や体に纏わりつくのに不利になったりします。もちろん日常的に打撃の練習をそこまでしていないというのもありますが、日本の柔術の第一人者である青木真也選手も似たような体型をしています。

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左の黒いトランクスが青木真也選手で白いパンツが打撃が得意なARNAUD LEPONT選手。今回の未来選手クレベル選手以上の体格差に見えますねw同じ階級なんですが。この試合の結果は今回同様、青木真也選手が下からの関節技で2分経たずにKO(タップ)しています。

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青木選手は間違いなくMMAの日本の第一人者であり寝技師として高い技術を有していると思います。こうして青木真也選手の試合を見ていると柔術の奥深さ寝技系のすごさを感じます。話は逸れましたが今回の戦いもこのように世界中のMMAで行われている打撃vs寝技の”オーソドックスな異種格闘技”なのです。ジャンケンのように、RPGの属性のように寝技が圧倒的に有利だとか相性が悪いとか言うことは一概に言えませんが、スタンディングが得意な選手側が寝技対策できていないと、このような形でスキを付かれ気がついたらタップしている場面というのは幾度となく見てきました。個人的には戦前は未来選手のスタイルは考える格闘技なので柔術対策、回避能力、対策は十分になされ1Rもしっかりと集中して実践できているようにも見えましたし自身の打撃も有効打もあり未来選手がペースを握っていると思っていました。青木真也選手も試合後のTwitterで

 とコメントしており、朝倉未来選手が全く劣勢だったわけではないということを分析しています。クレベル選手の上手さもあるが未来選手のミスだったと。

失神KO!2Rにその時何が起きたのか

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その後も幾度となく寝技に持ち込まれそうになりますが、慎重に抜け出し1Rを終えた両者。青木選手も語ったとおり個人的にも1Rは未来選手が試合をコントロールしていたように思います。流石クレバーに戦う選手だなと感心しました。

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コーナーに戻った未来選手の顔に傷一つありません。この時点では有効打をもらった形跡もなく、寝技対策に自信を持ったと思います。

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一方のクレベル選手は、肩で息をし疲労がやや顔から見て取れます。未来選手の打撃が少しダメージとして残っているのかとも思わせました。

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2Rも未来選手は距離を取り、クレベル選手は不細工な蹴りや打撃で応戦する展開に。

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しかし、一気に組み付いたクレベル選手も未来選手は腰の強さを発揮し簡単に倒されないというカウンターポジションへ。

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しかしここからが1Rのクレベル選手とは完全に違いました。寝かせるのではなく立ったまま”ゼロレンジ”の打撃に移るのです。膝蹴り、パウンドの連打。後に顔面への有効打となってしまう、肘打ちも2回強打されてしまします。

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こちらの2回目の肘打ちはリプレイでみてもかなりの音がしており、顔面骨のどこかが損傷してであろう感じも受けました。意外かもしれませんが、選手は試合中興奮して集中しているためアドレナリンの影響でほとんど痛みを感じないと言われています。ですから、このときの未来選手も”結構肘をもらったな”という感覚はあるにせよ”致命的ではない”と判断しこのポジションの解消に努めようと考えたと思います。

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脱出を試みる未来選手を尻目に1R同様体全部を預ける抱っこスタイルで組み付くクレベル選手。

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1Rと同じマウントポジションも今回はクレベル選手がコーナーを背にしています。そして個人的な考察ですがこの時点で

未来選手は先程の打撃により集中力が少し切れた

と考えます。もっと言うと考えながら試合するタイプの未来選手ですから次の反撃のシミュレートをしていたのかもしれないのですが、いずれにせよ”

寝技にとにかく付き合わないという意識”

は1Rよりも確実に低下してしまった瞬間だったと思います。

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慎重に1R の時のように下半身の準備をしてから上体を起こす抜け方をせずに、ちょっとイージーに上体を起こしてしまったその瞬間!クレベル選手の脚が首めがけて巻き付き三角絞めの準備に完全に入ってしました。

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ちょっと分かりにくいのですが完全に三角絞めが入り右腕も関節技で決められています。クレベル選手は”タップじゃないのか”といった母国語を叫びながら締め続けます。

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なかなかタップをしない未来選手に対してクレベル選手は締めを少し緩め、未来選手の表情を確認します。彼の凄さはここにあると思いました、勝確なのだからレフリーが試合を止めてくれと言わんばかりに未来選手の顔を見えるようにしたのです。倒すか倒されるかアドレナリンも全開の極限状態でここまでの冷静な判断が出来るとはと感動しました。

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セコンド陣も未来選手の意識がないことを指摘し、クレベル選手も徐々に締めを緩めていきます。

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意識のない未来選手に何かを叫ぶクレベル選手。雌雄は完全にここで決しました。先程の肘打ちから1分も経たない逆転劇でした。一瞬の判断ミスやほんの少しの集中力の欠如が招いた今回の敗戦。未来選手にとっては、実際に対峙してとてつもない壁を感じたのかもしれません。試合後のインタビューで引退を示唆するまでに。

素直に完敗だったと認める、朝倉未来選手。先程指摘した肘打ちのダメージが痛々しいですね。しかし、分析家の彼らしく冷静に戦いを俯瞰していて論じているのもすごいなと思いました。

格闘家から引退撤回を求める声が

 

 引退も考慮するという宣言から一夜、日本人最強MMA選手との呼び声も高い堀口恭司選手や、未来選手と親交のある那須川天心選手も引退撤回を求めるコメントを出しました。ファンのみならず格闘家からも愛されてる未来選手だと思います。試合翌々日に自身のYou Tubeチャンネルにてコメントを出されています。

肘打ちが強打した箇所は大きく腫れていましたが、いつもの未来選手の語り口と怪我は大丈夫ですとのことで安心しました。語れてたのは、引退を考え直してもう少し格闘技と向き合ってみようかと思っていると仰っていました。自分も青木選手同様ケアレスミスが生んだ敗戦だと思いますし、さらなる寝技対策の強化や今回の経験値によってクレベル選手が雲上の選手ではないと思います。未来選手の分析力なら二度と同じ過ちは繰り返さないと思いますし、個人的な想いですがぜひリベンジしていただきたいと思っています。クレベル選手は次戦、ベルトを賭けて未来選手に判定勝ちした齋藤裕選手とのタイトルマッチになるそうです。ここでまたも打撃系の齋藤裕選手をクレベル選手が撃破するのか見ものです。

今回は可能な限り丁寧に分かりやすく解説したおかげで長くなってしました。最後まで読んでいただき感謝してます。朝倉未来選手、クレベル選手素晴らしい戦いをありがとうございました。