こんにちは、サブスク大好きトモGPです。突然ですがみなさんはどのくらいサブスクに加入していますか?自分は主に映像や音楽の配信サービスであるNetflix、amazon prime、Disney +、Spotifyの計4つに加入しています。映像でも音楽でも何となく気になっていた作品を気軽にチェックすることが出来るのが、サブスク型配信サービスの大きなメリットかと思われます。たまたま見てみた作品がとんでもなく面白かったりメチャクチャ自分のツボだった時は、正に”お宝を発見した”ような気分になるものです。今回紹介する「オッドタクシー」もそんな作品です。
ODDTAXI(オッドタクシー)
2021年4月よりテレビ東京及びAT-Xアニメ専門チャンネルにて放送された、全13話からなるアニメです。2021年7月現在ではamazon primeにて全話視聴可能なのと、7月7日(水)よりBSテレ東での放送が開始されています。
舞台は東京、主人公の小戸川は平凡な毎日を送るタクシー運転手、趣味は寝る前に聞く落語と仕事中に聞くラジオくらいの少し偏屈で無口な変わり者。身寄りはなく他人との関わり合いもほとんど持たない。一応友人と呼べるのはかかりつけでもある医者の剛力と、高校からの同級生柿花ぐらい。そんな彼が運ぶどこかクセのある客達とのやりとりが、やがて疾走した1人の少女へと繋がっていく、というストーリー。(公式HP参照)
個性的な作家陣
まず製作に携わっている作家陣が非常に個性的です。監督を務めるのは木下麦、脚本は漫画家でもあり脚本家でもある此元和津也が担当ということで、この段階ですでにひとくせある感じがします。主人公小戸川のCVを務めるのは、あの鬼滅の刃の竈門炭治郎でお馴染みの花江夏樹と聞いたら、こりゃあもう見るしかありませんよね。さらに劇中音楽を担当しているのはヒップホップレーベルSUMMITからPUNPEE、VaVa、OMSBという豪華な面々。スカートとPUNPEEが手がけるOPテーマや、劇中のアイドル役でCVを担当している三森すずこが歌うEDテーマも必聴です。
ほのぼのとしたビジュアル
とにもかくにもそのビジュアルです。まるで”しまじろう”や”けものフレンズ”を彷彿とさせるようなその絵面、ご覧になってわかるように登場人物は全員動物です。主人公の小戸川はセイウチですし友人の柿花はシロテナガザル、主治医の剛力はゴリラ、ヒロインの白川にいたってはアルパカですw。
舞台は東京で実際の地名なんかも登場しますし、登場人物の名前も普通の人間のようなのですが、見た目はファンシーな動物達。こんな不思議なビジュアルでストーリーは進んでいきます。最初のうちはビジュアルのインパクトになかなか物語が入ってきませんが、見続けていくうちにこの動物達だけの世界が全く気ならなくなってくるから不思議です。
複雑に絡み合うストーリー
主人公の小戸川は見た目まんまの偏屈なキャラクター、少ない友人達以外とは極力他人との関わり合いを持とうとせず、無欲に平凡な日々を送るタクシードライバーです。声の感じも正に見たまんま、とても竈門炭治郎役の花江夏樹さんがCVを担当しているとは思えません。声優さんの凄さを改めて実感させていただきました。そんなパッとしないタクシードライバーの小戸川ですが、彼の元にはなぜかわけありの乗客が集まってきます。
清掃員の仕事をしながら淡い期待を抱き婚活にいそしむ、小戸川の数少ない友人である”柿花”
ひたすらSNSでバズることを目標に投稿し続ける、承認欲求の塊の”樺沢”であったり、
小戸川が毎週聞いているラジオ番組のパーソナリティでもあるお笑いコンビ、”ホモサピエンス”、
CDデビュー間近の3人組アイドル”ミステリーキッス”、
そしてそれをとりまく反社会的組織の面々、
なかでもある出来事をきっかけに小戸川と関わり合いを持つ様になる、腕っ節の強いチンピラ”ドブ”や
それと裏で繋がる汚職警官など、登場人物は多種多様です。ちなみにお笑いコンビホモサピエンスのCVを担当するのは実際のお笑いコンビ”ダイアン”であったり、双子の警察官はこちらもお笑いコンビ”ミキ”のお二人だったりと、ただ見ているだけではわからないようなところにも実はギミックが仕掛けられています。
まるでタランティーノ作品をみているかのよう
タクシードライバー、ビル清掃員、キャバクラのボーイ、婚活、美人局、汚職警官、などなど、活字にすると、ほのぼのとしたキャラクターのビジュアルとは対局にある様な妙にリアルなキーワードたちです。登場人物が皆動物といったほんわかした絵面なのに、圧倒的に夜の描写が多かったり妙に生々しいキャラクター設定や世界観、これこそがこの”オッドタクシー”の大きな魅力の1つかと思われます。だからといって全てのエピソードがヒリヒリするような緊張感があるのかといえばそうではなく、
小戸川に好意を寄せるアルパカの”白川”の特技が実はカポエイラ(格闘技・ダンス・音楽の要素が合わさったブラジルの文化)であった、といった様などこかシュールで気の抜けたジョークを挟んだりすることで、作品の空気感がシリアスになり過ぎない様に上手くコントロールされている感じも見てとれます。
疾走した1人の女子高生の事件を軸に展開する各話約22分の物語、絶妙な緩急で物語のテンションを維持しつつ少しづつ明かされていく謎、全てバラバラだと思っていたエピソードが少しづつ繋がっていくような様子は、まるで往年のタランティーノやガイ・リッチーの映画を見ているかのような気持ちにさせてくれます。映画やサスペンス好きな方にこそオススメしたい細部までこだわり抜かれた良作「オッドタクシー」、みなさんも是非ご覧になってみてはいかがでしょうか。