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【新型コロナウイルス】疫学的に考える

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2020年3月12日とうとうWHOから「パンデミック」の宣言が出されてしまった。

昨日の記事でも書いたが、オリンピックの開催もこのまま強行できる論拠はほとんどなく延期か中止かの判断に迫られることになると思う。

毎日、毎日繰り返される感染者増加のニュース。ポジティブな話題を探したくてもテレビからニュースは物資の不足や不安を煽るものばかりで外出もはばかられる昨今、気持ちも滅入ってしまう。そんな時、自衛隊の情報分析官(恥ずかしながらこういう職業の方がいることを今回はじめて知った)の記事を興味深く読ませていただいたのでご紹介したいと思う。

jbpress.ismedia.jp

ある特定の感染症においてその動態や生活環境等を研究する学問を疫学という。医学生時代に本能も勉強した。この分析官の方の視点は疫学に基づくと言うか、疫学的だなと感じて興味深かったのでご紹介する。彼も最初に断っていたのだが、医学的見地の分析ではないということ今まで起きた事象、流行地域からなにか特徴はないのか分析したということである点が、ワイドショーの煽りコメンテーター(しかも医療関係)とは違うところである。

 

ここまでの分析とは?

その1.春節時に多くの中国人が訪れたが、日本各地で感染者が多い地域とそうでない地域がある。

 

なるほど、確かにである。個人的にも「なんで北海道だけこんなに多いのか」と感じていた。個人的には、観光名所が多くインバウンドの中国からの観光客が多いからなのかなと。しかし春節時に最も多く日本に入港するクルーズ船は博多港が1位なのに、福岡県の感染者数が北海道ほど増えていないのは確かに不可解である。

これには北海道特有の事情、車で言うところの寒冷地仕様みたいな家や建物の構造に原因があるかもとおっしゃっていた。

 

窓は二重ガラス、玄関は二重扉、気密性が高く、空気が入れ替わらない

 

構造になっているようなのである。ここで思い出して欲しいのが、クラスター感染していると言われているライブハウスやスポーツジム。この2つは窓ガラスが曇るほどの熱気と気密性の高さ加えて人と人との距離が近いという特徴があったように思う。

 

その2.海外でも、気温の差によって感染拡大に差がある。

 武漢も大邸も氷点下0度を下回り、イタリアの北部も寒いエリアのようである。無論北海道も。寒い地域で感染が広がり温かい地域では感染がひろがりにくい特徴があるようである。

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その3.気温が暖かい世界の国々では、感染者が一時的には増加したが、現在では減少している。

 シンガポールやタイがこのデータと符合するようである。以前書いた記事の感染者数の推移でもご紹介したが、感染初期はシンガポールやタイも患者数は日本とさほどかわらなかったはずである。まだ、なんとも言えないところもあるだろうが寒い地域より温かい地域の方が感染しにくく患者も減少しやすいと言えるのかもしれない。

 

その4.関東の通勤帯の電車は、土日を除き毎日満員。

 安倍総理がテレワークや時差出勤を推奨していたように、政府も満員の電車はリスクでしかないと考えているようである。北海道につづき患者の多い東京であるが、それはもともとの分母が大きい(人口)からだと考えていて人口に比率に対しては患者数が爆発的に増えそうな要因が多数あるのに(殆どの方が公共交通機関で移動を行う東京)そうでもないのはなにか理由があるのだろうという視点。情報分析官の方の見解だと、満員電車でも駅ごとにドアが開閉(個人的には駅と駅の間隔も近い東京ということもあると思う)するので密閉空間ではあるが換気されやすいこともあって感染拡大が予想よりは増えていないのではという見解だった。定住人口、インバウンド人口を考えると確かに個人的にももう少し東京は増えるのだろうなと思っていた。

 

その5.横浜に帰港していた「ダイヤモンド・プリンセス号」は、なぜ、感染者が爆発的に拡大したのか。

 個人的にも最大の謎であった。皆は「密閉された船だからでしょう」とお思いかもしれないが、あの船は世界でも10位以内に入るような大きな豪華客船で簡単に言うと動くアパホテル以上のキャパシティーをもつ小さな村レベルの移動機関である。しかもエグゼクティブ層相手のビジネス、人と人との距離が近い設計をしていないはずである。人員や物資、車を「効率よく」運ぶフェリーとは訳が違うのだ。しかし、分析官の方の記事を読んで腑に落ちた。

 

- 船内空気の入れ替えは外の空気と入れ替えるのではなく、船の内部だけで還流する循環式だった。-

 

中国国家衛生健康委員会は、新型コロナウィルスの感染ルートについて、霧状に浮遊する粒子に混じったウィルスを吸引する「エアロゾル感染」の可能性があるとの見方を示している。あくまで「可能性」である点も顧慮願いたいが。

 

-「閉鎖した空間に感染者や発病者を閉じ込めるのは、ウィルスを培養しているのに等しい」-

-「比較的密閉された環境で長時間、高濃度のエアロゾルにさらされた場合に感染の可能性がある」-

 

あくまで可能性であるが、こういった見方もできるようである。

 

 その6.密閉した室内で活動すると感染が拡大する。特に集団の場合には、急拡大する。

 日本でワイドショーが得意げに伝えているいわゆるクラスター感染である。このタイトルを見た時、ライブハウスとスポーツジムが頭に浮かんだが分析官の方は「屋形船」と「大邸の宗教施設」を例に上げていた。2020年3月現在、

 

密閉、集団、寒冷地

 

このキーワードに関係するエリアに近づかいないのは一定の感染予防となりそうである。当該記事、分析官の方の見解はあくまで可能性であるということをお忘れなく。

 

その7.その他、温泉地での感染の情報が見られない。なぜか。

 ウイルスが温泉の温度、湿度、効能、泉質のどれかに繁殖が苦手な要素があるのかもしれないという。この辺も今後ポジティブなニュースとしてポジティブなファクターとして解明されることを期待したい。だから、温泉に行こう!という話ではないのであるが(笑)

 

分析官の方のまとめと個人的なまとめ

 

温かい地域と寒い地域では感染者は両方に存在するが拡大しやすいのは寒冷地のほうであるようだ。

寒い地域かつ密閉された空間においては激しく感染が拡大するようだ。

乗り物においては空気の入れ替えが感染を拡大させない要因になっている可能性がある。(日本政府はエアロゾル感染を認めていないが)

 

医学的見地からではなく、情報分析でここまでの可能性を導き出せるのである。素晴らしい。これに感染学、呼吸器学、医学的薬学的見地を加えれば徐々に新型コロナウイルスの実態が明らかになるはずである。やはり人類は偉大なと感じたし、こうやってあらゆる角度から新型コロナウイルスに対抗しようとする方々をみると本当に感謝の念しかない。

 

経過観察をして分かることもやはりあるようだ。

 

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