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日本映画の本気を見た!最高峰の“芸道映画”——映画『国宝』レビュー

歌舞伎は一度生でみたい!本能ブログCEOさじゃんです。現在公開中の映画『国宝』。評価も高く主演の吉沢亮も「俳優人生の集大成」と位置づけたという大作ということで先日見てきました。結論から言うと

近年見た映画の中で最も素晴らしいと思える日本映画

だったと思います。原作の吉田修一さんの小説をもとに、李相日監督がメガホンを取った作品です。上映時間は175分とかなり長めですが、まったく飽きることがなく、終わった瞬間に「もう終わり?」と感じてしまうほど、引き込まれる力がありました。

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吉沢亮さんの圧巻の演技

まず何よりも心を掴まれたのが、主人公・喜久雄を演じた吉沢亮さんの演技力です。15歳から60代近くまでを一人で演じ分けており、とくに“女形”として舞台に立つシーンでは、まるで本物の歌舞伎役者かと思うほどの所作や目線、立ち姿の美しさが際立っていました。努力の結晶が画面を通してひしひしと伝わってきて、圧倒されました。

俊介を演じた横浜流星さんとの関係性も見どころで、とくに「二人道成寺」の共演シーンでは、ライバルであり同志でもある二人の緊張感と敬意がせめぎ合い、観ているこちらも息をのんでしまいました。

世界水準の映像美

映像美についても触れずにはいられません。本作は撮影監督にソフィアン・エル・ファニさんを迎えており、朱色を基調とした色使いや、光と影の使い方がとにかく美しく、日本映画というよりもヨーロッパ映画のような趣があります。舞台袖から差し込む光や、雪の中の赤い提灯など、どのカットを切り取っても絵画のようでした。

モデル不在だからこそのリアリティ

実在の人物や名跡をモデルにしていないものの、梨園の世界に生きる人々の血縁、世襲、嫉妬、期待といった感情が非常にリアルに描かれていて、むしろ「モデルがいないからこそ描けた混沌」があったように思います。家柄に恵まれず才能でのし上がる喜久雄と、名門に生まれながらも壁にぶつかる俊介という対比は、世襲制をとる多くの伝統芸能に通じる普遍的なテーマだと感じました。

主演級キャストがそろう贅沢な構成

渡辺謙さん、高畑充希さん、寺島しのぶさん、田中泯さん、永瀬正敏さんといった、どこを取っても主役級の俳優陣が脇を固めており、それぞれの立場や葛藤が丁寧に描かれている点も素晴らしかったです。脚本も骨太で、50年という長い時間軸をしっかりと描ききっていて、途中で迷子になることもありませんでした。

長いのに一瞬だった175分

「3時間近くの映画ってちょっと長いかも……」と構えてしまいそうですが、本作に関しては全く心配いりません。稽古と舞台、静と動がリズミカルに交互に現れ、観客の集中を一切切らさずに運んでくれます。音楽の効果も抜群で、和楽器とピアノが静かに物語を包み込み、場面ごとの情緒をより深く味わうことができました。

個人的にとくに印象に残った場面

シーン 見どころ
二人道成寺の初共演 女形としての完成度と緊張感ある演出
雪の長崎の夜 スローモーションで描かれる父との決別
半二郎が語る芸道 静かな対話と背景音の融合が秀逸
喜久雄が人間国宝に選ばれる場面 スポットライトの演出が感動的
最後の舞台の幕引き 静かな余韻を残す長回しのカット

 

総評:今年必見の“魂を震わす”映画体験

演技:★★★★★

映像美:★★★★★

脚本:★★★★☆

没入度:★★★★★

オススメ度:★★★★★

歌舞伎に詳しくなくても、むしろ知らない人ほど楽しめる“芸道×血縁ドラマ”の傑作。吉沢亮が魅せる“芸道に取り憑かれた男”の生涯は、日本映画史における新たな金字塔と呼べる作品だと思います。公開規模も大きく、TOHO 系ほか全国で上映中なので、ぜひ劇場の大スクリーンと音響で体感してほしいまさに「映画館で見るべき映画」だと思っています。観終わった後皆様の中で“時間”と“人生”の感覚が少し変わるかもしれないと大げさではなく感じた素晴らしい作品でした。

鑑賞前に予習したい方へ

原作小説『国宝』上下巻(朝日新聞出版)

歌舞伎の基礎が学べる公式サイトの「演目紹介&豆知識」

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国宝 試し読み版