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戦時中の今だから。不屈の精神と絆の物語「ラーゲリより愛を込めて」レビュー

Mrs.GreenAppleのみなさん、紅白出場おめでとうございます!さじゃんです。以前現在(2023年11月16日)ガザで起きている戦争が何故起きているのかを解説する記事をアップさせて頂きました。

1900年代の世界も同じ様に戦争の動乱のさなかにあったことは歴史が物語っており、人間は悪い意味で学ばない生き物なのだなと少し悲しくなったりもします。そんな時、ホリエモンこと堀江貴文さんが大絶賛していた、昨年公開の「ラーゲリより愛を込めて」と言う映画を思い出しました。

実話をもとに何度も映像化された物語

シベリア抑留の悲劇を背景に、実在した山本幡男氏の壮絶な人生を描いた映画「ラーゲリより愛を込めて」は、戦後の混乱と人間の尊厳について深く考察する作品です。この映画は山本氏の遺書を通じて、彼と同じ運命を共有した多くの日本人捕虜の苦難と希望を伝えます。山本幡男氏は島根県出身で東京外国語学校を卒業し、ロシア語の実力を活かして働いていました。

しかし太平洋戦争中に満鉄調査部に入社しその後ソ連軍に捕らわれ、収容所送りになります。映画は、山本氏が収容所での通訳としての役割と同時に仲間たちを励ます精神的支柱となる姿を描いています。映画は、シベリアの厳しい自然環境と劣悪な生活条件の中で、捕虜たちが直面した壮絶な現実をリアルに描写します。極寒の中での強制労働、飢餓、病気との戦いなど、人間の限界を超えた試練が描かれます。それにもかかわらず、山本氏が示す不屈の精神と、絶望の中で生まれる小さな希望が、映画の核心をなしています。

この映画の演出は、観る者に深い感動を与えるものです。監督は収容所の厳しい現実を生々しく映し出しながらも人間の心の温かさと絆の重要性を強調しています。映像表現も卓越しておりシベリアの広大な風景と収容所の閉塞感が対照的に描かれ物語の深みを増しています。

人は過酷な状況でも前を向いて生きていられるのか

(以下ネタバレを含みます)

1948年にハバロフスクからの帰国が突然打ち切られた山本氏の運命は、映画の中でも生々しく描かれています。通訳としての役割が彼にとっての災いとなりスパイと誤解されたことで過酷な待遇を受けることになります。映画は彼が受けた不当な扱いと精神的な苦痛を繊細かつ強烈に描写しています。

収容所での辛い労働と健康の悪化にもかかわらず、山本氏は仲間たちと句会を開催し、精神的な支えを見つけていました。このシーンは、言葉の力と人間の創造性がどのように厳しい環境でも人を支えることができるかを示しています。

山本氏の体調が悪化し最終的に亡くなるまでの過程は映画の中でも特に心を打つ部分です。彼が遺書を書きそれを仲間たちが家族に届ける努力をする場面は友情と人間の絆の強さを象徴しています。また山本氏が遺書を書きそれを仲間たちが家族に届けようとする場面も重要です。

このシーンは、人間の絆と友情がいかに強固であるかを示しています。遺書を隠し暗記する仲間たちの努力は、彼らが共有する困難と希望を象徴しています。山本氏が亡くなった後、彼の遺書を守るために努力する仲間たちの物語は戦争が終わっても終わらない人々の苦闘を示しています。遺書が最終的に家族のもとへ届けられるまでの12年間の旅は、平和が訪れても続く人間の戦いを象徴しています。

映画「ラーゲリより愛を込めて」は、過酷な状況でも前を向く人間の強さと、苦境の中でも希望を見出すことができることを、山本幡男氏の生き方を通して力強く訴えています。この映画は、観る者に深い感動と困難な状況でも前を向くことの価値を思い起こさせるでしょう。ただの歴史映画ではなく、人間の精神の強さ、絆の重要性、そして不屈の意志を描いた作品です。山本幡男氏の物語は、戦争の悲惨さを超えて、人間が直面する極限状況の中での希望と人間性の光を浮き彫りにします。この映画は戦火を生きる現代の我々に多くの考察を与えると考えます。

主題歌はこの映画のために書き下ろされた「Soranji」

 

貴方に会いたくて 生まれてきたんだよ
今、伝えたいんだよ
私はただ 私はまだ

はじまりの朝が来る 宝物を探すけど
いつの間にか すぐそばにある事を
忘れて今日も浮かんでます

思い出は歩いてきた証だと この傷が教えてくれる
当たり前に進んでゆく皆んなに ついて行こうと頑張っています

汚れながら泳ぐ生の中で
まあ よくぞここまで大事にして
抱えて来れましたね

まだ消えちゃいないよ ちっちゃな希望を

何とか信じて、
信じて欲しい

裏切りが続こうが
「大切」が壊れようと
何とか生きて、生きて欲しい

有り得ない程に キリがない本当に
無駄がない程に 我らは尊い

 

エンドロールでこの曲を聞いた時大号泣してしまいました、あまりにも映画の主題歌として素晴らしかったから。スケール感と命の尊厳をMrs.GreenAppleの大森さんの視点で非常にい美しく表現されていたから。実はこの曲を書いた彼自身もTwitterでこのようなコメントを残しています。

”現時点の僕の最終地点。”大森さんの渾身の一曲だということがわかる表現です。スケール感と歌詞が大好きで辛い時最近はよく聞いています。自分より過酷な人がいるから自分は恵まれているという相対論で日本の人は語りがちですが、本当はそうではなくそれぞれの人生に課された重荷と向き合いながら歩いていく全ての人の生き方に意味があると、そう信じられる曲でした。

昨年の公開時に映画館で見れなかったのが悔やまれますが、現在各種配信サービスでの視聴がスタートしています。(自分はアマゾンプライムビデオで有料レンタルしました)本当に一人でも多くの日本人に世界に人に見て欲しい本当に素晴らしい日本映画に出会えた、そんな作品でした。