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上島竜兵さんの訃報に接し「友人を自殺で亡くした」僕が思うこと【大切な人を自殺でなくした方へ】

こんにちは、本能ブログ社長さじゃんです。ダチョウ倶楽部の上島竜兵さんが2022年5月11日に亡くなりました。非常にショックで今も受け止めきれない自分が居ます。お笑い芸人のみならず多方面にマルチな才能を発揮しずっと一線で活躍されていた印象があり本当に悔しいなと言う気持ちでいっぱいです。近年は日本の芸能界でも自殺で生涯を終える方が増えていますが、その報道に接するたびに自分に去来する思いがあります。僕は一年半前のお正月に友達を自殺で亡くました。僕の職業は医療関係者で東日本大震災時に被災三県に居住しており、正直”人の死”と言うものは一般の方よりもずっとに身近にあるなと思っていました。ですから変な表現ですが「死に対しての免疫」が多少あると思い込んでいました。

しかし実際に友人の自殺による訃報に触れた1年半前、非常にショックを受け自分が思いもしない感情になったのです。その時の自分の気持ちとその後自分に起こった変化、自殺に対する向き合い方、自殺報道に関する考え方など今日はお話できたらと思います。今回は自殺で大切な人を失った方向けになるかと思いますし、いつもも本能ブログのコンセプトである”楽しい情報を発信したい、みんなに共有したい”と考えている感じとはズレてしまいますが、自分の想いを伝えさせていただければと考えています。

消せないLINE

もう10年来の友人であるSくん。彼は飲食業界の店長をやっていて、飲食業界と言っても怪しい感じではなくオシャレなダイニングバーにずっと携わっている感じたと思ってくださればと。出会った当初は「お店のお客さんと店長」という間柄でしたが、気がすごく合って慕ってくれたりして、休みを合わせてお寿司を食べに行ったり彼の結婚や恋愛の相談に乗ったりと、年齢差はあったものの職業や立場を超えてリスペクトし合うような友達でした。もう付き合いも8年目ぐらいになろうかとしていたコロナ禍の2021年初頭にこんなLINEのやり取りをしていました。

2020年の年末は仕事相手とお店に行きたいからその連絡と、年初は”珍しく”彼の方から新年の挨拶のLINEが来ていて自分も何気なく返事をしてまた近いうちに会いに行こう!なんて気軽に考えていました。しかしその後分かった事なのですがSくんはこのLINE直後の

2021年の1月4日に彼の友人宅で縊死しているのが発見されました

なぜこのLINEを公開したのか。それは日付にあります。亡くなる

前日の1月3日にLINEの返事がいつもどおり来ていた

のです。この事実が僕自身をしばらく苦しめる結果となりましたし、こうして自分のスマートフォンのLINE履歴をずっと消せずに居ます。

気づけなかった自分を責める日々

彼の訃報を聞いたのは確か1月7日前後でした、同じお店の同僚のコックさんから突然の電話。【さじゃんさん「Sさん」が亡くなりました】と。最初この事実を聞いても何が何だか分からない、まさに狐につままれたような精神状態で自分でも信じられないし現実感が全く無い感じでした。年末に会ったばっかりでかつ年初も普通にLINEをしていた関係でしたし、自殺後の周囲の人間への聞き取りでよく出る

いつもどおりのSくんでしか無かった

から。親しいなら連絡取ってるなら”異変に気づけるでしょう?”なにか変わったことは無かったの?”と周囲の人から聞かれますが、このLINEを含めどこにも予兆など感じることが出来なかったです。しかも、訃報聞いてもう一度LINEを何気なく確認すると

亡くなる前日に返事が来ていたことに気がついた自分

は自責の念にかられ年齢も世間体もはばからず自分の精神が崩壊してしまったかのごとく慟哭しおそらく訃報を聞いた日は3〜4時間は泣き続けていたと思います。その時になぜあんなに悲しかったのか振り返ってみると

気づいてあげれなかった悔しさ・自分に助けを求めてくれたらという悔しさ

ばかりがループのように去来していたのだと。亡くなったSくんへの共感や同調、自責の念が強すぎてしばらく身体的にも体調不良になったほどでした。先程も触れましたが医療関係者という仕事を長年していて人の死に触れることは慣れていたつもりでした。ですが、”縊死による自殺”をとても親しくしていた人にされた経験というものは過去になく自分にとっては大きなショックとなってメンタルに身体に1ヶ月以上ダメージが残り49日を過ぎSくんの葬儀が行われてもなお、PTSDのような状態が続きました。

原因を死因を決めたいのは”残された側”

自殺・自死の場合残された家族の心情を考え、葬儀が行われない事が多く密葬という形で最後を迎えることが日本では通例のようになっています。しかし、Sくんは朗らかな人柄でたくさんの人に慕われていたため彼の同級生の僧侶の方の計らいで葬儀が行われる事になりました。葬儀にはブログメンバーのホッピーと参列しました。ホッピーが元々Sくんと親しかったために自分に紹介してくれたという経緯もあったので。自分に一報を届けてくれたコックさんも言ってましたが、本当に直前までいつもの”彼”だったようで皆一様に

本当に何が原因か分からない、一体なぜ。。。

と口を揃えていました。奥様も小学校1年生の一人息子も参列していました。彼女から発せられた言葉は、

「今日はSのためにお越しいただきありがとうございます、今も何が何だか分からない夢の中にいるようですが息子と二人頑張っていくしかないと思っています」

と。以前お見かけした姿とはまるで別人で憔悴しきっており、身体も信じられないぐらいやせ細っていました。毎日会っていない友達の自分でさえ葬儀までの間、仕事もままならない状態で病みに病んでいたのに一緒に結婚生活を送っていた奥様はどのようにこの状況を受け止めたのでしょうか。想像に難くないと思いました。一人息子はまだ小さいので状況が幸いにも飲み込めない部分もあり、いつか知ることになるのかもしれませんが”ギリギリ物事が付く前”で個人的には救われた部分もあったりもしました。参列していてた共通の知人やホッピーとも話し自分が気づいたことがあってそれは

拠り所として”自殺した動機”を求めたい残された側

なんだなと。なぜなら、理由が知ることが出来たら周囲の人間が多少の心の拠り所となれると思うし多少なりとも納得できる死であってほしいと思うからなのかもと。Sくん〇〇が原因で自死という行動に出たのだと分かると、僕を含め奥様も周囲の方も

「自分が悪かったのではないか」

「自分が救えたのではないか」

と言う”自責の念というシコリ”が消えるのかもと思うからです。奥様も分からない親しい友人も分からないもちろん前日にLINEした僕も分からない、これだけが事実として残り故人には失礼な表現になってしまうのかもしれませんし言葉を選ばないならば

自殺した本人と同じぐらいの重荷を周囲の人間が背負って生きていく

負の連鎖が始まってしまった事になったのだと自分が体験して思いました。今回の上島さんも当然亡くなるぐらい追い詰めら得ていたのは同情してあげたい気持ちでいっぱいなのですが、ダチョウ倶楽部のメンバーや奥様の気持ちを想像できる経験をしただけに僕個人としてはどうしても正直周囲の方への気持ちに寄り添ってしまいます。

臨床心理士の見解

自殺する前の日に連絡をもらったインパクトと何も出来なかった自分の悲しみと憤りが消化できない日々を送っていたのでこのままでは本当に病んでしまうと思い友人の臨床心理士のもとへカウンセリングを受けに行ってみました。このような場合、友人がたまたま臨床心理士だったため相談しやすく自分は恵まれているなと感じました。なぜ恵まれているかというと、

身近な人に聞いてもらえる敷居の低さと安心感

は何事にも変え難く、テレビや新聞メディアが報じる”なかなか繋がらない”で有名な自治体のホットラインなどで仮にカウンセリングを受けれたとしても人間なのでどうしても知らない人に顛末や心情を話す抵抗感が生じると考えるからです。今回は幸せなことにSくんのことを少し臨床心理士の友達が知っていてくれたので話も早かったです。実際の会話をご紹介します。

 

さじゃん(以下さ):Sくんに死なれて本当に悲しい、前日もLINEくれていたし2週間前の年末も会っていたんだよね

臨床心理士(以下心):そうかそうだよね、ビックリしたよね。心の整理がつかないのは当然の反応で医療関係者でさじゃんが慣れているからとか居ないとかあんまり関係ないんだよ

さ:相談してくれれば止めれたかもと思うと悔しいし整理がつかなくて

心:そうなんだよね、でもきっとSくんもさじゃんをはじめ誰にも相談できなかったんじゃないのかな

さ:どうして?

心:うつ状態や自殺に追い込まれるような精神状態だと、心理学的用語で「心の視野狭窄」という状態に陥るんだよね。つまり、Sくんがそうなる前に周囲に相談なりカウンセリングを受けれていたらこのような極端な視野狭窄の状態にはなっていなかったのかも

さ:なるほど、じゃあ防げなかったということ?

心:そうだね、極端な心の視野狭窄状態に入るともはや誰のアドバイスやケア、言葉が全く聞き入れられない状態になって自分の世界観だけで脅迫感、焦燥感、不安感に覆い尽くされて「こんなに辛いなら死んだほうが良い」という追い込まれ方をして「自死したい」という衝動に駆られることが臨床心理学的には言われたりするんだよね

さ:すごく医学的・心理学的なアプローチでよく理解できたありがとう。でも彼の状態は理解できたけど自分を含め周囲はどのように消化したら

心:そっちも大切だね、まずは短期的に理由を探しても心に受けた衝撃が一気に無くなることはありえないと思うよ。時間をかけてゆっくりゆっくり消化していくイメージで居てほしい。受けた衝撃が大きければ大きほど回復に時間がかかるのは医療関係者のさじゃんなら分かるでしょう?

さ:じゃあ、無理に理由付けをしたり無理に考えないようにしたりというプロセスはしなくていいということ?

心:したくなる気持ちはわかるけど、時間が解決してくれる部分も多いのは確かかな。

さ:ありがとう、話してよかった少し気持ちが楽になった気がするよ

心:PTSD状態はそんなにすぐに寛解するものではないから、焦らないでいつもの自分の生活をゆっくり過ごしてみてほしい

 

こうしたやり取りを経て、ずっと闇の中に居た自分が少し光が見いだせたような気がしました。やはり実際にカウンセリング業務を生業としている臨床心理士の言葉は非常に心に届きましたし、いつも優しい方なのですが自分の異変を察知していつも以上に優しく説明してくれたような気がしました。Sくんの死への理由探しをしたり、自責の念に駆られる自分のある意味での「心の視野狭窄」が自分にも起きていたことに気がついて一旦この出来事を考えないようにしようという思いに気持ちを落ち着かせる事ができまた。

訃報に触れ辛いと思ったらしてほしいこと

ここまで話してきて、まだ一年半前の事ですし正直完全に整理がついたと思っていませんし文章を打っている間にも何回か涙しながら記事を書きました。一年半経ってもまだなお今回の上島竜兵さんのような訃報を耳にすると、不安定な当時の感情が一瞬にして蘇ってきて動悸や強い不安感に襲われます。ですが、こうした自分の反応は自然なメンタルの抗原抗体反応と捉え自分なりに対処できるようにもなりました。僕の場合であれば上島竜兵さん関連のネット記事を自分から追いすぎないであるとか、Sくんの死を関連付けるようなイメージをしすぎないであるとか意識的にアクションするようにしています。それでも辛いと思う方もたくさん居るかと思います、そのときは今回の自分のように臨床心理士やカウンセラーに気軽に相談してみるとか、心療内科の門を気軽に叩いてもらえたらと思います。一応、自治体の連絡先も載せて起きますが臨床心理士の友達いわく「あまり繋がらない」と言われており、心の視野狭窄が無意識に進行する前に是非まずいと思ったら無料相談ではなく有料の臨床心理士・カウンセラー・心療内科医に頼ってもらいたいなと思います。そこまでの症状ではないけど、上島竜兵さんの事を考えてしまうという方はせめて近くの家族や友達、同僚などに「かわいそうに思って辛い」という気持ちを率直に伝えてみてほしいなと。自分の気持を人に話すって自分が思うよりもとっても大切な行為だということに気がついて欲しいなと思っています。

電話相談|自殺対策|厚生労働省

死に様は生き様ではない

Sくんはとても頭もよく良い大学出身でしたが、それでも飲食業界の道に進んで頑張っていました。生前自分のみならずたくさんのお客さんや友達に愛され囲まれルックスも良かったので異性にもモテていました。自殺を選ぶとその死因のインパクトばかりが残された側にこびりついてしまいますが、僕が今日お伝えしたいのは

生きてきた生き方を思い出してあげること

だと思っています。上島竜兵さんはたくさんの人を笑顔にし誰のことも悪く言わない不快にしない笑いをダチョウ倶楽部のメンバーと一緒に作り上げてきました。亡くなってみて彼の芸風の凄さを改めて感じますし本当に凄い昭和の芸人さんだったんだと改めて尊敬します。誰にでも優しく慕われていて後輩芸人にもいつも囲まれていたようでそんな人格者だった上島竜兵さんのこと僕は好きでした。こんな感じで、Sくんの生き様・上島竜兵さんの生き様に気持ちが楽になったら目を向けると残された僕たちも少しずつ寛解していくような気がするのです。”死に様は生き様”なんて結構残酷な日本の格言もありますが個人的には間違っていると思います。Sくんや上島竜兵さんが幸せにしてきた沢山の人が居たのは紛れもない事実であり、やっぱりそこに一番目を向けるべきなのだと思いました。自分も上に上がったら上島竜兵さんのギャグを見てみたいしSくんとまた遊びに行きたいです。でもそう思ってあげることが自分にとっても故人にとっても前を向く鍵になるのだと今は信じています。

長くなりましたが、今辛い思いをしている方に一人でも多く読んでもらいほんの少しだけでも気持ちが一呼吸置けることを願って今回の記事はおしまいとさせていただきます。最後までお付き合い頂きありがとうございました。

 

2022年5月13日 本能ブログCEO さじゃん

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