2020年3月9日、円の暴騰を皮切りにNYダウが歴史的な暴落をみせた。原因はもちろん先行き不透明な新型コロナウイルスの蔓延であり、減産要求をはねのけた産油国によってもたらされた原油暴落と、FRB(連邦準備制度理事会)によって決定された金利引下げ等が折り重なった結果である。
近年好調と呼ばれたアメリカテック系株(GAFA)も軒並み暴落、本能もチャートやマーケットを見始めてまだ5年だがここまでの値動きは経験がない。
GAFAがすべて下落。
Google -7.24%
Apple -8.22%
Facebook -7.78%
Amazon -6.53%
5%を超えた大幅な下落と言って良いと思う。トランプ政権や安倍政権は経済政策の好調さを武器に支持率と株価を上げ続けてきた。彼らにとって新型コロナウイルスの蔓延よりも、経済が不安定になることのほうが政治生命に大きなダメージを与えるのである。
では、マーケットが歴史的大暴落を起こす時裏では一体何が起きていているのか。投資やトレードしない方にはいまいちピンとこないかもしれないが、競馬のオッズとそんなに変わらない理屈なのである。ディープインパクト、キタサンブラック、最近だとアーモンドアイが歴史的名馬なのにも関わらず人々の期待を裏切り勝てなかったレースがある。競馬は絶対ではないのである、絶対的に強くても。勝手に人々が期待しベットしオッズを釣り上げそして名馬が敗戦し馬券が紙くずとなり怒るのである。
株価や為替も実態よりも期待値で価格が形成されることは普通であり、あくまで人々が
勝手に期待した結果
でしかないのである。様々な要素を織り込んで株価や相場の価格は形成されるが今回のようにネガティブな社会不安、経済に与える不安、今後の見通しの不安なが大きく投資家の心を揺さぶった時、投資家の不安が結集した時
歴史的大暴落が起こる
のである。投資家といっても自分のような小口個人投資家を思い浮かべる人が多いと思うが、マーケットで大きな力を握っているのはプロの機関投資家である。彼らのさじ加減一つで日経平均株価やNYダウを動かすことは可能である。今回の暴落が大底(下落の最下点)であるかどうかは、分からないが
セリングクライマックス
である可能性も指摘されている。セリングクライマックスとは、もともと下降(下落)気味の相場にあって投資家の大半が弱気、不安一色になり一斉に同時に大量の売り注文を出すことによって形成される暴落相場である。パニック相場の一つとも言えると思う。昔のウォール街の映画であるような(今は電子株券が主流なのでありえないが)紙切れが中を舞う状態の悲壮感漂うパニック相場である。
このように心理的に不安定な状態が市場参加者の大半を占め取引が混乱していると判断した場合、サーキットブレーカーといって心理的に落ち着かせるために市場を強制終了する制度を各国の証券取引所は仕組みとして持っている。そして、今回NY証券取引所がこの
ブレーカーが落ちた
のだ。しかも史上初。15分間の取引停止である。心理的にブレイクさせるために。混乱がいかに凄まじかったかお分かりいただけたであろうか?
後世コロナショックと呼ばれる今回の暴落が果たして大底なのか、はたまたオリンピックが中止になった時個人的にはまた下落や社会的インパクトによりマーケットが変動すると見ている(下落するかは分からないが)。
相場、マーケット、市場、競馬はランダムなのである
この原理原則を忘れず、冷静にトレードしていただけたら幸いである。
(2020年3月12日追記)
正式にWHOがパンデミックを宣言。こうなるとオリンピック開催への影響は免れない。なんとか開催の論調に持って行きたかった東京都と日本政府だったが収束が見通せない感染症という判断になってしまったので個人的にはオリンピック中止後の経済への影響が気になり今回の暴落が大底である根拠は薄まってしまった印象である。